神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

文字の大きさ
上 下
454 / 923
第二章 聖杯にまつわるお話

第445話

しおりを挟む
 魔力過多のショタはクリーンで街をピカピカにして魔力を使いまくり、成人した大人は教会の一室を借りて女神様の慈悲に縋るための儀式を決行。
 こうして僕らはアー君のペンフレである領主さんの持つ悩みを解決しました。
 数か月もすれば新しい命も生まれて、賑やかになるでしょう。

「クリーンを連発することで魔力は使うし、街は綺麗になる」
「いいこと尽くめですねー」
『ピカピカー』
「今日も飯が美味い」
「子供って発想が豊かだよな、まさか魚の処理にクリーン使う機転を思いつくとはな」

 僕が唯一使える魔法なのもあるけれど、クリーンって本当に便利。
 外から帰った時、外で作業して手が汚れた時、食事前、使う機会は幾らでもある。
 疫病問題も解決出来るし最高の魔法だよね、人類に最初に与えたのうちの神薙さんだけど。

「じゃあ魚のおやつも食ったし、次の問題解決と行こうか!」
『骨まで美味しかった』
「なんか解決する問題あるか?」
「涼ちゃん、魔力過多の解消法を提示して暴発問題は解決しましたけど、なぜ突然魔力過多になる原因は分かっていませんよ」

 イネスの言葉に「えっそうなの」となったのは黙っておこう、問題解決した気になってもう帰宅するつもりだったよ。
 難病の正体は魔力過多からくる魔力暴走、人の身には余る魔力に体が耐え切れなくなって死に至っていた。でもそれもひよこ豆とクリーンが解決。
 いや、ひよこ豆は病状回復に関係なかった。

「国に見捨てられた街。って備考欄にありました。つまり私たちに取り上げられても文句言えないですね!」
「まぁにいちゃの友達が領主だし、勝手に国から離脱させても文句は言われないか」
「情報書き換えてもらおうぜ」
「女神様ー、シャムスがお呼びですよー!」
『えっ!?』
「はい喜んでぇぇ!!」

 シャムスの名前を借りたら女神様が秒で現れた。
 相変わらず権威に弱いお方です。

「よぉ覗き魔、この領地を今の国から独立させてくれや」
「データいじるだけでいいですから」
「ちょちょいとさ」
『人間の事情は関係ないのよ』

 領主さんは大人を教会に連れて行ったためここには居ない。
 居なくて良かったかもしれないね、女神様が降臨しただけでも驚くには十分なのに、呼び出した理由が領地の独立っていう。

「この小さい領地で独立するのはちょっと厳しいっすよ」
「どこかお勧めの国はありますか?」
「森を隔ててはいますけど、ハロウィンダンジョンが比較的近いですね」
『問題解決したの』
「森に動いてもらってさ、境界線変えちゃおうぜ」
「麒麟に国の一部として認めてもらおうぜ、ちょっと呼んでくるな」

 イグちゃんがシュッと影の中に引っ込んだ。

「見捨てた国とこの街を隔てる森にドラゴンさん配置しましょう」
「次回、野良ドラゴンを探せ」
『ドラゴンは僕らの知り合い以外は大体野良よ』

 なお、魔力過多が起こる原因は近くにダンジョンがあって、そこから沸き起こる魔素が人体に悪さをしていたっぽい。
 えっちゃん曰く、この国の人間は魔素に対する抵抗が弱いのかもしれないんだって、刀国の逆ですね。

 という訳で、明日はドラゴンの群れを探しに行きます。
 お土産は何にしようかなぁ?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! 人外CPにはなりません ストックなくなるまでは07:10に公開 3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

寒空の下恋人に追い出されたヒモの俺は拾われた社長の家政婦になる

Hazuki
BL
恋人の部屋に居候しヒモ暮らしを満喫していた俺。 寒い冬の夜、喧嘩して荷物と共に追い出され、公園でガタガタ震えていた。 通りがかったイケメン社長に拾われ、溺愛されていく、、、たぶん。 5~6000字くらいの予定。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

物語なんかじゃない

mahiro
BL
あの日、俺は知った。 俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。 それから数百年後。 俺は転生し、ひとり旅に出ていた。 あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?

処理中です...