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第三章 世界に降りかかる受難

第681話

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 それより帰って来るか居場所を教えろと伝言を貰った。
 もっともである。

 でも謎のテンプレ呪縛に付いても若干理解があるので、アドバイスとドリちゃんミルクを貰えました。
 ドリちゃんミルク美味い、美味い、含まれる魔力が豊富で何よりである。

 さらに言えば僕の現状を理解した子供達が子守スラを派遣してくれました。
 お陰でオスの姑獲鳥から乳をもらったり、おっさんかお兄さんか不明な人からの抱っこなどから脱却出来た。

 このダンジョン、難易度さほど高くないのかボスの魔力がそこまで高くない。
 まぁ比較対象がドリちゃんなのがいけないのかもしれないけど、ドリちゃんは魔力無限に魔改造されたドリアードだからね!

「この儂の乳を拒むか赤子!」
「んぐんぐ(ドリちゃんミルクには叶わないからね!)」
「抱っこ、やっと慣れてきたのに」

 慣れてない、慣れてない、もっと精進しておくれ。
 持つ腕に力が入りすぎてリラックス出来ないのよ。

 うちの子が派遣してくれたこちらの子守スラ、神薙神社で暮らすタイガの子供達を多数育て上げた子育てのプロフェッショナルなのです。
 
 それは置いといて。
 お兄さんに関するテンプレですが、追放や囮、罠、冤罪等、テンプレ都合で最下層に捨てられた場合、瀕死からチートが覚醒、ダンジョンを脱出して復讐とかそういうのが多いそうです。

 瀕死だけどボスに攻撃されずに保護から治療、生きる目的与えられているし、復讐を誓わず子守スキルの上昇を誓ってた。
 テンプレを履行する前にボスがフラグ折りまくってるね。

 うーむ、じゃあ裏切った仲間を連れてきて復讐させる?

 ……えっちゃんがアー君にお願いして調査してもらった結果、お兄さんもどきを見捨てた元仲間は受付で悪事がバレてその場で職員さんにしばかれてた。
 現在はお兄さんを助けるために救援隊が組まれ、雇われた冒険者たちが元仲間を囮に使いつつ最下層を目指しているそうです。
 
 さらにお兄さんの救援には莫大な費用がかけられていて、その費用は元仲間が背負うことになるんだって。
 仲間への裏切りを絶対に許さないスタイル、アー君が作った仕組みがテンプレ展開を潰している。

「クッション作った」
「ふははは、儂の羽を使ったからふわふわだぞ!! こうして、こう! スライムでの移動がさらに快適になるだろう!!」

 当の本人はボスと仲良くなり、パッチワークに目覚めています。
 普通に刺繍が上手い。

 ボス&お兄さんもどきvs子守スラでどちらが子守が上手いかバトルしているんだよ。
 今もスライムの背に乗ってぽよぽよ移動する僕を持ち上げ、子守スラの頭を潰して平らにし、そこにクッションを並べて再び僕を乗せてドヤ顔してます。
 とても平和な戦いだねー、僕が快適になるなら何の問題もない。

 僕が子守スラに乗って先頭を進み、ボスとお兄さんもどきが次は何を作ろうか話しながらのんびりと下層をお散歩中です。
 ここがダンジョンでなかったら普通に親子に見えなくもない光景だろうなぁ。

 疑似親子ごっこっぽい何かを楽しんでいたら、曲がり角でオーガと出会った。
 こちらのオーガ、倒すと特Aクラスの肉天ぷらを落とすらしい、涼玉が知ったら絶滅させる勢いで襲い掛かってきそうな情報である。

「がー」

 両手を挙げて威嚇したら、怖い怖いと言わんばかりに震える動作をしてから頭を撫でてくれました。
 ボス部屋に至る区域を守る頼もしい衛兵さんなのである。

 今もほら、ボロ雑巾のようになった冒険者が引きずられているではありませんか…………それ、救援部隊の人たちじゃないよね?
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