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第三章 世界に降りかかる受難
第672話
しおりを挟む騎士様が帰宅してびっくり。
アー君の新ダンジョン、メインが天ぷらと揚げ物だった。
王道のえび天はイネスが目の色を変えて独占、足りない分はスラちゃんが庭で釣って追加。
激辛シシトウの天ぷらは刀雲に、シャムスはキスの天ぷら、涼玉は天ぷらを無視してステーキ、アー君は匂いだけで十分だと天ぷらを拒否して山盛りの焼肉をそれぞれ食べています。
魔物を倒すと竹で作られたお皿に乗った天ぷらやフライがドロップ、ボスは大皿でドロップするらしい。
なにそれ面白い。
「行きたい!!」
サクサク天ぷら食べたい!
あと揚げ物の種類気になる!
「すまないママ、明日は無理なんだ」
「えー!」
アー君のお膝に乗り上げ、ぴょんぴょんしながら自己主張したけどダメだった。
「神薙様に明日一日入り浸るって宣言された」
「むねん」
お酒を持ち込んで一族でひゃっほーっと食べ放題するつもりらしい、先を越されてしまった。
「ダンジョンの魔素を濃くしてあげるからって言われて、つい!!」
権力と邪神の賄賂っぽい何かに負けたようだ。
「食材の種類ってどうなってるんだ?」
「ばーばとゴブリンの監修が入って、結構野菜率が高い」
もちろん肉や海鮮系もドロップするけれど、それ以上に野菜系を高めに設定させられたらしい。
食育に力を注ぐ二人の圧強いもんね、拒否するには相手が悪すぎる。
「ところでママ、あれは?」
「ギャギャギャ!!」
「ッカーー!! 効くなぁ!!」
アー君の示した先にはすでに出来上がっている闇落ち勇者とレイアさん、天ぷらが追加されてさらにテンションが上がったようです。
お酒もワインから日本酒に何気に変えている。
「闇落ち勇者」
『拾ったの』
「精神崩壊してたからな、魂救うために魔物化させた」
「魔物通り越して魔神になっちゃいましたけどねー」
家に上げる際に爪とか角が邪魔だったので、玄関先で人化を強制取得させられてました。
その際に普通に喋れるようになったはずなのに、今はあのように言語が退化しちゃってるのです、でもレイアさんとは通じている不思議。
元勇者、人化した時は割と若く見えたのに、お酒が入って変化が解けかけている。
今は顔に鱗が生えているし、なんなら額に目が二つ追加、口も耳まで裂けちゃっています。ホラーかな。
「かあちゃが救ったけど、称号はレイア様の舎弟」
「傭兵団に体験入団するお話してました」
『今は天ぷらうめーって言ってるのよ』
騎士様はお話を聞いて頭を抱えてしまい、刀雲がそれを慰めようとお酒をグイグイ飲ませてました。
魔物飛ばして魔神だからね、胃も頭も痛いだろう。
でも大丈夫、謎能力の力で平和な魔神だから。多分。
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