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第三章 世界に降りかかる受難
第512話
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アー君とともに登校して昨日一日学園生活をエンジョイした樹です。
今日はテンプレ事件は起きなかった。
なぜなら僕が召喚されてしまったからです。
そう言えば女神様の代理続行中だった。
僕が小さくなったり、子供達を振り回していてみんな忘れていた気配がする。
ん?
待てよ、僕が召喚されること自体がテンプレになりつつあるような?
つまりこれもテンプレ事件の一環!?
本日の召喚理由は割と切実のようで、僕が子供の姿でも侮ったり罵ったりなどせず、土下座して話を聞いてほしいと懇願されました。
これは新鮮。
なになに、邪悪な存在に生贄を要求され、滅茶苦茶困っている感じ?
……神薙さんのことかな?
「えっと、相手はどんな存在?」
「魔王を名乗っており、生贄を差し出さないとこの村を魔物の軍勢に襲わせると」
余裕で解決できる事案だった。
問題はどんな形で解決するか、になるのかな?
いや待てよ、意外とこの話には裏があって、正義感に溢れた相手を退治に向かわせ、実はその者こそが生贄の本命――というルートもないとも言い切れない。
むしろそっちの方が面白そう。
よし、どっちでも面白そうだから、真偽を確かめるために自称魔王の所に行くぞ!
(えっちゃん、えっちゃん、僕が行くと言っても止める気配ないよ)
(ギー)
すでにこの時点で真っ黒だけど、とりあえず行ってきます。
村人の見送りを受けて自称魔王がいるらしい山に向かいながら考える。
呼び出すの、誰がいいかな?
生贄前提で僕を送り出したから第一候補はカイちゃん。
第二候補はシヴァさんかなー?
生贄が未成年限定だったら誰を呼んでも割り込んで来る気配がする。
「そもそも、子供を一人で山に向かわせるのもどうなんだろう、せめて途中まで馬車で送るとかしてほしい」
「きゃー誰ぇぇ!!」
途中で霧を発生させ、人の視線を外してからえっちゃんの転移で自称魔王の住処にやってまいりました。
鼻歌歌いながら天然露天風呂に入っている大きな猿の魔物がいたので、後ろから話しかけたら痴漢扱いされた。
「あー生贄ぇ? またぁ、待って、待って、君の後ろで闇が大きく盛り上がってるの止めよう?」
えっちゃんが伸ばした闇の先端をドリルにした所でストップがかかった。
そこで露天風呂から出てくると思いきや、頭にタオルをのせて姿勢をだらけさせただけだったのです。僕が言うのもなんだけど、侵入者を前に寛ぎすぎじゃない?
「そもそもさぁ、生贄の始まりは口減らしだったのよ。あの村も飢饉でボロボロでさー」
小さな子供に山で実りを取ってこいと言って送り出す。持ってこれればよし、魔物に襲われて食われたら一人減るだけ。
……にっこり笑顔のシヴァさんが準備体操を始めた気配がする。
「俺は植物を育てるのが趣味でな、偶然ここに辿り着けた子供から話を聞いて、気紛れで飯を与えた後は作物を持たせて帰したんだけど……数日後、その子は瀕死でここに戻ってきた」
「村の人にやられたの?」
「持ち帰った食べ物は全て奪われ、柱に縛り付けられてどこで手に入れたかと聞かれたから怖くて全てを話してしまったと泣きながら謝られたなぁ」
手当をして、食事をとらせ、もう村には返さずに一緒に暮らすことにしたらしい。
「この場所を話したのに襲撃はなかったの?」
「俺、そもそもここの山のボスだしな、魔物に子供以外は殺して良いって言ったから、集団で入ってきた所で魔物の餌になるだけよ」
大人は入れない。
子供しか入れない。
子供を使い捨ての道具のように使う村人に、このお猿さんは森に入った子供を全て保護。
話を聞いて頭に来たので、魔物と一緒に村を襲撃、村にいた子供を全てさらってここに連れてきてしまったらしい。それが数年ほど前の話。
自称魔王というより、村人が勝手に魔王と呼んでいるだけかー。
生贄を差し出さないと魔物の群れに襲われる。は魔物の報復を同情を誘う形に変えて伝えたのかな。
「子供たちは?」
「上の方で集落作って暮らしてる。最初は泣いてた子供もいるけど、今はもう泣いてない」
子供が根こそぎ居なくなった村は魔物の影に怯え、辿り着いたのが生贄召喚。僕ですね。
「あの村いらない?」
「悪習を繰り返す村なんてなくなっても誰も困らないだろうな」
「分かったー。シヴァさーーん!」
「行ってきます」
呼んだら事情を話す前に村に飛んで行った。
街だろうが都市だろうが単独で滅ぼす力を持つシヴァさん、小さな村相手ならなんの心配もないだろう。
とりあえず戻ってくるまで足湯を楽しみました。
今日はテンプレ事件は起きなかった。
なぜなら僕が召喚されてしまったからです。
そう言えば女神様の代理続行中だった。
僕が小さくなったり、子供達を振り回していてみんな忘れていた気配がする。
ん?
待てよ、僕が召喚されること自体がテンプレになりつつあるような?
つまりこれもテンプレ事件の一環!?
本日の召喚理由は割と切実のようで、僕が子供の姿でも侮ったり罵ったりなどせず、土下座して話を聞いてほしいと懇願されました。
これは新鮮。
なになに、邪悪な存在に生贄を要求され、滅茶苦茶困っている感じ?
……神薙さんのことかな?
「えっと、相手はどんな存在?」
「魔王を名乗っており、生贄を差し出さないとこの村を魔物の軍勢に襲わせると」
余裕で解決できる事案だった。
問題はどんな形で解決するか、になるのかな?
いや待てよ、意外とこの話には裏があって、正義感に溢れた相手を退治に向かわせ、実はその者こそが生贄の本命――というルートもないとも言い切れない。
むしろそっちの方が面白そう。
よし、どっちでも面白そうだから、真偽を確かめるために自称魔王の所に行くぞ!
(えっちゃん、えっちゃん、僕が行くと言っても止める気配ないよ)
(ギー)
すでにこの時点で真っ黒だけど、とりあえず行ってきます。
村人の見送りを受けて自称魔王がいるらしい山に向かいながら考える。
呼び出すの、誰がいいかな?
生贄前提で僕を送り出したから第一候補はカイちゃん。
第二候補はシヴァさんかなー?
生贄が未成年限定だったら誰を呼んでも割り込んで来る気配がする。
「そもそも、子供を一人で山に向かわせるのもどうなんだろう、せめて途中まで馬車で送るとかしてほしい」
「きゃー誰ぇぇ!!」
途中で霧を発生させ、人の視線を外してからえっちゃんの転移で自称魔王の住処にやってまいりました。
鼻歌歌いながら天然露天風呂に入っている大きな猿の魔物がいたので、後ろから話しかけたら痴漢扱いされた。
「あー生贄ぇ? またぁ、待って、待って、君の後ろで闇が大きく盛り上がってるの止めよう?」
えっちゃんが伸ばした闇の先端をドリルにした所でストップがかかった。
そこで露天風呂から出てくると思いきや、頭にタオルをのせて姿勢をだらけさせただけだったのです。僕が言うのもなんだけど、侵入者を前に寛ぎすぎじゃない?
「そもそもさぁ、生贄の始まりは口減らしだったのよ。あの村も飢饉でボロボロでさー」
小さな子供に山で実りを取ってこいと言って送り出す。持ってこれればよし、魔物に襲われて食われたら一人減るだけ。
……にっこり笑顔のシヴァさんが準備体操を始めた気配がする。
「俺は植物を育てるのが趣味でな、偶然ここに辿り着けた子供から話を聞いて、気紛れで飯を与えた後は作物を持たせて帰したんだけど……数日後、その子は瀕死でここに戻ってきた」
「村の人にやられたの?」
「持ち帰った食べ物は全て奪われ、柱に縛り付けられてどこで手に入れたかと聞かれたから怖くて全てを話してしまったと泣きながら謝られたなぁ」
手当をして、食事をとらせ、もう村には返さずに一緒に暮らすことにしたらしい。
「この場所を話したのに襲撃はなかったの?」
「俺、そもそもここの山のボスだしな、魔物に子供以外は殺して良いって言ったから、集団で入ってきた所で魔物の餌になるだけよ」
大人は入れない。
子供しか入れない。
子供を使い捨ての道具のように使う村人に、このお猿さんは森に入った子供を全て保護。
話を聞いて頭に来たので、魔物と一緒に村を襲撃、村にいた子供を全てさらってここに連れてきてしまったらしい。それが数年ほど前の話。
自称魔王というより、村人が勝手に魔王と呼んでいるだけかー。
生贄を差し出さないと魔物の群れに襲われる。は魔物の報復を同情を誘う形に変えて伝えたのかな。
「子供たちは?」
「上の方で集落作って暮らしてる。最初は泣いてた子供もいるけど、今はもう泣いてない」
子供が根こそぎ居なくなった村は魔物の影に怯え、辿り着いたのが生贄召喚。僕ですね。
「あの村いらない?」
「悪習を繰り返す村なんてなくなっても誰も困らないだろうな」
「分かったー。シヴァさーーん!」
「行ってきます」
呼んだら事情を話す前に村に飛んで行った。
街だろうが都市だろうが単独で滅ぼす力を持つシヴァさん、小さな村相手ならなんの心配もないだろう。
とりあえず戻ってくるまで足湯を楽しみました。
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