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第三章 世界に降りかかる受難

第531話

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 筋肉が素敵なお兄さん、王太子になってでっかい伴侶も出来て、めでたしめでたし。
 いつもならそこで次の召喚をされたりするのだけど、何と今日は新婚ほやほやのお兄さんのいる国に遊びにきました。

「お兄さんは?」
「ありったけの政務を終えて新婚蜜月真っ最中です」

 キリッと答えてくれたのはあの日、同僚が動くのを抑えてくれていた警備兵さんたち。
 お城の中庭を貸し切り、薔薇の咲き誇る庭園でシートを敷いてピクニック。

 本当は華やかにテーブルなどをセッティングして、お茶会に招待しようと考えたみたいだけど、相談を持ち掛けた教会の友人に止められたらしい。
 曰く、堅苦しいマナーがあるお茶会に呼んでも僕は喜ばない、と。

 確かに!!
 異世界のお茶会の作法なんて知らない!
 茶道ならちょっと分かるけど刀国以外にあるか怪しい。

 どうしたらいいのか相談を重ねた所、友人の上司が通りがかり、ピクニックなら喜んでくれるんじゃないかな、と助言してくれたようです。
 教会の助言が適切!!

 硬いものは食べれないだろうから、砂糖を大量に使っただけのゴリゴリ系お菓子は却下、城で出ているようなパンもまずいから却下、サラダなんて生野菜ちぎってあるだけだから出したら保護者がキレる。などなど、NGを出されまくった末、教会の上層部が次々口や手を出して、ついでに使う食材まで手配して実現したのが今日のピクニック。
 サンドイッチは刀国で当たり前のように流通しているふんわりパン、間に挟まれている野菜は裏庭菜園から仕入れたもの、紅茶は教会が愛用している中で人気が高いもの、お菓子は上層部の人気投票という激戦を乗り越えて選ばれた優しい味のマカロン。

 一言良いかな?

 異国の地なのに出されたものが全部、刀国産!
 思わず幼児返りを忘れて素でツッコミを入れてしまった。

 僕は今幼児だからね、そもそも異世界の料理食べれる顎を持ってない。
 正解なんだけど、それを教会全体に知られているのが、なんか、こう、ぐぬぬ。

 用意されたものは美味しくいただきます。
 でも僕を接待してくれている警備兵さんたち、訓練が足りないのか筋肉が薄っぺらい、精進したまえ。

「おやおや神子様、楽しんでくれておりますかな?」
「おいしー」
「ほほほ、ですが筋肉が足りないのではないですか? 暇そうな男がいたので連れてきましたぞ」
「!?」

 ピクニックを楽しんでいたら、そこにローマ風の祭服を着たおじいさんがやってきた。
 警備兵さんが「食材と調理法を提供してくれた教会の方です」と教えてくれた。

 そのおじいさんが生贄のごとく差し出したのは、黒いズボンに白いシャツというラフな格好をしたおじさん。
 ただ警備兵さんたちに比べて筋肉が凄い、胸筋がここからでも分かる!!

「非番の親父ですが、座椅子にいかがですかな?」
「あい!!」
「司祭テメェっ」
「ほほほ、神子様のご機嫌は取っておいて損はありません」

 ぐいぐいと背中を押され、無理やり座らされたおじさんの膝にどっこいしょ。
 この筋肉、ボディビルダー。

 あれ?
 そう言えば今日って何で呼ばれたんだろう?
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