神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第438話

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 結論を言おう。
 聖都イネスを囲う城壁の外、脳筋達が追いかけっこに使っていた草原。

 全部ラーメン畑になった。

 ちょっと作りすぎじゃないですかねー?
 走るためのスペース確保する事から始めた方がいいかもしれないね、今のままじゃ収穫物を持ち運びするのさえ一苦労だろうし。
 涼玉がはしゃいだ影響だから仕方ないと言えば仕方ない、脳筋の皆さんにはまた開拓頑張ってもらおう。

 麦とかは一回収穫すれば次は普通の麦が収穫出来るはずです、今はラーメン実っているけど。
 ちょっと自分でも何を言っているか分からないですね。

「激辛味は刺激臭が酷いから、分かりやすく赤い殻を持った実になった方がいいな」
『お目目が痛いの』

 しかも色んな種類を食べたいといううちの子の気持ちを忖度し、激辛から子供用ラーメンまで実に様々な種類の味が咲き誇っているんです。
 異世界のラーメンは麺に味が付いていた件。

「イネス、これ本当に刀雲が食べんの??」
「はい!」

 ネヴォラが戸惑ったような表情で僕を見上げている。
 本当に食べます、平気な顔で完食してはくれると思うけど、ちょっぴり辛さが足らないと言うかもしれない。とはえっちゃん談。

 さらに言えば脳筋の一部がこの赤い実の匂いに釣られてフラフラと近寄ってくるんだよね、あの人たちも激辛好きの素質があると見た。
 辛さを緩和するための飲み物も用意しないと危険かなぁ、カレー系なら牛乳やヨーグルトだけど……まぁ同じものでいいか。

「涼玉」
「おう!」
「ロデオにお願いして群れの一部にここに移住してもらえるかな」
「分かった! チーズとか牛乳目当てだな、頼んでみる!」
「ありがとう」
「チーズ好きです、レアチーズケーキとかいいですねー」
「イネスの好きな物を沢山植えんの、指導のゴブリン呼ぶか?」
『ミノタウロスのミノちゃんの方がいーよ』

 後日、帝国北部の辺境の地にミノタウロスが出現。
 北部一の畜産産業が爆誕することは流石に女神様も想像出来なかっただろう。

「あれ? ここって帝国の一部扱いで大丈夫なの?」
「その辺のことは良く分からないですけど、管理しているのは北部のお岩ちゃんですし、私からこの地を取り上げようと侵攻したら林檎光線でキラキラです、だから帝国の一部扱いでいっかなーって思ってます」

 イネスの言葉にツッコミが多すぎてどうしていいか分からない。
 とりあえず、お岩ちゃんってまさかあの岩……じゃなくて領主の事だよね?
 本人は激辛ラーメンを収穫する手を止め、ちょっと照れ臭そうに笑っているので、この名称でも特に問題はなさそうだ。むしろイネスに愛称で呼んでもらって光栄とか?

「本当の激辛は手に持つと爛れるイメージがあるので、革手袋の支給も欲しいですね」
「俺らそういう細かいこと不得意だからなー、ネヴォラなんか伝手あるか?」
「編み物ならタイガから習ってるけど、革細工はまだ習ってないんよ。だから知り合いもいないかな」
『当分は今使っている手袋で我慢してもらうの』
「さて、そろそろお昼にしようか。作り方の指導も兼ねて今日はラーメンかな」

 麺に味が付いているとはいえ、具は入れたいな。
 その前に鍋と水も必要、水……ここではどうやって手に入れるんだろう、川?
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