神様のポイント稼ぎに利用された３

第二章 聖杯にまつわるお話

第491話

　僕は現在、砂漠の国にて孫に囲まれてキャッキャウフフしています。
　初めて顔を合わせた時は獅子のように自信に満ちた王子様だったハイダル君、今は雰囲気が落ち着いて良き聖母となっています。ママ友？

「ばあちゃ」
「虎さんぐるるって」
「なでなでが気持ちいいのかなー？」

　カイちゃんが教会に現れた直後、一瞬にして教会の屋根が消し飛んだ。
　そこまでは覚えているけど、気付いたらここに送られたので今どうなっているかは不明。
　死人出てないといいけど……。

　花婿である虎さんはなぜが僕と一緒にいます。
　獣人だったはずだけど今はどこからどう見てもただの虎。
　ごめん、僕がタイガー、タイガーって脳内ではしゃいだせいかもしれない、戻らなかったら責任を持ってもふもふズに迎え入れるから安心してほしい。

　なんて企んでいたのがバレたのだろうか、ハイダル君が生んだカイちゃんの子供達に望まれ、虎さんはそのまま砂漠の住人になりました。
　砂漠の気候が虎の生態に合わない可能性が本来ならあるかもしれないけど、謎能力の影響を受けた今なら火山の中でも快適に暮らせるよ。

　なお、この虎さんはネリちゃんの部下の一人で、帝国と繋がりを強化するための婚姻だと後日知らされた。
　ただの虎になってしまったうえ、帝国ではなく砂漠の国と繋がりを持つ結果になった今回、ネリちゃんが頭を抱えたのは想像に難くない。
　何度でも言おう、僕はただの被害者です！！

「陛下」

　現在僕と孫たちがいるのは謁見の間、大臣の報告を聞いてそれに答えるお仕事中だったけれど、カイちゃんが呼び出しに応じて行ってしまい、代わりに僕が登場したことでお部屋で大人しくしていた孫が大集合。
　後宮ないはずなのに子だくさん、乳児だからここにはいない子も含め何人いるのかな？
　きっと一番大きくて美形なこの子はセティとの子供じゃないかな？　まぁハイダル君の血は継いでるから問題ないのだろう。

　現在の議題は日照りからくる食糧不足。
　呪いの影響が変動し、雪山が拡大したために起こった問題などなど。

　……ごめん、呪いが拡大したの我が家のせいだね。
　王様が快適に過ごしてるから呪いが弱まるかと思いきや、まさかの呪いの拡大。
　雪山が拡大したのはイネスとネヴォラがホワイトドラゴンに乗って爆走したいと駄々を捏ね、それを古代の王様が叶えたという裏話があってですね、本当にすみません。

　カイちゃんの怒りに触れ放浪の民になった者が寒さに耐えきれず、慈悲を乞いに王都に押し寄せているとか。
　それによって犯罪が多発し、治安が悪化しているとのこと。

　流浪の民はねー、ちょっと僕にはどうにも出来ないかな？
　怒りの原因、僕を召喚して閉じ込めて殺そうとしたことにあるからねー、まぁ僕としてはもふもふ傭兵団が仲間になったので満足だけど。

「義母上ははうえ」
「あ、はい」
「食料だけでもどうにかならないか」
「なるよー」
「……なるのか」
「お金があるならアー君にお願いすればいいし、継続性が欲しければ涼玉かな？」

　うちの子は派手に活躍する場面があればとても喜ぶと思います。
　ついでに言うなら屋台とか出店してお祭り形式にするともっと張り切るよ。

「あ、でも量によっては人手派遣した方がいいかな？　用意するのは簡単だけど、収穫が大変だから」

　刀国騎士団曰く、将軍のブートキャンプ受けたほうがマシ。と言われる悪夢のお仕事らしいです。