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第三章 世界に降りかかる受難

第541話

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 雨宿りで教会に飛び込んできた四人組。
 その中の一人、陽気なアタッカーのお兄さんがイネスファンだった。

「うぉぉ、ふわふわ」
「毎日ブラッシングしてますからね」
「おおおお肉球も想像以上に」
「存分に味わってもいいですよ」
「神様ありがとぉぉ」

 潤んだ瞳でイネスの全身を撫でまわしております。
 おっさん一人と子供数人といういかにも不審な組み合わせにも関わらず、詮索するより先にしたのがイネスへの貢物だったのだから驚きなのです。

 海や川がある街に寄るたびに海老かカニを購入、他にも各地で手に入ったブラシを神殿に奉納するのが生きがいだとか。
 それ生きがいにしていいのかな?

「今は帝国に行くための資金貯めてて、目標金額貯まったら帝国に出来たイネス様の聖地に行く予定だったんすけど、まさかこんな所でご本人に会えるとは……俺、明日死ぬのかな」
『ご長寿』
「イネスはお腹の毛もふわふわだぞ」
「そ、そんなっ」
「せっかくだからどうぞー」

 両手を広げた小さな豹の誘惑には耐えられなかったようで、そのままイネスのお腹に顔を埋め、動かなくなりました。
 気絶してないよね?

 一方、11歳の外見おっさんはと言うと、教会に入ってきた他のメンバーさんとお話し中。
 仲介はなんとネヴォラ、冒険者と関りが多いので打ち解けるのも本当に早かったのです。頼りになります!

 僕はどちらのお話にも加わらず、廃教会の探検してました。
 でも奥へ続く扉は壊れていて通れず、呪われた何かがあるわけでもなく、すぐに終わっちゃったけどね。
 こう、ファンタジーっぽい隠された何かはなかったです、残念。

 一体いつから放置されているのかは不明だけど、この崩れそうで崩れない木造の椅子が雰囲気あるよね。
 ちょっとお昼寝してもいいかな?
 乗ろうとしたらえっちゃんがお尻を押し上げてくれました。ありがとー。

「えーっと神子様?」
「あい」
「一応あの子? あのおっさん? の事情聴いたけど、誰に報告すればいいですか?」

 誰だろう?
 普段なら僕だけど、今幼児なの、しかも探検して歩いたせいか、おねむです。
 今聞いても右から左なの。

「きりちゃん」
「分かった」

 シャムスの黒子に徹していた霧ちゃんが近付いてきたので丸投げ、気が向いたら後で事情聴くから教えてね。

「どうも人間と魔物のハーフらしくて、生まれた村で酷い迫害を受けてきたみたいです。祖父母が育ててくれたみたいですが、どうも先日亡くなったっぽいですね。あの姿は魔物の成長スピードが反映された結果かと」
「閉鎖的な場所では思うように生きれぬか、兄に相談して魔王にでも身柄を預けよう」

 何やら難しいお話が頭の上で交わされている。
 これはいいBGM、夢の中に一直線です。すぴょーー。
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