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第三章 世界に降りかかる受難

第565話

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 茶畑によって村の平和が約束されました。
 好戦的過ぎて一時は兵士どころか村人すら近付けなかったけど、涼玉とイネスが仲介してなんとかなりました。
 うちの子凄い。どやぁ。

「かあちゃがドヤ顔してる気配がする」
『あっひっくり返ったの』
「ママっ!!」

 庭を眺めながら仁王立ちしていたら、幼児な僕は頭の重みで後ろにひっくり返ったけど、イネスがシュバッと来て助けてくれたのです。もふもふ最高。
 皆が近くにいて良かった。

 子猫サイズのイネスはきゃわわだけど、大きいサイズのイネスはカッコイイです。
 小さなサイズから巨大ドラゴン並みのサイズまでイネスは自由自在、さすがにドラゴンレベルのサイズは夢の世界でしか見たことないけど、怪獣みたいでカッコイイ、今度乗せてもらおう。

「イネスあんがと」
「はいです」

 ちょっと心臓ぱくぱく。
 でも僕の頭を受け止めるイネスの体の感触が気持ち良くて眠気が……すやぁ。

「かあちゃが寝た今のうちに仕上げちまおう」
『まさか内職する日が来るとは』
「みゃーんです」

 僕をクッションコーナーに寝かせたイネスは机まで戻り、またシャムス、涼玉とともに今までやっていた作業を再開した。

「ひよこ豆がヒーローなのは知ってたけど、茶の木までヒーローになる日が来るとは思わなかったな」
『お茶の木それぞれも自我を持つけど、茶畑として一つの生命体なの』
「あれが個にして全、全にして個、というやつなんですね。ちょっと意味分からないです」

 涼玉とマンドラゴラのお茶ステップで進化した茶畑だけど、あれほど過激になったのはひよこ豆から作られた出汁を使ったのが原因っぽい。
 情熱的なダンスで成長したひよこ豆の効果で茶ノ木も好戦的になって、そこにさらに涼玉のダンス、涼玉のダンスを見て僕もきゃっきゃしてたし……まぁ畑の一つや二つ、トレントに進化しても不思議はない。
 異世界だし。

 そもそもの話、一本の茶の木を畑まで拡大させたの涼玉だし、その時点で恩恵受けててもおかしくない。
 大事に世話をしてくれている村人を守るために防衛もすれば、復讐のために兵士をボコってもおかしくない、うんうん。

 お茶摘みの歌を歌いながら踊る涼玉、可愛かった。

「起きた! 続きやります!」
「もうちょっとで終わるから寝ててもいいぞー」
『ママすぐ飽きちゃうの』
「スラちゃんがいるから大丈夫ですよー」

 子供たちが優しい、でもなぜろう、料理をしようとするアカーシャを止めるヘラ母さんと同じ種類の優しさを感じる。

「パーティーの準備に奔走してくれたお城の人や商人にお茶をプレゼントかぁ、量が半端ないなぁ」

 お守り袋より一回り大きな袋を作り、そこにお茶の葉を入れるのが今日のお仕事。
 なぜ幼児ばかりでやっているのかって?
 黒子――じゃなく、保護者は数日後に迫ったお見合いパーティーのために朝から不在、他にやる人がいないのです。あと暇つぶしも兼ねてます。僕は早々に飽きたけど。

『スラちゃんいても終わらないの……スーパースラちゃん、GO』
「っは、その手がありました!」

 僕がスラちゃんを捕まえてぽよぽよ遊んでいたら、それを見てシャムスが術を行使、スラちゃんがスーパースラちゃんに変化してシュババババと袋詰め作業を終わらせていきます。
 すごい、すごい。

 最初は暇つぶしだと楽しんでやっていたけど、皆も飽きてたみたいです。
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