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第二章 聖杯にまつわるお話

第428話

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 女神様に度数が高いお酒を飲ませて酔わせた上で、カボチャ消費に協力することを約束させました。
 酔いが覚めてから「やっぱなし」と言われても聞かない、その時は持てる権力を使って言うことを聞いてもらいます!

「カボチャを帝国に押し付けて帰宅したら増えていた」
「アー君のお休みまだですか?」
『カボチャ恐怖症になっちゃう』
「ハロウィンこえぇぇ」

 イネスのためならばと死霊部隊が張り切ったようで、帰宅したらカボチャの在庫が倍増してた。
 もちろんそれ以外のドロップ品もあるけどね、圧倒的に多すぎる。

「イネス、とりあえず死霊部隊を一旦休ませよう」
「っは、その手がありました!」

 すでにお亡くなりになっているため、休み要らずの死霊部隊、放っておくと24時間休まず働きます。
 そのせいでカボチャ地獄になっているんだけどね。

 僕の言葉にハッとしたイネスが、えっちゃんに頼んでハロウィンダンジョンに飛んで行った。
 これでしばらく大丈夫だろう。

 ふぅやれやれと流れてもいない汗を拭き、夕食のために餃子の大量生産を続行。
 ランダムで中身の具にカボチャが混ざってるのは気のせい。

「ママただいまです、お土産持ってきました」
「もうカボチャはいらないか……ら……」

 ぴょーんとえっちゃんの闇から飛び出したイネス、一歩遅れて闇が吐き出したのは、おくるみに包まれた生まれて間もない赤ん坊。
 久々に養子候補が現れた!
 ドリちゃんミルクを人肌で一本お願いしまぁす!

「森にポイってされてたのを死霊部隊が拾って保護してました」
「捨てられてた割には健康体だな!」
『顔見知りの冒険者に譲ってもらってたんだって』

 えっちゃんの報告をシャムスが聞き、それを霧ちゃんがまとめて教えてくれたのだけど、どうやらこの赤ん坊は数日前に森に捨てられ、それを死霊部隊が保護。
 保護したのはいいけれど、ハロウィンダンジョンには乳飲み子が食べれるものがない、困った死霊部隊は良く会う冒険者と身振り手振りで交渉し、ミルクとドロップ品を交換、今日まで育てていたらしい。

「いや、ドロップ品の納品ついでに赤ん坊も保護してもらえば良かったんじゃ……」
「死霊部隊は元近衛兵ですからね、王族の血を引くその子を本能的に守ろうとしたんだと思います」
「まさかの生き残り」
『最後の一人よ』
「これはあれだな、死霊部隊に守られながらダンジョンで育ち、成長した暁には国を取り戻すための旅に出る系の主人公!!」
「涼玉、女神様の蔵書読んじゃダメって言ってるでしょ」
「残念にいちゃの本!」

 そうだね、苦難を乗り越える系主人公はアー君の好みだね。
 でもアー君にラノベを教えたのは女神様だから……やっぱり教育に悪いなあの女神。

「勇者の復讐伝説が誕生しそこねたな!」
「新国王に教えたら引き取って王太子に指名しそうなので、黙って回収してきました!」
『めでたしめでたしなの』
「国を滅ぼした元凶の家に引き取るのってどうなんだろう?」

 滅ぼしたのは騎士様です。
 王国が滅んだ原因は召喚した学生が騎士様が地球で経営する学園の生徒だったからというのもあるけど、一番の原因は隷属させてダンジョンで戦わせようとしてたことかなぁ。
 いつか真実を知って国を取り戻そうとしても、今あの国を経営してるの麒麟なんだよね。
 色々と無理じゃない?

 我が家で引き取るのはちょっと因縁が深すぎるかもしれない、シヴァさんの所かなぁ。
 どっちにしろ刀雲に相談だね。
 
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