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第三章 世界に降りかかる受難

第603話

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 教会粛清に来たら二種類あった。
 一つは女神様を信仰するヴィシュタル教、もう一つは聖なる母とかいう宗教。

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 女神様の名声を掠め取る目的?
 それとも喧嘩売りたかった?
 とりあえずヴィシュタル教の教会に来てみました。おじいちゃん事情教えてー。

「あの教会は女神ラティアーノを唯一神とし、聖女を象徴にすることで民心を集め、高額な費用と引き換えに治療しているのです」
「らてあーと?」
「ラティアーノ、ですな」

 幼児な僕にはちょっと発音し辛いかな。らてあーと。

「でも治癒魔法を本当に使えているの?」
「そういう触れ込みですからねぇ」
「女神様の許可ないと治癒使えないのに?」

 ラノベのよくある展開みたいにある日突然、光魔法や聖なる力に目覚めた。まではあるけれど、治癒魔法発現だけはありえない。

 治癒魔法は春日さんの領域なので人がいきなり目覚める事はないのです。
 全ての生き物から治癒魔法を取り上げ、一手に管理しているのが春日さん、治癒魔法を使うには春日さんから直接授かる必要がある。と春日さんの強制イベント……じゃなくて、強制授業で覚えさせられました。

 数年前に刀国にいる一部の聖職者に治癒魔法が授けられたはずだけど、あれは大失敗に終わったって聞いた。
 なんでもお試しで冒険者パーティーに参加した事で噂が広がり、強引に連れ出そうとする人や、誘拐しようとする人が現れて、みんなビビッて教会の奥に閉じこもっちゃったらしい。
 もちろん犯罪者の皆さんは神薙さんのお腹の中です。

 薬草やポーション類があるのは人に与えた慈悲というより、ファンタジーのお約束を重視した春日さんの趣味だと聞いたことがある。
 そう言えば春日さん、ガチのゲーマーだっけ。

 まぁとにかく、そんな事情で人の身では治癒魔法は特殊な事情がない限り使えません。
 ラノベとは違うのです。

 でも僕と子供たちは一応使えるよ、理由はワンコ三兄弟がレイアさんの加護を持っているから。
 夢の世界で能力を共有しているからね、使おうと思えば使えるのです。これは神々も想定外。

「使えるはずのない魔法を使って、高額な費用を要求するのが気に入らないの!」

 僕は教会に異端審問の設立を要求する! そういうインチキをぶっ潰して僕のお仕事減らして欲しい!
 ……適任者が一人いるね、帝国の教会で教皇やってる人との間に生まれた子がかなり強火なお兄ちゃんっ子で、お兄ちゃん達の教えを守り、広め、存在しない神への祈りをぶち壊して正しい祈りを与える事を使命としているんだ。よし、カイちゃんに相談しよう。

 とりあず今からエセ聖女とエセ聖女を使って民を騙す教会をぶっ潰してきます!

「まぁまぁ神子様、いきなり突撃は死人が出てしまいましょう、こういう時はまずは偵察からですよ」
「今この瞬間にも教会に騙されてたり、貴族の足の引っ張り合いで治療を受けられない子がいるの!」
「死人は出ません、私がぺかぁっとすれば解決です! 聖職者だろうが聖女だろうがまとめて強制改宗させちゃいます!」

 実はイネスずっといました。
 僕の腕の中で黄金シリーズのおやつを黙々と食べてぺかぁパワーを溜めていたのです。

 今ならなんと改宗するだけで命が助かる!
 邪神のおやつにならない、人に優しいプランです!
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