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第二章 聖杯にまつわるお話

第468話

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 我が家のパンドラちゃん、別名歩く地獄の釜の蓋。
 最近どこかに遊びに出かけては上機嫌で帰ってくる。

 そして本日、出かける時は黒地の短パンを履いていたのに、帰宅したら純白のローブを羽織っていた。

「かあちゃん、かあちゃん! 私聖女になった!」
「んんん?」
「腹空かせてる奴らがいたから飯食わせてたら、いつの間にか聖女って呼ばれてさぁ! 教会のおっちゃんがノリノリでこの衣装くれた! この光沢のある布地ちょうカッコイイ!! 他にも金糸で刺繍も入ってるし、袖には虹色の糸で肉球入れてくれたんだ!」
「あっ本当だ可愛い」

 この小さな肉球はイネスの形かな、喜んで足型取らせたんだろうなぁ。
 もうその時点でご利益ありそう。

「それにしても今日は帰ってくるの早かったね、お昼食べる?」
「食べる! 食べたらまた遊び行ってくる!」
「毎日どこに行ってるの?」

 ひとまずクリーンを全身にかけ、大人しく座らせてからアイテムボックスから和菓子を出してパンドラの前に置いた。
 今日はぷるるん食感の水菓子、桃にしか見えない桃ゼリー。

「あー幸せー、毎日のおやつと三食と夜食の為に生まれてきた」
「食べる回数多いね」
「夜中にお腹が空くんだ。こっそり部屋を抜け出してドリアンにラーメン作ってもらってる」

 思わずパンドラの全身を見る。
 ボンキュッボンな最高のスタイルで、食べた物がどこにいったのか分からないぐらいお腹もぺったん。
 女神様は最近贅肉がちょっと怪しいのに、まぁ素敵。

「でさー、貧乏でも簡単に作れそうな料理ってない?」
「たまにその手の質問されるけど、そもそも貧しい時点で料理をする余裕がないと思う。刀国じゃないんでしょ」
「うん国外、芋だけじゃなく小麦とかまで枯れてるみたいでさぁ、食うもんないみたい。とりあえずひよこ豆だけは渡して来たけど」

 普段なら涼玉が無双すると大張り切りする所だけど、あいにく今一番熱中しているのはパンドラのための食糧調達だからなぁ。
 それもただ食糧を集めるだけじゃなく、満腹度が高そうな植物の研究、魔力や属性付き植物などの研究も入っているんだよね。

 主に双子が。

 また留学するのかと思ったら、属性が安定しない妹のために研究を始め、ドはまりして帰ってこなくなった。
 寝食忘れて研究してるらしいけれども、その辺はドリアンを派遣してあるので多分大丈夫。

 涼玉、シャムス、イネスの三人はすでに研究は双子に丸投げし、日々果樹園に通って植物の魔改造に勤しんでいる。
 クリスタル林檎に次ぐとんでも植物がそのうち爆誕すると思う。

「うーんトウモロコシとかどうだろ?」
「トウモロコシ?」
「この間イネスがポップコーン食べたいって言ってたから、育てて奉納したら地元に遊びに行くと思う」

 人道的支援するお金も権力もあるけど、神様の力振舞うのが一番早い。
 飢えからくる薄暗い雰囲気も、イネスがぺかぁとすれば解決するしね。

「僕はキャラメル味が食べたい」
「ポップコーンってあれだろ、この間えっちゃんの影絵見ながら食ったおやつ」
「うん、バニラ味も美味しかったでしょ」

 うちの子はそれぞれ好みがあるから、色んな味を奉納すると好感度高いと思う。
 味付けに使う何かはパンドラが調達すれば解決だね。

「かあちゃん、トウモロコシの種ってどうやって手に入れるんだ?」
「……」

 裏庭菜園に多分あるはず、でもあれ高級品だから土地の力が弱いところで育つか微妙。
 あとポップコーンを作れる品種じゃなかったような。

 結局、メニュー画面で購入した。
 ネット購入って便利だよね。
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