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第三章 世界に降りかかる受難

第667話

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 ふと思い出したことがある。
 四つ首ドラゴンが温泉があると言っていたことを。

 温泉と言えば日本猿。
 温泉に入ってるお猿さん見たい。

「ウキーーー!」
「そんな感じでこの子が日本猿です、きゃわわ」

 サイズも大きさも正真正銘の日本猿である。
 温泉がある場所にいかなきゃ!

『温泉ちょーきもちー! って言ってるよ』
『温泉、視界にすら入ってないけどな』
『生き残るためにやけっぱちですね』

 一匹だけじゃつまらない、お猿さんは群れるイメージがある。
 つまり猿狩りに行きます。

 移動は優雅に巨大ヒマラヤンの背に乗って。
 異世界万歳。
 ドラゴンに乗ったことはあっても、猫ちゃん系の背は案外初めてじゃない?

 走るヒマラヤンの横を並走するのは巨大イネス、背中にはシャムスを乗せて。
 そんな僕らの背後を追いかける巨大な二足歩行のドラゴンと、その頭の上で仁王立ちするヨムちゃん。

 巨大魔物多いからという理由で涼玉まで大きくなりました。
 巨大化と言っても普段の下半身に卵の殻を付けた涼玉がそのまま拡大されただけなんだよね、遠くから見たらただの目の錯覚と思い込みそう。
 
 もしや涼玉、変化下手?

「大猿そのに発見でーす!」
『イネスとママの合体技を披露する時よ!』
「わはははは、俺らを侵入者とみてこっちに来るぞぉ!」

 ここは人間が一人もおらず、いるのは巨大魔物や頑張って生き延びた野生動物ばかり。
 つまり謎能力の真価が発揮される環境と言える。別の言い方をするとやりたい放題。

 ぽわっと体を光らせたイネスがスピードを上げて、こちらに突進してきた大猿と正面衝突。
 するとどうでしょう、弾き飛ばされた大猿が地面に落ちた時には立派な日本猿に。

「この調子で行くのです!」
「あいあいさー!」

 謎能力をどうイネスに与えているのか、実は僕も分からない。
 なんかみょーんってイメージでやったら出来た。

 さすが謎能力、力の詳細も効果も謎に包まれているだけあるぜ!

「はいさっ!」
「ウキャァァ!」
「はいドーン!」
「うっきぃぃぃ!」

 大猿を見つけるたびに突撃するイネス、衝撃やケガはないのか心配ですか?
 大丈夫、謎能力に支援されている今のイネスは、星で無敵状態になっている某配管工のおじさんと同じ状態。
 即死攻撃すら効きません。
 ただしあちらのゲームと違ってぶつかっても死亡しないよ、僕の謎能力はもふもふに優しい仕様となっているので弾かれても無傷です。
 なんか違うもふもふになる可能性は高いけど。

 そんな感じで猿系の魔物を次々と日本猿に変え、満足した所で四つ首ドラゴンの縄張りに突撃訪問。
 アポなしがいけなかったのだろうか、泣かれました。
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