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第三章 世界に降りかかる受難

第645話

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 最近立て続けに行き倒れの人を拾ったので、三度目の正直を探しにやって参りました。
 ……えっとここどこだっけ?

「帝国のどっかにある開拓中の村だって」
『皇帝にちゃんと許可もらってあるの』
「不正があったらばばーんってやらずに同行した文官に言えって言われたな」

 そう何と本日は人間の同行者がいます。
 僕らの保護者というよりは帝国の保護者?
 神々の無茶ぶりから人類守るための監視人?

「今日の村には破滅を呼ぶ子供がいると言われていますよ」

 ニコニコと書類片手に僕らの前に立つのは刀国から帝国に嫁いだ人、そう、帝国で相談役を担っている宰相の奥様であるあの人だった。
 この人、神々の取り扱いに手慣れていて逆らえない圧がある。

「ショタの救済は分野違いだぞ」
「今は専門家がいます」
『ショタの注目を一身に集めたい変態よ』
「まぁまぁとりあえず確認だけしましょうね」

 幼稚園の先生の引率ってこんな感じなんだろうなぁって思いました。
 それか羊飼いのワンコ。

 対象を決して逃がさないこの眼力。
 いつも好き勝手に動く僕らが誰一人として逃げられない。

「のどかだなー」
「人がいませんね」
『誰も開拓してないの?』
「無人?」

 見知らぬ人間が現れて家の中に引きこもっているという風でもなく、なんていうか村全体に人の気配がない。

「偽情報か?」
「破滅を呼ぶどころか人がいないです」
『魔物がいる気配もないよ』
「おかしいですね、資料と情報が食い違っているようです」
「えっちゃんが教会に人の気配があるって」
「教会に? 行ってみましょう」

 相談役さんの頭には村の地図が入っているのだろう、迷いのない足取りで真っすぐ教会に到着です。
 先生すごーい。

 道中で野生化した豚に会ったのでシャムスが話を聞いたら、ある日突然、一斉に人間が村から消えたらしい。
 ミステリーか集団神隠しか、不穏でござる。

「おおまさに神の助け!!」
「ちゃ!」
「おっす!」
「こんにちは」
『おじいちゃんヨレヨレ』

 教会に近付いた所で扉をぶち破る勢いで中から人が出てきたと思ったら司祭だった。
 さすが国外に派遣されている司祭なだけあり、生きる力が強すぎる。

「司祭さま?」
「こちらへおいで、もう大丈夫だ」
「あ、彼ですね資料にあったのは」

 司祭さんの後ろから黒目黒髪の美少年が現れた!
 でもってあの子が破滅を呼ぶ子供だとか。

「じいちゃん生きてっか?」
「ひよこ豆の備蓄があったので生き延びる事が出来ました」
「さすがひよこ豆です」
『さすひよ』
「司祭様、村に誰もいなかったのですが、事情をご存じでしたら教えていただきたい」
「もちろんです。お話しますので中にどうぞ」
「あーい」

 この状況だとおやつは出ないだろう、ならば仕方ない持参したおやつを皆で食べよう。
 今日のおやつはカリカリ系だってドリちゃんが言っていた。マールスが預かっているので中身見てないのよね、楽しみなのです。
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