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第三章 世界に降りかかる受難

第536話

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 本日の夕食はお庭でバーベキュー。
 お昼に焚火でパンを焼いて食べたことを話したら、騎士様が駄々をこねたのです。
 困ったおとなね。

「珍しく早く帰れたと思ったら、任された仕事が魚のブツ切り」

 めそめそしながら騎士様が屋根の上で魚を斬りまくっている。
 屋根の上なのは下で神薙さんが待ち構えているから、騎士様が斬ると同時に地上に落ちる魚だったものの塊、それを血の一滴すら溢さず食べる神薙さん。
 一種のショーだと思う。

 でもヘラ母さんに見つかったら行儀が悪いって怒られるやつ。

「あの10m級の魚、あと何匹あるんだ?」
「五匹ぐらいですかねー?」
『巨大肉にも火が通った頃かなぁ』
「パパが頑張ればそれだけ俺らがゆっくり食える」

 騎士様にエールを送りながらもアー君は食べる手を止めない。
 僕は刀雲の膝の上でチーズフォンデュを楽しんでおります。
 伸びすぎるチーズにあわあわすることもなく、熱いチーズに慌てることもなく、優雅に食事を楽しめてます。さすがイクメンパパ。

「肉も食べてみるか?」
「うん!」

 焼きたてのお肉を一切れ、あーんってしたらガキンって音がしました。
 イタタタタ。

「この肉、鉄?」
「とうちゃ、それはドラゴンの舌、神薙様用のおつまみ」
「ママには無理ですねー」
『僕らもダメだったの』

 歯が欠けたかも、治癒しておこう。
 はー、痛かった。

 まさかのドラゴンの舌、牛タンならぬ竜タン。
 ファンタジー世界のドラゴンって美味しいというイメージあるんだけど、舌は食べれないのか?
 それとも神薙さん用のだからプロテクトがかかっているとか?

 ううむ、歯が痛かった。

「大丈夫かイツキ、ほらこっちは食べてみたけど柔らかかったぞ」
「ちゆしたので大丈夫、あーん」
『治癒……』
『かあちゃ、とうとう治癒まで使い始めたのか』
『力に溺れて暴走を狙ってるの誰でしたっけ、力を使いこなして前より快適に過ごしてますけど』
『俺らさえ相性悪くて使えてないのに……ママ……』

 とろける味覚の信州牛さん、前回は神薙さんが丸ごと食べてた気もするけど、あれはどこから仕入れた牛だったのだろうか。
 もぐもぐ、噛み切れない。
 飲み込めばいいか、んぐんぐ、あれ?

「イツキ、ぺってしなさい」
「んーん」

 大丈夫、おとこのこだからこのぐらい。
 んぐんぐ。

 ごっくんしようとしたら刀雲がぶっとい指を口の中に突っ込んできて、肉を奪い取られました。
 なおそのお肉は隣で狙っていたローが食べました。むむ。

「ぼく食べれた」
「ローストビーフにしような、ほらあーん」
「あーん」
「かあちゃ待ったぁぁ!」
「そのローストビーフはわさび付いてるやつです!!」

 わさびがつーんです、つーーん!!
 ぴえぇぇ治癒効かないぃぃ!!
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