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第三章 世界に降りかかる受難
第575話
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襲撃犯をある程度ボッコボコにした所で傭兵二人に回収され、イネスのお腹の上にぽいっとされました。
僕の扱いが雑です! おのれっ。でも手が勝手に毛皮をもふもふするから説得力がないのです。
「すーはーすーはー」
「はいはい、思う存分吸っていいですよー」
『危なかったの、うっかり麦が茶畑みたいに戦い始める所だったのよ』
「かあちゃの怒りは危険だわー」
僕がボコって再起ふのーにしてやった相手は、現在、ちょっぴり離れた場所で正座させられています。
「でさぁ、アンタどういうつもりで襲ってきたわけ?」
「事と次第によっては命の一つや二つで済む話じゃない」
僕がもふもふに接待を受けている間、襲撃犯は傭兵二人から尋問を受けていました。
「あいつは、魔王なんだ! あいつの、あいつのせいで村がっ!」
「魔王? 魔王様ってあれだろ、神子様の身内」
「俺、サイン持ってる。去年講習会受けたけど、分かりやすくて感動した。あの方は魔法の可能性を示してくれた恩人だ」
場所が離れていてお話内容は分からない、でもなぜか壮年過ぎたおっさん魔法使いが頬を染めています。
どんなトークしたら頬を染めることになるんだろうか、恋バナ?
「何を言っている。魔王ならそこにいるだろう、あの黒い男がっ!!」
「あぁ、あの子。差し入れ滅茶苦茶美味かった」
「いい嫁になる。むしろ俺の嫁になってほしい」
「でさ、アイツはこの状況で何で手伝わないでいちゃついてるんだ?」
「自分の担当は終わったから見せびらかしだろうな、あ、ムカついてきた」
叫ぶ襲撃犯、それに対し視線を仲間に向けて殺意を向ける二人。
視線の先にいるのは黒の子とイチャイチャするお兄さん、今は二人で麦わら帽子を作って遊んでます。
……うん、二人の周りだけお花が咲いている錯覚が見えた。
「そう言えばさ、冒険者の友人から聞いたんだけど……今度、お見合いパーティーがあるんだって」
「はぁ!?」
「参加するには神子様から紹介される必要があるらしい」
「俺らは!?」
「二回目があるかも分からない状態で予約が埋まっていて、抽選に漏れた友人は血涙流してた」
「俺も泣きたいぜ」
どうも襲撃犯からお話を聞いている雰囲気ではない、二人の視線がチラチラ僕を見てくるのです。
そんなに見られたら照れちゃう。
「神子様」
「あい」
「初めて編んでみた」
「ほあー」
黒の子が初めて編んだ麦わら帽子を僕にくれるそうです、差し出されたそれはどう見ても素人作品とは思えない素晴らしい出来栄え、しかもケモ耳付き。
腕前が達人級なのです。
『ママ似合う』
「可愛いなー」
「しかもこの帽子、微風の付与が付いています。ひんやりですぅ」
商業ギルドに登録してエリート街道まっしぐらか、タイガに弟子入りして芸術家になるか……黒の子の可能性が無限大。
「神子様、俺らもお見合いパーティーに参加したいです!!」
「今から参加出来ませんか!?」
傭兵二人が泣きついてきた。
尋問は?
僕の扱いが雑です! おのれっ。でも手が勝手に毛皮をもふもふするから説得力がないのです。
「すーはーすーはー」
「はいはい、思う存分吸っていいですよー」
『危なかったの、うっかり麦が茶畑みたいに戦い始める所だったのよ』
「かあちゃの怒りは危険だわー」
僕がボコって再起ふのーにしてやった相手は、現在、ちょっぴり離れた場所で正座させられています。
「でさぁ、アンタどういうつもりで襲ってきたわけ?」
「事と次第によっては命の一つや二つで済む話じゃない」
僕がもふもふに接待を受けている間、襲撃犯は傭兵二人から尋問を受けていました。
「あいつは、魔王なんだ! あいつの、あいつのせいで村がっ!」
「魔王? 魔王様ってあれだろ、神子様の身内」
「俺、サイン持ってる。去年講習会受けたけど、分かりやすくて感動した。あの方は魔法の可能性を示してくれた恩人だ」
場所が離れていてお話内容は分からない、でもなぜか壮年過ぎたおっさん魔法使いが頬を染めています。
どんなトークしたら頬を染めることになるんだろうか、恋バナ?
「何を言っている。魔王ならそこにいるだろう、あの黒い男がっ!!」
「あぁ、あの子。差し入れ滅茶苦茶美味かった」
「いい嫁になる。むしろ俺の嫁になってほしい」
「でさ、アイツはこの状況で何で手伝わないでいちゃついてるんだ?」
「自分の担当は終わったから見せびらかしだろうな、あ、ムカついてきた」
叫ぶ襲撃犯、それに対し視線を仲間に向けて殺意を向ける二人。
視線の先にいるのは黒の子とイチャイチャするお兄さん、今は二人で麦わら帽子を作って遊んでます。
……うん、二人の周りだけお花が咲いている錯覚が見えた。
「そう言えばさ、冒険者の友人から聞いたんだけど……今度、お見合いパーティーがあるんだって」
「はぁ!?」
「参加するには神子様から紹介される必要があるらしい」
「俺らは!?」
「二回目があるかも分からない状態で予約が埋まっていて、抽選に漏れた友人は血涙流してた」
「俺も泣きたいぜ」
どうも襲撃犯からお話を聞いている雰囲気ではない、二人の視線がチラチラ僕を見てくるのです。
そんなに見られたら照れちゃう。
「神子様」
「あい」
「初めて編んでみた」
「ほあー」
黒の子が初めて編んだ麦わら帽子を僕にくれるそうです、差し出されたそれはどう見ても素人作品とは思えない素晴らしい出来栄え、しかもケモ耳付き。
腕前が達人級なのです。
『ママ似合う』
「可愛いなー」
「しかもこの帽子、微風の付与が付いています。ひんやりですぅ」
商業ギルドに登録してエリート街道まっしぐらか、タイガに弟子入りして芸術家になるか……黒の子の可能性が無限大。
「神子様、俺らもお見合いパーティーに参加したいです!!」
「今から参加出来ませんか!?」
傭兵二人が泣きついてきた。
尋問は?
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