神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

文字の大きさ
上 下
585 / 927
第三章 世界に降りかかる受難

第574話

しおりを挟む
 小麦畑のど真ん中に簡易櫓を建ててもらった涼玉が、お茶ダンスの麦バージョンをノリノリで歌って踊っております。
 その勢いに最初はガクブルしていた農民さん達、でも力が拡散されていい感じにふわっとしているのを見て、こりゃいいやと今は手拍子を送ったり一緒にダンスしたり楽しそうです。

 収穫は?

 なお僕は大型犬サイズになったイネスに体を預け、お腹には子犬になったシャムスが丸まっています。
 至福。
 これは遊んでいる訳ではないのです、涼玉の力をふわっとした感じにするためです。
 本当はカンガルーのお腹の袋に入りたかったけど、それは喜んで力が増幅されちゃうからと却下されました。切ない。

 イネスのゴロゴロが全身に伝わるこの感じ、とてもいい。

 こんな感じに癒しタイムを満喫している間に村人も復活、麦の病気もどこへやら。
 人員も揃ったので収穫のお仕事のお時間です。

 農民部隊の皆さんが村人たちと働いている間に涼玉は僕らと一緒にひと休憩、簡易櫓の上でおやつの時間です。
 一個前の救った村で収穫された黄金の麦、あれで作ったパンを黒の子が持ってきてくれたのです! 美味い!

「俺が作り方教えたんですけど、飲み込み早くて教え甲斐がありました」
「こねるの大変、でも楽しかった」
「言葉もこの通り! 学習能力高いですし、刀国学園に通えばスーパーエリートになれますよ!」
「学園に入った時点で争奪戦が起きるやつだなー」
「先に商業ギルドに登録しちゃえば大丈夫です!」
『アカーシャに連絡するのよ』

 どうやら黒の子、びっくりするぐらい優秀なようです。
 さすが魔王の素質を持つ男、刀国で磨いたら第二の魔王も夢じゃない。
 ん? 第二の魔王はタイガだから、第三の魔王?

 まぁいいや。
 それよりも差し入れしてもらったパンを食べよう。
 カゴからパンを一個受け取り、我が家の林檎で作ったジャムをぬりぬり、クリスタル林檎じゃないです、普通の赤くて美味しい林檎です。

 僕が食べ始めたのを見て、子供たちも慌ててパンに手を伸ばして食べ始めた。

「うまー、踊りの後のおやつはうまい!」
『ジャムも美味しいねぇ』
「杏を混ぜたジャムもありますよ」
「青空の下で食べるパンは美味しいね」

 どこまでも続く青い空。
 時折流れる白い雲。
 太陽を背に輝く人影。

 ん?

「魔王、覚悟っ!!」
「えっちゃん!」

 霧とえっちゃんの魔力を混ぜて大きな手のひらを作り出し、それでベチンと襲撃してきた影を叩き落しました。
 ふふん、僕に攻撃力はないけれど、えっちゃんの魔力と混ぜる事でちょうどいい感じの攻撃力になるのです!

 墜落地点の麦がダメになっちゃったけど、この後直すので許してほしい。
 でも今は襲撃犯へのお仕置きが先です。

「っく、この、俺が――」
「うちの子を襲う奴はこうです!」

 手のひらを振り上げてー!
 もう一回、ベチン!

「ぐあっ!」

 潰した襲撃犯にスタタターと近付いたら唸りながらピクピクしてます、気持ち悪いのでお仕置き追加します。

「こいつ、こいつ! おらおらー!」
「ぐぇっ! ぎゃっ! げふっ!」

 背中に乗り上げ、ジャンプと踏みつぶしの連続攻撃です!
 うちの子を襲うなんて千年早い!
 オラオラオラーー!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい

拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。 途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。 他サイトにも投稿しています。

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

処理中です...