神様のポイント稼ぎに利用された３

第三章 世界に降りかかる受難

第683話

　お兄さんと一緒に救援隊に保護されました。
　ボスからお兄さんの元仲間を引き渡され、さぁ撤退――とはならなかった。

　僕ら今、ボス部屋で宴会しているの。

　ほら救援には莫大な費用が掛けられていて、元仲間がその費用を背負うっていうアレ。
　不測の事態ではぐれたりとかだとそこまで費用は高くならないけど、今回のようにわざと相手を危険な状況に捨てたりした場合、アー君の指示のもと細かい費用まで計算されて吹っ掛けられるんだって。
　内訳は参加者全員分の人件費、ポーション代、終了後の装備整備代金、飲食代、迷惑料、時には魔物への賄賂代金などなど。
　後半が若干おかしい気がするけど、つまりは仲間を裏切った相手に莫大な借金を強制的に背負わせるスタイル。

　そう言えばアー君、よく追放系とかで装備も何もかも取り上げられるのはおかしい、あいつら処刑したいってプリプリしてたなぁ。
　考えた結果の一つが経済的制裁なんだろうか。

　生きてさえいればやり直せるはずだから、ギルドへの借金を返済しながらその間に心を入れ替えられたらいいと思う。
　ダメだったら邪神のお腹かイネスがぺかぁなんだろうな。

　お兄さんは作品をドレスのお嬢さんに見せて一部買い取ってもらえそう、現在の装備は派手だけど、実際の趣味は落ち着いた雰囲気が好きなようです。
　大丈夫？　ドレス脱いだ後に赤面したり後悔襲ってきたりしない？

　オーガ君は冒険者と飲み比べ、ボスは天ぷらを食べつつ優雅にお酒を傾けている。
　僕は赤ちゃんなので飲み食い出来なくて切ない。

「これ、どう見てもシャムス様のスライムだよな」
「おう」
「つまりこの赤ん坊、連れて帰った方がいい、のか？」
「一応ボスに声をかけてから連れて行こう」

　そういう感じでお兄さんと一緒に保護され、地上に向かうことになりました。

「うむ、赤子よ達者でな！」

　あい、ボスもお元気で。
　喋れる程度に大きくなったらまた遊びに来ます。
　さすがに赤ちゃんの姿で出歩くの良くないね、自由が効かないことが多いし、何より後々の説教がこわわ。

　帰りは徒歩ではなくボス部屋をクリアすることで使えるようになる転移陣でぴょーんです、何でも救援特別仕様でクエスト参加中のみ自由に使えるらしい。
　お金も人助けも出来るうえ、ランクを上げるためのポイントも稼げる美味しいクエストのようだ。

「一番は金じゃないんだよなぁ」
「他人の金で飲み食い、あれ最高」
「わざわざ高い酒と料理提供されるからな」
「あぶ」
「救援前は間に合わないけど、救出出来た時に余裕があればボス部屋やセーフエリアに送ってもらえるんだ」
「幻の宴会セットって呼ばれてる」
「ギルドの合同クエストほどうまい仕事はない」
「分かる」

　冒険者が完全にアー君に胃を掴まれている気配。
　そう言えば食事事情が貧しい他国でも、ギルド内の食堂は味が変わらないとアー君が自慢してた。

　高級酒と美味しい食事を楽しみ、救援クエストも成功。
　皆でキャッキャウフフしながら戻ったら、受付にアー君が仁王立ちで待っていた。

「ママ？」
「だぅ」

　笑顔が怖い怖い、ダッシュで逃げたいけど自立できない！
　赤ちゃんの体は不便で駄目ね！！