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第三章 世界に降りかかる受難
第580話
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一度あることは二度ある。二度あることは三度ある。というよね。
もう女神様の代理辞めたい。
「お前との婚約を破棄する!」
「アー君、代理代わってくれないかなぁ」
『ママお疲れです』
「せっかく料理が美味いパーティーに参加出来たのにな」
「でもママ、ちょっとあれいつもと違いますよ」
美味しいもの食べたいと言って畳の上で駄々をこねたら、アー君がどこかの国の昼間に開催されるパーティーに連れて来てくれたのです。
僕だけじゃ寂しいからね、もちろんシャムス達も一緒よ。
「なぜ、私の何がいけなかったのですか?」
昨日えっちゃんにぱっくんされた女性みたいに煌びやかなドレスを着た人が、うるうるっとしながら甲高い声で相手を責めている。
ドレス代がかさ張って赤字になったんじゃない?
「私は真実の愛を見つけた」
「そんなっ!」
寸劇見ている気分。うむ、余興だと思えばそれなりに楽しめるかもしれない、アー君に抱っこされ、アー君に食べさせてもらっている今、僕はお口を動かす以外は暇だからね!
何て他人事だと思っていたのが間違いだったのだろうか、婚約破棄を宣言した人がこちらに近寄ってくる。
アー君、アー君、なんだか嫌な予感がするから逃げて! あ、でもそのマカロンに似たお菓子は食べたい。
「私は新たにこの者と婚約する!」
「は?」
マカロンもどきを選んでいたアー君、うっかり逃げ遅れたら肩を抱き寄せられてびっくりしたみたいです。
そこにコソコソとテーブルの影から近付く数人の少年たち。
「王子、反対反対、その人違うよ!」
「新しい候補は反対側っ!」
「そちらの方はパーティー楽しんでるだけの人!」
王子だったらしい人に取り巻きが小声で「反対側」と言っている。
王子、目が泳いでるよ。
アー君は眉間に皺を寄せて王子を睨んでいるけど暴れる様子はない、まぁ左腕に僕を抱き、もう片手にはマカロンを持ってるからね。
尻尾で振り払うにも尻尾は尻尾でお皿持ってるし……アー君、器用。
チラッと反対側を見た。
白くてふんわりした感じのドレスを着た少女がぽかーんと口を開けてこちらを見ている。
せめて性別伝えとくべきだったんじゃない?
「あれはないだろ」
「あれぐらいしかいなかったんです!」
「正反対のタイプだからいけるかなって」
「言い訳適当に思いつきやすいかなって!」
ダメだこの四人、ツッコミ役がいないっぽい。
大丈夫なんだろうか。
「私はこの人がいいのだが」
「どさくさ紛れに一目惚れしないでくださいよ!」
「分かるけども! あの婚約者よりずっといいのは分かるけど!」
「あの、私は聖職者の卵ですが、一度だけ神獣様にお会いする機会がありまして……」
そう言った少年の視線がイネスに止まる。
「みゃん! 裁きの炎に好奇心で頭から突っ込んだ少年!」
「あの時は申し訳ございませんでした!」
「待って、それを言ったら後ろのドラゴン……俺の故郷を救ってくれた涼玉様!」
「うっす!」
「涼玉様? 父がたまに胃を押さえながら呟いている。あの?」
「いつも収穫物引き取ってくれてあんがとな! また黄金採れたって言っといて!」
イネスと涼玉が人気者。
その間も王子がアー君の肩を抱いたままなんだけど、これはどう収拾をつければいいのかなぁ?
もう女神様の代理辞めたい。
「お前との婚約を破棄する!」
「アー君、代理代わってくれないかなぁ」
『ママお疲れです』
「せっかく料理が美味いパーティーに参加出来たのにな」
「でもママ、ちょっとあれいつもと違いますよ」
美味しいもの食べたいと言って畳の上で駄々をこねたら、アー君がどこかの国の昼間に開催されるパーティーに連れて来てくれたのです。
僕だけじゃ寂しいからね、もちろんシャムス達も一緒よ。
「なぜ、私の何がいけなかったのですか?」
昨日えっちゃんにぱっくんされた女性みたいに煌びやかなドレスを着た人が、うるうるっとしながら甲高い声で相手を責めている。
ドレス代がかさ張って赤字になったんじゃない?
「私は真実の愛を見つけた」
「そんなっ!」
寸劇見ている気分。うむ、余興だと思えばそれなりに楽しめるかもしれない、アー君に抱っこされ、アー君に食べさせてもらっている今、僕はお口を動かす以外は暇だからね!
何て他人事だと思っていたのが間違いだったのだろうか、婚約破棄を宣言した人がこちらに近寄ってくる。
アー君、アー君、なんだか嫌な予感がするから逃げて! あ、でもそのマカロンに似たお菓子は食べたい。
「私は新たにこの者と婚約する!」
「は?」
マカロンもどきを選んでいたアー君、うっかり逃げ遅れたら肩を抱き寄せられてびっくりしたみたいです。
そこにコソコソとテーブルの影から近付く数人の少年たち。
「王子、反対反対、その人違うよ!」
「新しい候補は反対側っ!」
「そちらの方はパーティー楽しんでるだけの人!」
王子だったらしい人に取り巻きが小声で「反対側」と言っている。
王子、目が泳いでるよ。
アー君は眉間に皺を寄せて王子を睨んでいるけど暴れる様子はない、まぁ左腕に僕を抱き、もう片手にはマカロンを持ってるからね。
尻尾で振り払うにも尻尾は尻尾でお皿持ってるし……アー君、器用。
チラッと反対側を見た。
白くてふんわりした感じのドレスを着た少女がぽかーんと口を開けてこちらを見ている。
せめて性別伝えとくべきだったんじゃない?
「あれはないだろ」
「あれぐらいしかいなかったんです!」
「正反対のタイプだからいけるかなって」
「言い訳適当に思いつきやすいかなって!」
ダメだこの四人、ツッコミ役がいないっぽい。
大丈夫なんだろうか。
「私はこの人がいいのだが」
「どさくさ紛れに一目惚れしないでくださいよ!」
「分かるけども! あの婚約者よりずっといいのは分かるけど!」
「あの、私は聖職者の卵ですが、一度だけ神獣様にお会いする機会がありまして……」
そう言った少年の視線がイネスに止まる。
「みゃん! 裁きの炎に好奇心で頭から突っ込んだ少年!」
「あの時は申し訳ございませんでした!」
「待って、それを言ったら後ろのドラゴン……俺の故郷を救ってくれた涼玉様!」
「うっす!」
「涼玉様? 父がたまに胃を押さえながら呟いている。あの?」
「いつも収穫物引き取ってくれてあんがとな! また黄金採れたって言っといて!」
イネスと涼玉が人気者。
その間も王子がアー君の肩を抱いたままなんだけど、これはどう収拾をつければいいのかなぁ?
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