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第三章 世界に降りかかる受難
第521話
しおりを挟む今日も元気に呼び出された。
しかも呼び出した人間は半泣きというか、すでに泣いていました。
どうしたの!?
「神は我らを見捨てなかった」
「うぅ、奇跡じゃ」
「善行積んできて良かった」
「解脱しちゃう」
「ありがたやありがたや」
僕が応じて姿を現しただけでこの騒ぎ、号泣したり感激したりで話にならないのです。
小さい子も混じっているけど「はわわ」と言っているだけで会話にはなりそうにない、おじさんは肩にイネスを乗せ、おじいさんは拝んでまだ会話は無理。
男しかいないのかな、女子禁制?
僕を呼び出した魔法陣の光が収まり、改めて周囲を見たけどやっぱり女性はいなかった。
ここまで徹底として女性がいない場所も珍しいけど、女神様が管理している世界だからなぁ、女子禁制が一つぐらいあっても不思議はないか。
むしろ今までなかったのが逆に不思議なぐらいかもしれない。
おっと無理難題言われる前に自己主張しておかないと!!
「僕これから肉まん作るの」
「あの、肉まんは作れないですけど、おやきならあります!!」
名乗りを上げたのは頬を赤く染め「ふぇぇ」と声を漏らしていた少年。
えっおやき?
それは食べたい。
ピリ辛好きだけど、今子供舌だから辛いのだめなの、甘めで。
「えっと、今あるのは聖なるネギを使ったネギ味噌のおやきです!」
「あい」
魔法陣の上から整えられた場に案内されました。
畳がこの世界にもあったのか……座る僕の前には子供になっている僕でも使いやすい高さの机、お茶は煎茶、お皿にはおやきが三つ。
こんがり焼きたてのいい匂いがします。
幸せな気分でもぐもぐしていたら、お土産ですと数十個もらった。
凄い、太っ腹。
帰ったら皆と食べれる!
でもね、胃も小さくなっているからおやき一個しか食べれなかった。
無念なり、えっちゃんが食べてくれたけど。
「エビチリおやきも美味しいです」
最近呼びされるたびに色々貰っている気がする。
大きい時はこんな事あまりなかったような?
む、これは今の方がお得なんじゃない?
お煎茶が凄い美味しい。
お水が違う気がする!
「ここならお蕎麦育てられると思います」
「むん?」
聞きなれた声に目線を巡らせたら、おじさんの肩でイネスがおやきを食べていた。
…………そういえばいたね!!
気付いていたはずだけど脳に届いてなかった!
「聖なる山から湧き出る天然水、それを研究して作った天然の聖水。で作る聖なる料理!!」
「わさびを始めとした数々の特産品!」
「聖なる稲もこの通り!」
「先日から蕎麦も育て始めました!」
「こちら聖水で作った化粧水、火傷にいいです!」
イネスに続いて怒涛のアピールをされた。
もしやここはイネスの隠れ家というか、もう一つの管理している村かなにかなのだろうか。
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