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第二章 聖杯にまつわるお話
第498話
しおりを挟む世の中を恨んでいた不憫系、見事あの怪しい青年とご成婚が成立しました。
神薙神社に奉納品が届いたから間違いない。
薄暗い笑みがぞわっとしたと神薙さんに言われたあの青年、女神様の趣味の範囲なんだろうけども。
顔のいいヤンデレかぁ、近寄らんとこ。
「ママ、冒険者から見合いに着てく服をどうしたらいいかって聞かれるんだけどなんでかなー?」
「大規模なお見合いパーティーするの。魔王城にいる独身魔物とかどうかな?」
「……女神の代理関係なくない?」
「あると思うよ、女神様って愛を司ってるし」
「うぅ、俺服の手配なんて分からないぃ」
「我が家の服はドリアンが用意してくれてるからねー」
うーん堅苦しくなりすぎず、でも清潔感のある服かぁ。
アカーシャに相談してみよう。もしもしアカーシャさん、かくかくしかじかで服が大量に必要なのだけど、どうにかなりますかー?
「アカーシャが服のレンタル手配してくれるって」
「え、いつの間に?」
「えっちゃんを利用した糸電話みたいな何か」
紙コップの部分はドリちゃんカップ、糸の部分はえっちゃんの一部だけどね。
実はウィンドウ画面もどきも出来るし、チャット機能っぽいものも出来る。しかし僕が日本語しか出来なくてこちらはお蔵入り。
「会場はどこがいいかなぁ?」
「城借りるのもいいけど、参加者が冒険者中心なら魔王城やキャンプ場とかでもいいかもな」
「じゃあキャンプ場にしよう、ドラマチックな演出でどうにかこうにか…………僕、お見合いパーティー系のいろは知らないや」
女神様は知ってそう。
「ママ……なんでこんな企画立てちゃったんだ」
「泣いて懇願された」
結婚したい、出会いが欲しい、きっかけだけでも何とか!! そんな感じの切実な叫びに、神社に行って縁結びお守りを狙ったほうが早いと言おうとして思い出したんだよね、今女神様の代理やってる最中だって。
じゃぁ代理権限使ってバカップル増やしてみようかなーって思いつきました。
「とりあえず衣装代は自分たち持ちで、料金はどのくらいに設定すっかなー?」
「アー君出してあげたら?」
「衣装代を出す金すらない奴に相手を探す資格はない、女神ヴィシュタルの愛し子であるママ主催だぞ、安っぽい催しにするわけにはいかない」
そんなやり取りをしている間にも、えっちゃん経由で魔王城サイドからの参加者一覧が届いた。
「かあちゃ、ラセンの街にいる魔物も参加するみたいだぞ」
『魔王城のコックさんが裏方お手伝いしてくれるって』
「レッサーデーモンも参加するみたいです、なんだか参加枠が増えてます?」
「一つ目親分のとこの子分も参加したいってお手紙預かって来たんよ」
冒険者より魔物の参加が多くなりそうだけど、お見合いさえ成功すれば僕の役目は果たせるよね?
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