神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第446話

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 魔素に対する耐性がないなら付ければいいじゃない。

「今ならなんとどんな環境にも適応するひよこ豆が無料で手に入る!」
『一家に一袋!』
「かあちゃの期待に応えるため、滅茶苦茶進化した」
「周囲の魔素を使って成長します」
「魔素抵抗がゼロの人間でも、このひよこ豆を食えるのが凄いよな。自分の効果を最大限に発揮するために、人間の体を変化させるんだよこいつ」

 健康体でないと食べても美味しく感じられないのではないかと考えたひよこ豆は、弱った人間の心身に自分が貯蓄した魔素を行きわたらせて活性化、ご飯を美味しく食べれる状態に持っていく効果がある。
 以上、ひよこ豆の研究家であるイグちゃんの見解です。

 ……僕はどこに突っ込めばいいのだろうか。
 ひよこ豆って豆だよね?
 豆が考えるの??
 涼玉が植物に与える進化のレベルが想像以上だった。

 そういう訳で魔素に対する抵抗力を付けるならひよこ豆が最適、教会から戻ってきた領主さんにトンで渡したら腰を抜かされた僕らです。
 異世界に10トントラックはないので、我が家のえっちゃん経由ですがお受け取りください。

「そうだね、良く考えたらこんなにいらないね」
「面白くて止めなかった俺らも悪い」
「豆を適当に撒けば解決ですけど、ついつい在庫があったから」
『枯れ木に豆を咲かせるのー、ぱらぱらー』
「すげー木に豆が実った」

 霧に乗ったシャムスが上空から豆を撒いている。
 楽しそうだなぁ、と見守っていたら端から豆が実りまくっていました。
 これ誰が収穫するんだろうか。

 そう思っていたらギャァギャァと鳴きながら烏に似た野鳥が飛んできて、木に実った豆を啄んでムキムキな怪鳥に進化した。
 今日は久しぶりにツッコミが多い日だなぁ。

『これ一軒に一袋配ってきてね、お遣い終わったらクッキーあげる』
「「クエェェェェ!!」」

 シャムスと何らかの契約を交わしたのか、筋肉怪鳥は甲高い鳴き声を上げると山と積まれたひよこ豆の袋を咥えてそれぞれ街の方角へと飛んで行った。
 おお、これは便利、さすがシャムス。

「あのさ一言いいか?」
「女神様まだいたんですか!? 用が終わったら覗き見のためにさっさと帰ったと思ってました!」
「ずっとイツキちゃんの横にいたんだけど!」

 豆咲かシャムスを見ていて視界外でした。まことに遺憾です。

「えっと、それでなんですか?」
「今目の前で進化した鳥、あれドラゴンの雛だぞ」

 明日探しに行こうと思っていたら向こうからきた。しかも群れ単位。

「かあちゃ、シャムス兄が今の奴らに手伝ったらクッキーあげるって約束したって」
「サクサククッキー出してあげてください」
「分かった」
「麒麟からOK出たぞー、これ正式な誓約書な。ほいやる」
「え? は?」

 イグちゃんから渡された書状を手に固まる領主さん、中身を知ったら気絶するんじゃないかなぁ。
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