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第三章 世界に降りかかる受難

第513話

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 シヴァさんの活躍で村が一つこの世から消えました。
 僕まだ何も命じてない……。

 そして小さくなった僕を高い高いしたり、頬ずりしたり、手を繋いでお散歩したりと気が済むまで愛でられました。
 これがシヴァさんの力を借りた代償、精神的負担が半端ない。二度とやらないと誓います。
 あとお散歩ちょっと疲れた。

 お猿さんが保護していた子供たちはというと、精神状態から健康状態、生活環境全て問題なしとシヴァさんが認めたので、これからもお猿さんと魔物が守る集落で暮らしていくことになりました。
 将来、外の世界に行きたがったり、市井で暮らしたい子が出たら冒険者ギルドに連絡するようにとシヴァさんがアドバイスしてた。
 そこは自分じゃないんだね、まぁ外の世界に興味を向ける頃は成人してるだろうし、そのせいだろう。

「なんて思っていたら、召喚二連続。僕もてもて」
「キ」

 ドラゴンさんが王様の座る椅子を前にぎゃおーんと大暴れ、物語のクライマックス的な空気を感じちゃう。

「なぜこんな所に子供が」
「誰かに呼ばれました」

 ボロボロになった剣士さんが定番のセリフを言ったので一応答えてみた。
 召喚または神への祈りに答えてじゃじゃーん。

 現状、どちらに味方していいか分からない。
 でも僕としてはどんな事情があってももふもふの味方でありたい。
 邪神上等、邪神は身内なのです。

 なんて思っていたら、ドラゴンが僕をそっと持ち上げ、僕を助けようと動いた人間を尻尾で薙ぎ払った。
 容赦のないフルスイング、人間が柱を貫通する勢いで吹っ飛んだよ。あっ、本当に貫通して壁に激突した。

 宝を扱うように優しく肩に乗せられたので、そのまま楽しくロデオした。
 人間の叫びが煩いのと、いくら広間が広かろうともドラゴンでロデオするには手狭だったので壁をぶち抜いて外に飛び出し、そのまま思う存分走り回りました。

 異世界ですから、現代社会と違って建物が脆いんだよね。
 壁を壊せばそこから崩れるのは当然で、しかも近辺でドラゴンが暴れれば振動でさらに崩れるってものです。

 遊び終えたら城が崩壊してた。
 賠償をする必要があるのかどうか、それが問題だ。

「ドラゴンさん、僕のおうちに遊びに来る?」
「ぎゃおん」
「じゃあ行こう」

 人間が瓦礫から出てくる前に去る。
 三十六計逃げるに如かず。です!

「そんな午前中だった」
「ママがいないと思ったら!」
『すでにお出掛け後だったとはー!』
「人間もさ、儀式は午後からにしよう!? なんで朝っぱらからやるの!?」

 お昼ご飯を食べながら報告したら涼玉が咆哮した。
 ごめんごめん、お昼のカレー美味しい、運動した後だからいつもより美味しく感じます。

「所でドラゴンさんは何で暴れていたんです? 涼ちゃん事情聴けました?」
「おう、どうやら卵を盗まれたみたいだな、んで気配を追って殴り込みに行ったみたいだ」
『えっちゃん卵あったかなぁ?』
「キキ」

 盗まれた卵は全部えっちゃんが回収、闇で保護していたので無事でした。
 さらに持ってきたのは卵だけじゃなく、お城が崩壊したついでに宝物庫の中身も全部貰ってきたのはびっくり、えっちゃん曰く僕を召喚した対価だって。

 貰ってきたのは全財産だけなので、少年が消えたら僕らじゃないです、シヴァさんです。
 教会に訴えても無駄なので諦めてください。
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