神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第三章 世界に降りかかる受難

第555話

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 お守り作りに精を出した翌日、アー君から冒険者の間に流れている噂を聞いた。
 出現するとボスを強化する上に討伐不可、撤退推奨のネームドモンスターらしい。

「つよいの?」
「少し前までは無害認定だったんだけどな」

 ん?

「攻撃の命中率の低さを補うために範囲攻撃してくるらしくてな」
『凶悪なのよ』
「壁を溶かす攻撃をするってガクブルしてたぞ」
「二種類の属性を合成して操っていたってお話です」
「こわいね」

 でも何で皆して僕を見ながらお話するんだろう?

「名前持ちの特殊個体を強化して、冒険者から苦情がきたんだ」
「へー」
「さらに昨日の午後はギルドに現れて、冒険者登録しようとしてたおっさんに絡み倒して、助けに入った冒険者とくっつけて去っていったんだって」
「ほー」

 なんだか覚えがあるような?

「ママ」
「あい」
「ママのことだから」
「そうなの?」
「そうなの!」

 そう言えば昨日、お守り作りに飽きて家を抜け出し、遊びに行ったギルドでひげ面のおっちゃんを見つけたから熊かと思ってもふりに近付いたらただの人間だったような気がする。
 獣人ですらなく、本当にただの人間だったのには驚いた。
 ひげを引っ張ったり、頭に耳がないか探したけどなかった。

「助けに入ったのは魔法使いの新人だったよ?」
「新人じゃなく、あれでも名前が売れ出した魔法使いだからね。三角帽子にローブなのは単にあいつのこだわりスタイルだから」

 助けた方が年下だったけど、思わずきゅんとした熊おっちゃんはそのまま引き取られたそうです。
 年下攻めという女神様大好きシチュエーション。

「女神様の加護が大活躍」
「おかげで見た目はただのおっさん、実はSSランクの実力者――というフラグが折られて嫁になった」
「はっぴーえんど」

 外見は熊寄りなのに嫁なのか、旦那じゃなくて嫁。
 しかも専業主婦っぽい。異世界怖い。

「ママに絡まれると高確率で運命の相手と出会えるって冒険者が大盛り上がりしててな」
「てれちゃう」
『実際、確率高いのよ』
「獣人相手だとほぼ100%なんだけどな」
「種族を問わない神薙様が凄いです」

 幸せカップル増えて女神様もにっこり、休暇終えた後の楽しみが増えて喜ぶと思うのよ。

「お見合いパーティーに参加を許された連中が張り切って衣装レンタル代を稼ぐのはまぁいい、活気に繋がるし、経済も動くからアカーシャもにっこにこだ」
「あい」
「参加から外れた冒険者が血涙流して参加懇願してくるんだ」
「無念無念」

 参加出来るも出来ぬも運のうち。
 第二回があったらいいね、お問い合わせは……えーっと……騎士様まで。
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