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第三章 世界に降りかかる受難

第533話

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 お見合いパーティーの参加者が増えたと同時に、お兄さんの国で亜人保護法が成立した。
 亜人には獣人からエルフなども入っており、魔王様の所で暮らしているような魔物達も含まれているとか。

 会議を開いたその日に法案が成立、全会一致だったそうです。
 王様凄いなぁ、さすがお兄さんのパパなだけはある。

『上層部をぺかぁするのは楽しいです、また呼んでもらいたいですねー』
『かあちゃには内緒でいいか、国王に手柄譲ってやろう』
『ぺっかぺかー』

 こうしてコツコツと活動して、獣人の暮らしやすい世界を作っていきたい所存。
 本当は管理画面を使ってぱぱーっと改変したい所だけど、ほら女神様が不憫系好きでしょ、あれが邪魔してる。
 獣人の奴隷設定がある物語も多いしね、おのれっ。

「ん?」
「涼ちゃんどうしました?」
「何か今、誰かに呼ばれた気がする」
「とうとう召喚デビューですか?」
『悪用目的だったらえっちゃんか神薙様に言いつけるのよ』
「かあちゃ、かあちゃ、肉まん食べてるとこ悪いけど、俺の近く来てー」
「あい」

 本日のおやつの肉まん、僕の顔の大きさ基準で作ったらしく大きすぎてなかなか終わらない。
 立ち上がるにも両手がふさがってて立ちにくいので、霧を発生させてスーッと移動。これは便利。

「かあちゃが力を使いこなしている」
「不思議な光景ですねー」
『全ての力が調和しています、さすが謎能力』

 もしや今なら涼玉を抱っこ出来るのでは、と持ち上げようとしたら普通に無理だった。
 全身でぺとっと抱き着いてるだけだねこれ、ドラゴンひんやり気持ちいい。

「……かあちゃが寝そう」
「ママ、ママ起きて!」
『今のママは寝起きが悪いのよ!』
「イツキさまぁぁぁ!」
「ひょぇっ!」

 マールスが咆哮して、ビクッとなった。
 ああびっくりした。心臓ばくばく。

「かあちゃ寝ないで」
「ごめんねぇ」

 ついつい涼玉のひんやりが気持ちよくて。
 謝りながら鱗をなでなで。ついでに翼もなでなで。

 まだまだ赤ちゃんドラゴンだから翼も柔らかい、マールス曰く、順調に成長しているらしい。
 ここ数年、ほぼ外見変わらないけど、順調とは。

 ……待てよ、僕、今幼児、体小さい、顔も小さい、涼玉の翼の間に顔突っ込めるんじゃない?
 や、やっちゃおうかなぁ!!

「かあちゃから不穏な気配がする! 離れて、いや離れたら単体召喚デビューしちゃう? 誰か、にいちゃ助けてぇぇ!」
「涼玉様ぁぁ!!」
「ママの鼻息が荒いです」
『キーちゃんの顔の間やお兄ちゃんのお腹に顔を埋めている時と同じ顔してる』

 涼玉の翼に手をかけ、いざっと構えた所で転移した。
 誰だ邪魔したの!
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