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第三章 世界に降りかかる受難

第649話

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 僕は樹、皇帝に呼び出しを受けた後、色々あって決闘を申し込まれました。
 一人の人間の人生が終わった瞬間を目撃した気分です、最近はどんなに最悪な人間でもイネスのぺかぁでやり直している人が多かったから、社会的に死んだ人を見るのは久々かもしれない。

 当の本人は紫色に変わった顔を晒しながら医務室に運ばれて行きました。
 もっとも紫に変色したのは顔だけじゃなくて全身だけどね、自業自得なの。

 なんて言うか勝負は一瞬だった。
 投げられた手袋を拾ったのは帝国兄弟と隠れん坊をしていた黒ちゃん、何とあの時、投げられた手袋の下にいたんです。
 なぜそんな所にと思ったら、見つかりそうになって逃亡したらその先に僕がいた。という理由だった。

 お姉さんの元婚約者は黒ちゃんに決闘を申し込む形になっちゃっていたのよね、勝負は一瞬、手袋を当てられて激怒した黒ちゃんが顔に噛みついて終了。
 そこに騒ぎを聞きつけて白ちゃんも登場、一緒に噛みついて元婚約者は顔がえぐい事になりました。
 二人とも猛毒持ちだからね、生きているだけマシだと思う。

 襲撃がそこで終わっていれば不運で済んでいたのだけど、なんて言うか厄日だったんだと思う。

『ママに売った喧嘩は僕らが買います』
「とうちゃ達にも報告しておくから安心していいぞ!」
「ママ、ばっちぃのに触ったから全身クリーンしましょうね」
「俺らの庭でママに喧嘩を売るたぁいい度胸だ!」
「呪いは一人一個な、弱いのを人数分かけてやれ! 俺は毎朝小指をぶつける呪いだ!!」
「水に触ると痒くなる呪いで」

 黒ちゃんと白ちゃんがギャーギャーやっている所に現れたのは、僕が生んだ帝国の皇子と遊びに来ていたうちの子たちだった。
 全員から小さくて微妙な呪いをプレゼントされるという貴重な体験をしてたけど、小さい呪いも数が集まればえぐい事になりそうよね。

 この時点で精神的にオーバーキルだったのに、続いて登場したのが会議を終えた皇帝とお昼を食べに来た魔王。

 急所にクリティカルヒットした時点で家に帰っていれば痛みだけで済んだのに……、僕を追ってきたばかりに社会的にも死んだ瞬間でした。
 しかも追撃で激怒した状態のカイちゃんが登場、練りに練った呪い「常に毒状態」を付与されて永遠に毒に苦しむ羽目になったとさ。
 ショタな僕に決闘なんて申し込もうとするからこうなるのです、なーむー。

 カイちゃんは魔王様が呼んだんだろうなぁ、ニコニコ笑顔で「皇帝の作るピザは絶品です」とお昼に誘っているし。
 確かに美味しいけれど、僕をダシに使うとはなんてズルい大人だろうか。

 おっとここで忘れてはいけないのがお姉さんである。
 どこだろう、ん、そういえば元婚約者を運んで行ったの兵士さんだったな、あの人が助言して気配を消したまま退場したかー。
 縁があればそのままくっつくだろう、僕に出来るのはここまでである。あとは自分で頑張ってほしい。
 僕はピザが食べたいのです。

「皇帝、会議終わったの?」
「他国の王を歓待する予定があるからな、そういつまでも会議はしない」
「そっかー」

 皆で回遊庭園まで移動、会場では七体に分かれたマールスと霧ちゃん、ドリアード部隊が総出でピザを焼いたりお酒を運んだりしてました。
 会場には何とレイアさん、神薙さん、イグちゃん、シヴァさんまでいました。
 元婚約者、あそこで退場できて良かったね、下手に頑丈でまだ反抗できてたら地獄が待ってたよ。
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