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第三章 世界に降りかかる受難
第621話
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社畜戦士凄い。
孤児院に連れて行ってポーション作りに参加させたら、孤児院の作るポーション品質が一割上昇した!
「薬品作りが繊細なのが分かった」
お耳をぴるぴるさせながら唸るアー君、初級ポーションを作ろうとして何度やっても失敗するので慰めようとナデナデしたのがくすぐったかったらしい。可愛いなぁ。
アー君の失敗原因は魔力の込めすぎだけれども、僕の失敗原因は他の孤児の子と同様、手順は合っているけど分量がガタガタなせいです。
だって計るのめんどい……。
社畜戦士田中さんは計量きっちり、作り方もとても丁寧だった。
その辺はさすが日本人というか、いや僕も元々は日本人だけど今幼児だからね、うむ。
「おかしい、刀国では特級も作れたのに、なぜ」
「薬草の品質じゃないかなぁ」
刀国の孤児院では薬草を栽培しているだけでなく品質改良もしているからね、涼玉の影響もあって世界トップクラスの品質だと思う。
対するこの薬草は子供達が精いっぱい育ててはいるけれど、残念ながら栄養とかそういうのが足らない、あと採取の仕方も関係あるかもしれないなぁ。
刀国の孤児院から誰かに出張してもらえば解決する疑問ね、でもガッツリ出張費取られるだろうし払う資金力があるとは思えない。値段交渉したとしても、値上がりはしても値下げはするかどうか……。
「本日分はこのぐらいか、あまり作りすぎても薬草が間に合わなくなる」
「刀国なら涼ちゃん効果でいつでもわっさわさなのにね」
そんな感じで本日のポーション作業は終了、商業ギルドに持っていって料金をもらうのは孤児院のお仕事、僕らが手伝えるのはここまでです。
子供達とバイバイしてお城に帰還、お昼を食べたら魔力制御のお時間です。
講師はなんと――冒険者ギルド統括、アルジュナ様である! アー君カッコイイ、ひゅーひゅー!
僕のテンションに比例して毛並みがキラキラ光るアー君、まるで王子様である。
今度お姫様抱っこしてもらおうかな。なんて考えていたら社畜戦士の魔法がぼひゅっと失敗した。
「うーんまた失敗」
「魔力はキチンと巡回してるんだがなぁ」
女神の加護なしで箱庭世界に召喚されてしまったこちらの社畜戦士、加護がないから魔力が扱えない、ので、ないなら与えればいいじゃない。
代理とは言え僕が女神、箱庭世界の管理者である。
そういう訳で僕が加護を与えてみましたー!
効果はよく分からない、でも何かこう、ふわっとした感じに世界に馴染んでいるようです。結果オーライ。
「異世界ってイメージがしっかりしていれば魔法使えるもんだと思ってた」
「なるほど、田中がいつまで経っても魔法が使えない原因が分かった」
「え」
さすがアー君、もう魔法失敗の原因を突き止めた! さすアーなのである。ドヤァ。
「田中が魔法を使えるようになったのはママが加護を与えているからだ」
「そうらしいな」
「ママは全体的にふわっとしている。だからしっかりイメージしても無駄だ! 考えるな、感じろ! 炎ならなんかあったかいなぁ、ぐらいでやってみるんだ!」
「え、えぇ」
その後も練習したけど成功しなかった。
社畜真面目、ふわっとした感じが苦手のようで僕の加護と相性悪いと判明、これはもう加護を与える相手を交換するしかない。
……誰と?
孤児院に連れて行ってポーション作りに参加させたら、孤児院の作るポーション品質が一割上昇した!
「薬品作りが繊細なのが分かった」
お耳をぴるぴるさせながら唸るアー君、初級ポーションを作ろうとして何度やっても失敗するので慰めようとナデナデしたのがくすぐったかったらしい。可愛いなぁ。
アー君の失敗原因は魔力の込めすぎだけれども、僕の失敗原因は他の孤児の子と同様、手順は合っているけど分量がガタガタなせいです。
だって計るのめんどい……。
社畜戦士田中さんは計量きっちり、作り方もとても丁寧だった。
その辺はさすが日本人というか、いや僕も元々は日本人だけど今幼児だからね、うむ。
「おかしい、刀国では特級も作れたのに、なぜ」
「薬草の品質じゃないかなぁ」
刀国の孤児院では薬草を栽培しているだけでなく品質改良もしているからね、涼玉の影響もあって世界トップクラスの品質だと思う。
対するこの薬草は子供達が精いっぱい育ててはいるけれど、残念ながら栄養とかそういうのが足らない、あと採取の仕方も関係あるかもしれないなぁ。
刀国の孤児院から誰かに出張してもらえば解決する疑問ね、でもガッツリ出張費取られるだろうし払う資金力があるとは思えない。値段交渉したとしても、値上がりはしても値下げはするかどうか……。
「本日分はこのぐらいか、あまり作りすぎても薬草が間に合わなくなる」
「刀国なら涼ちゃん効果でいつでもわっさわさなのにね」
そんな感じで本日のポーション作業は終了、商業ギルドに持っていって料金をもらうのは孤児院のお仕事、僕らが手伝えるのはここまでです。
子供達とバイバイしてお城に帰還、お昼を食べたら魔力制御のお時間です。
講師はなんと――冒険者ギルド統括、アルジュナ様である! アー君カッコイイ、ひゅーひゅー!
僕のテンションに比例して毛並みがキラキラ光るアー君、まるで王子様である。
今度お姫様抱っこしてもらおうかな。なんて考えていたら社畜戦士の魔法がぼひゅっと失敗した。
「うーんまた失敗」
「魔力はキチンと巡回してるんだがなぁ」
女神の加護なしで箱庭世界に召喚されてしまったこちらの社畜戦士、加護がないから魔力が扱えない、ので、ないなら与えればいいじゃない。
代理とは言え僕が女神、箱庭世界の管理者である。
そういう訳で僕が加護を与えてみましたー!
効果はよく分からない、でも何かこう、ふわっとした感じに世界に馴染んでいるようです。結果オーライ。
「異世界ってイメージがしっかりしていれば魔法使えるもんだと思ってた」
「なるほど、田中がいつまで経っても魔法が使えない原因が分かった」
「え」
さすがアー君、もう魔法失敗の原因を突き止めた! さすアーなのである。ドヤァ。
「田中が魔法を使えるようになったのはママが加護を与えているからだ」
「そうらしいな」
「ママは全体的にふわっとしている。だからしっかりイメージしても無駄だ! 考えるな、感じろ! 炎ならなんかあったかいなぁ、ぐらいでやってみるんだ!」
「え、えぇ」
その後も練習したけど成功しなかった。
社畜真面目、ふわっとした感じが苦手のようで僕の加護と相性悪いと判明、これはもう加護を与える相手を交換するしかない。
……誰と?
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