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第二章 聖杯にまつわるお話

第500話

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 食事、デザート、飲み物、準備完了。
 会場は元々うちの持ち物なので予約とかは必要ない、パーティー会場の設置などはアカーシャと親衛隊がこなしてくれているようです。
 家族が頼もしい。

 僕としては参加者はあの日、あの場所にいた冒険者だけという認識だった。
 ところが俺らも参加させろという要望が次々届き、あっという間に百人以上の規模になった。多いのか少ないのかちょっと分からない。
 多いのかな?

 あとあの日の冒険者以外の人間参加者はクジ引きになり、落選した人はすでにアー君に次の開催予定を問い合わせているとか。
 大当たりした人の中にはアカーシャ親衛隊の人も二人ほど混ざっているらしく、その情報にギルドが揺れたとか揺れないとか。

 まぁ何にせよ、始まる前から熱気が凄い。

 座敷に皆で集まって作業しているけれど、そこには神薙さんもいて、モリモリと奉納品を食べながら僕らを応援してくれている。
 お見合いパーティーが決まったその日から、神薙さんに奉納される品が倍以上になりました。

 縁結び効果絶大だからね、ご利益をもらいたくてガチめの参拝してる冒険者と、次回こそ抽選に当たりますようにと願掛けする冒険者が毎日神薙さんに貢いでいるんです。
 おかげで我が家の邪神様がご機嫌、これは僕が思っている以上に成婚率上がるんじゃない?

「こ、ここ、これ、エクスカリバー!!」
「歯ごたえあって美味しい」
『聖なる盾もあるよ』
「こっち俺でも分かる歴史ある王冠だ」
「蟲毒詰め合わせみたいな壺もありますねー」

 もちろん普通は食べ物に分類されない武器防具から財宝まで様々なものが貢がれたけど、神薙さんは食べれるので特に問題はない。
 ただうちの子の精神にダメージ入っている気がするけど。

「オリハルコンの竪琴まである。芸術品だろぉ、これぇ」
「ダンジョン産ですかね?」
『欲しいならタイガに作ってもらうのよ』
「太鼓ないかな?」
「あるよ、欲しいならあげる」
「ほあぁぁ!!」

 涼玉の言葉を拾い上げた神薙さんがアイテムボックスから取り出したのは、雷神様が背負っているあの雷神太鼓だった。
 えっ、ダンジョンってあんなものまでドロップするの?

「え、おおおぉ、た、いか、対価!!」
「この前ピザもらったから上げる」
「ふぉおおお!!」

 まさかの神薙さんが無料譲渡、この間のピザ食べ放題がよほどお気に召したようだ。
 そして涼玉の興奮に連動するように、庭にある聖なるさつま芋がビッカビッカ光っているんですけど。

「涼いいなぁ、ちょっと装備してみろよ」
「うん!」

 卵の殻を装備したちびっ子ドラゴンに合わせ雷神太鼓が縮小した。まさに神の太鼓。

『涼ちゃんかぁっこいい』
「忙しい、そりゃもう死ぬほど忙しい、でも新しい装備試すの見たい」
「はいです!」
「にいちゃの領地で一曲だけ、一曲だけ踊ってくるのは?」
「そうだな、人生息抜きも必要だ! じゃあパパ俺ら休憩してくるから!」
「ちょっとアー君!?」

 騎士様が止める間もなくうちの子たちは遊びに行ってしまいました。
 ……僕たちも休憩しましょうか、ドリちゃんショートケーキと紅茶お願いしまーす。
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