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第二章 聖杯にまつわるお話
第439話
しおりを挟むラノベによくある展開の一つとしてドラゴン退治がある。
倒せば英雄扱いされるあれ。
転生前はカッコイイなと思ったけど今は違う、だってほら、息子にドラゴンがいるから。
なにより謎能力が一瞬で彼らを味方にしちゃうので僕の近くにいるとドラゴンと戦えない、八百長かじゃれ合うぐらいならいけるかもだけど……。
なぜそんな事を言っているかと言うと、目の前に人化したドラゴンの群れが降り立ったからです。
ラーメンの匂いに釣られたらしいですよ。
もちろん脳筋軍団が戦おうとして挑んだけどダメだった。
攻撃通るどころかギャグみたいなポーズで弾き飛ばされて無傷だったから、地面に降り立った時点ですでに謎能力の影響を受けていたと断言出来る。
疑問なのはどの時点で謎能力の影響を受けたか、もしやラーメンの匂いを嗅いだ瞬間とか??
名称の通り謎が多すぎる。
「涼玉、もう一周ロデオしてきて。これ絶対足りない」
「わかった!」
『ラーメンの試食会がラーメン祭りになっちゃった』
「パパと騎士団に手伝ってもらいましょう」
「ドラゴンのおっちゃん達にも手伝わせよう」
脳筋軍団が貴族のご子息を連れてきてくれたので、総動員でラーメン作り開始です。
えーっと必要なのは鍋と鍋と鍋……誰かドリちゃんから神薙さん用のでっかい鍋借りてきてー。
あとは深皿とフォークさえあればラーメンは食べられる。
「緊急連絡をもらったがどうした」
「パパー!」
『パパ!』
「とうちゃ!!」
「刀雲だ!」
ラーメン作りの指導者として、急きょ刀雲が騎士団を率いて来てくれました!
イネスがえっちゃんにお願いして連絡を取ってくれたらしい、ありがとう!! 助かる!
我が家の家長、オムレツだけでなくラーメン作りも得意なんです。子供達がラーメン好きだからね。
うちの子の無茶に振り回され続けた騎士団はかなり頼りになる存在、刀雲が指示を飛ばすまでもなく散開してそれぞれの仕事に取り掛かった。
刀国騎士団カッコイイ。
「えっちゃんからラーメンが実ったとか変な連絡来たんだけど」
「こんちゃ!」
「ラーメン畑とか意味わからないので見に来ました!」
「ついでにお昼食べさせてください!」
「涼玉様また面白いことしましたね」
お昼休みに入ったらしいアー君が、クラスメイトを連れて現れた!
引率としてレアな使い魔を複数持つ担任の先生も一緒だ!
……空飛ぶ亀が回転しながらラーメン畑に突っ込んでいった。ラーメンが空を飛んでスライムがキャッチ、片っ端から収納している。なんという連携プレイ。
ラーメンを食べに来たドラゴンも、えっちゃんに触手で打たれて慌ててラーメン刈りを再開。
筋肉軍団は刀雲に指導を受けながら寄せ集めた鍋に水を入れ、涼玉の火にかけてはラーメンの麺を入れるを繰り返している。
「ママー、ドリちゃんから巨大鍋借りてきました!」
「でっかいな、最初プールかと思ったんよ」
神薙さんがとにかく量を食べたがった時に使うために作った鍋だからね、刀雲が5人ぐらいは入れるんじゃないかってぐらい大きな鍋です。
水はどうやって入れているんだろうと思ったら魔法でした。
ネヴォラが当然のように魔法で水球を作り出し、バシャバシャと鍋の中に打ち込んで満たし、沸騰した所で騎士団が回収してきた麺を鍋に投入。
慣れってすごいな。
言葉が無くても連携できてる。
「っちょっと、将軍! 激辛入れたでしょ!!」
「匂いが辛っ」
「なにこれ、スープが地獄のような赤色してるんですけど!!」
「野外だしいいだろう? それに一玉しか入れていない」
「よくねぇぇ!!」
頼りになるなぁと刀雲に感動していたら、知らない間にやらかしていた。
部下の皆さんが涙目でぎゃーぎゃー騒ぎながら刀雲に苦情を訴えている。
……家でそれ、食べないでね?
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