神様のポイント稼ぎに利用された３

第三章 世界に降りかかる受難

第637話

　綺麗になった王子とあごひげの婚姻が成立した。
　ここお勉強する所なのでお酒は振舞いません。学業の神に怒られるっ！

　お昼ご飯も食べたので、次はどこに行こうかなー？

「ママ、王子から連絡が入りました！　行き倒れ発見です！」
「なんで？？」

　ここ冒険者を育成するための学校、食堂も保健室もあるのになぜ行き倒れる。
　お腹空いたら食堂、怪我をしたら保健室！　自己管理しよう？　これは説教をせねばなるまい、いざ参るぞ皆の衆！

　とりあえず発見された裏庭まで移動したら本当に行き倒れていました。
　わー本当にいたー、ピクリともしないなぁ、何かつつくものないかな？　おっとちょうどいい感じの枝があるこれにしよう。

　ツンツン

　枝で突いても反応がない、瀕死のようだ。
　連続で突いても反応がなくてちょっとつまらないね。

「ここ日陰、日向に干しておく？」
『吸血鬼だったら蒸発しちゃうね』
「転がせ、転がせ」
「成仏させてあげましょう」

　皆で転がしたら勢い余ってコロコロコロコロお池に……助けてヨムちゃん！

「ママも皆も何やってんの～、もうっ！」

　ざっぱーんと池からヨムちゃんが飛び出し、転がってしまったお兄さんをキャッチしてくれた。
　溺死させる所だったぜ、危ない危ない、不用意に人を転がしてはいけませんね。うむ。

　そのまま日陰に移動してもらい、葉っぱをかぶせて証拠隠滅しようとしたら、いつから居たのかあごひげに止められました。
　綺麗になった王子が呼んだようだ。さっそく婚約者として交流を深めているようでなにより。

「あんたら、何やってるんだ」
「しょーこないない」
『なにもしてない、なぜならなにもないから』
「ないない」
「これはただの落ち葉の山！」
「やっぱり沈めた方が良かったかな」
「物騒なこと言わないで！？」

　ヨムちゃんの呟きに悲鳴を上げるあごひげ。外見は山賊っぽいのに常識人である。

「とにかく！　そいつは俺が保健室連れて行くから、解散！」
『ちぇー』
「証拠隠滅失敗である」
「かあちゃ残念だったな」
「次はもっと素早くやりましょう」
「問答無用で沈めような」

　しっしとされたので大人しく解散するしかないね、果たしてあの行き倒れは何者だったのだろうか――

「う、うぅ」
「生きてたー！」
『ゾンビだー！』
「ぺかぁぁです、ぺかぁぁ！！」
「うおおおこえぇぇぇ！」

　驚いたのか愉快犯だったのか微妙な所だけれど、イネスがパニックを起こしてぺかぁを連発。
　なぜかあごひげのお肌とひげ艶が良くなりました。
　あと綺麗になった王子とその取り巻きは、ぺかぁを浴びれて狂喜乱舞してました。
　生きてた死体よりそっちの方が怖かったかな。