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第二章 聖杯にまつわるお話

第429話

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 刀雲に相談する前にシヴァさんに察知された。
 今は片腕に悪魔の赤子、もう片腕に亡国の王子を抱えてご満悦です。

「両腕が塞がって不便じゃありませんか?」
「そうだな、不便だろう、我をおろせ」

 僕のコメントに便乗する悪魔さん。
 なんの悪魔だったかなー?
 今も出した焼き芋両手に持って涼玉と競うように食べてるし、食いしん坊系?

「この子は孤児院で引き取ります。ここではもう、人間を育てるのは無理でしょう」
「えっそうなの!?」
『そうよ』
「強化された神薙様と荒ぶる池とクラーケン一家とダンジョンな果樹園とかあるからな、ちょっとした神域だな」
「人外になっちゃう」

 神薙神社を含める敷地内を警護する騎士が平気なのは先祖代々刀国で生まれ育っているため、魂レベルで邪神を含めた神々に耐性があるらしい。
 あと女神様の加護が働いていたり、参拝を欠かさなかったり、謎能力の保護が働いていたりとか、何か色々と都合がいい感じに加護が調和して彼らを守っているんだって。
 さすがご都合主義上等を掲げる女神様の寵愛を受ける国民、魂レベルで作りが違った。

 そっか、普通の人間はここに住めないのか……。
 住んでも邪神を忌避する何かや生存本能が働き、自然と外に出てしまうらしい。知らなかった。
 シヴァさん、嬉しそうですね。

「イツキ様一家がいつ子供を保護してもいいように、孤児院の人員も環境も全て整えてあります。今なら一国分の少年を引き取ってもきっと大丈夫です。予算は国からおりますしね」

 子供、主に少年に厳しくも優しい環境を整え、こんな感じで管理しておりますと騎士様に報告書も出しているようです。
 万が一不正が起きたり、虐待などが発覚した場合、シヴァさんの怒りの制裁を受けた後で邪神一家の餌になるらしいですよ。孤児院怖い。

「理事長とか忙しいんじゃ……」
「常に分身を置いているので問題ありません」

 それは常にショタの日常を見守っているというストーカー宣言?
 子供の成長を見守っているとは聞こえがいいけど、女神様に次ぐ変態神だからなぁ。

「女神様はショタと強面教師のあれこれとかそう言うのも守備範囲なのですが、大丈夫ですか?」
「あれは、私も困っています。生徒と教師は問題ですが、女神の趣味の影響な時点で私が介入しにくいのです」

 女神の呪いですね。
 僕の無敵のポンチョがエロいことする時はスルッと脱げちゃうのと同じ原理。

 生徒と強姦から始まる愛。というのもあの人好きそうだし。
 シヴァさん的には許せなくても、女神様の趣味だから邪魔できないという謎の事象が発生。
 まぁ本人たちが幸せならOKという事で無理やり納得するしかないやつですねー。

 死霊部隊に育てられるルートから、ショタ守護神に引き取られ孤児院で不自由なく育つルート。
 これはどっちがマシなんだろうか。

 いや、でも、異世界テンプレの明日の食事にも困るような過酷な孤児院ではなく、ショタ守護神が守る国営の最強孤児院だしなぁ。
 負け確定の王国を取り戻そうとして破滅するしかない未来よりは、きっといいに違いないと信じよう。

 そしていつか大きくなって故郷に戻る日が来たら、死霊部隊の誰かとくっついて幸せエンドとか迎えると女神様がとても喜ぶと思います。
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