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第三章 世界に降りかかる受難

第632話

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 呪詛の塊事件から一夜明け、大人が皆まだ寝ているので子供だけで遊びに行きたいと思います。
 事件の詳細は僕らには知らせない事だけは半分寝ている刀雲から聞きました。下手に情報を聞いて遊びに行ったら困るからだって。否定できない。

 なので話し合いの末、田中氏がこれから暮らす国――の学校見学に決定。
 テンプレ探しじゃあぁぁ!!

「やって参りました冒険者養成学校!」
『アー君が権力フル行使したのよ』
「食堂も行こうな」
「本日の日替わり定食を狙います!」

 貴族が通う学校があるからそっちもいいけれど、貴族特有の言い回し良く分からないし、会話するのが面倒なので気軽な方に来てみました。
 こちらの学校、ダンジョンがオープンしてしばらく経ってから開校されたのよ。

 刀国では文字の読み書き計算出来るのは当たり前だけど他国はそうじゃない、今まではそれでも普通に運営出来ていたけれど、ダンジョンが出来て人の出入りが多くなり、読み書き出来ない事で起こるトラブルの対処をしている時間が惜しい、何とかして統括!!
 という感じで職員から泣きつかれて学校を設立、冒険者として安定したきゃ最低限出来るようになれってこの国の読み書きが出来ない冒険者を全員放り込んだらしい。
 職員の仕事をスムーズにするためだけに学校設立とかアー君じゃなきゃ出来ないね、あと冒険者の扱いが雑。

「えーっとですね、アー君がくれたパンフレット情報だと学校に通っているのは上は四十から下は三才まで」
『開きあるねー』
「だから食堂にお子様ランチがあるんだな! にいちゃさすがだぜ」

 皆さんは覚えているだろうかアンデッドとお見合いした彼らを。
 あの人たち読み書きが出来たばかりに守衛責任者として放り込まれたらしいよ、他にも引退して退屈してた老人狩りをし、イネスと二人で突撃しまくって勧誘、学校経営をほぼ丸投げしたとか言ってたなぁ。
 神様流の権力乱用なのである。

 あと今回教師として協力してくれた人には非売品のイネスグッズが配られました。
 むしろイネスグッズ目当てに高位貴族の隠居さんや現当主が応募してきたとか、イネスグッズの無敵さよ。

 一番年下の三才の子は学校の見学会に来たお兄さんにくっついて来た子らしく、来場記念で配られていたお守りでシャムスのスライムを当てた奇跡の子である。
 なおその日の記念品は聖地で作られたもので、イネス信者の祈りは入っていてもシャムスのスライムが入るわけがないのよね、不思議なの。
 その強運をアー君に見込まれ、将来この学校に通うかと聞かれて「にーにとかよう」と言ってその場で合格通知をもらっていたのを僕も見ました。

 三才児では座るのも一苦労だけどどうしているのかと思ったら、移動から授業中のノートまでシャムスのスライムがサポートしているとシヴァさんから聞きました。
 シャムスのスライムを絶賛すればいいのか、当たり前のように幼児を見守っているショタ守護神にドン引きすればいいのかお悩み案件なのよ。

 そんな感じで王族はもちろん神々にも見守られているこちらの冒険者養成学校、最初は読み書きスタートだけれども、上の学年に上がれば教師が豪華になります。
 パンフレットに並ぶ高等部講師陣の豪華なこと、現役Sランク冒険者や退役軍人、各ギルド長、ネヴォラ、イグちゃん、レイアさん、白澤……半分以上身内ざます。

 えっ、この退役軍人って聖地にいるイネスの信者の一人なの?
 イネスの役に立つためならって喜んで引き受けた?
 ボーナスはイネスの肉球アタック??

 学校の半分はイネスの知名度で出来ている気がしてきた。
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