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第三章 世界に降りかかる受難

第503話

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 起きたら銀色のもふい狼のお腹を枕にしていた。
 ビバわんこ枕。

「るど」
「わふん」

 大当たり。
 エム、ロー、ルド、ルークは見た目が同じだけど、僕はちゃんと見分けられるのです。
 わんこ博士と呼んでほしい。

「起きたから遊びに行きます」
「!?」
「るどよさらば、またごはんのお時間に」
「キャン!!」
「お兄ちゃんありがとっ!!」

 とやっとえっちゃんの闇に飛び込む寸前、イネスがべちーんと首に絡みついてきた。
 飛び込み乗車は危ないよ、首がぐえーってなりました。

「到着」
「えっちゃん、フォローお願いしますね。私じゃママの暴走止められないのは分かっています」
「キ!」

 失礼な、僕は暴走なんてしないとてもいい子でござる。
 闇にとぷんとして到着しました目的地、危ない事はしないよ刀雲と騎士様と約束したからね。

「ここはどこでしょう? 洞窟?」
「ダンジョン」
「はい?」
「ドラゴンしゃんあーそびーましょー」
「キャィン」

 春まだ遠い某ダンジョン内に犬の悲鳴に似た声が響いたとある日、それが誰の悲鳴かは名誉のために伏せられている。


 俺たち仲良し四人組。
 出身地はそれぞれ違うが、出会った頃から気が合って、時に馬鹿を言いながら苦難を乗り越えて全員でA級まで上り詰めた。
 もしかしたら俺らならS級パーティー認定されるんじゃねぇかって、きゃっきゃしてたんだ。
 あれ、淡い夢に終わるかもしれない。

「リーダー、エンシェント・ドラゴンだ、指示を!!」
「いやいやだめだめ、だめぜったい!」
「攻撃してもしなくても死にそうってなに!?」
「一番足早いの誰だ、ギルドまで走ってこい! 無理ですね、ここから十日かかるよこんちくしょう!」

 A級指定されているダンジョンの最奥、ラスボス部屋にいたのは岩にしか見えない巨大なドラゴン。
 外で出会ったら街の一つや二つは壊滅するだろうエンシェント・ドラゴン、いやこれレイド組む相手じゃないですかね?

 いや違う、問題はエンシェント・ドラゴンじゃない、その頭の上できゃらきゃら笑っている幼子だ。

「いけーやっつけろー!」
「あのっ、ママがごめんなさい! 後で生き返らせるから大丈夫です!」

 幼子の前から顔を出し、身を乗り出してこちらに声をかけているのは、熱狂的なファンを抱える神獣イネス様。
 あのイネス様の母といえば一人しかいない、統括以上の地雷というか歩く混沌というか、とにかく、知らない奴はもぐりの冒険者だと言われるぐらい有名な神子様。

 神子様が小さくなっている衝撃の事実。
 エンシェント・ドラゴンと神子様とイネス様、誰が一番やばいって、神子様一択だ。

「攻撃が来るぞ!」
「かまえー」
「うわぁぁっ! ああああぁぁ、あぁ?」
「防御以前の問題だこれーー!!」

 ブレスで仲間が吹っ飛び、壁に激突して跳ね返って元の場所に戻ってきた。

 統括、これ無理です。
 B級にランク落としても良いので助けてください。
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