神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第420話

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 どうも、ハロウィンイベントも無事終わり。
 今日は子供達のリクエストで見知らぬ国に来ております。

 事前情報として与えられたのは「奴隷を闘技場で戦わせる国がある」というこの一言のみ。
 それは僕が行ってもモザイクしか視界に映らないやつじゃないでしょうか、もう来ちゃったけど。

 ああそうそう、新国王と麒麟さん、新国家樹立を宣言と同時に婚姻も発表、今朝方未明に子供も生まれたそうです。電撃結婚ならぬ電撃出産。
 婚約者を選ばなきゃならないから皇帝も忙しいだろうなぁ、いっそ女神様に神託下してもらえばいいのに。

「個室ゲットです」
『霧ちゃんのミステリアスな雰囲気で勝手に貴族と思われたね』
「えっちゃんから出ていいか? 部屋見たい」
「ドリちゃんからポップコーン預かったけど、食べる暇あるかなぁ?」

 認識阻害を使うのもいいけど、うちの子たちはこそこそが苦手だからね、やたらに目立つイネスとネヴォラ、涼玉は個室に移動してからえっちゃん経由での合流です。
 シャムスは子犬姿ならただの可愛いワンワンだから問題なし。
 受付で支払い等をしたのは霧ちゃん、付き添い兼護衛役にマールス、僕はポジション謎。
 細かい設定は霧ちゃんの霧で誤魔化したとか、便利だなぁあの霧。

 石造りの椅子の硬さにクッションを出すかイネスが悩んでいる。
 闘技を見学に来たはずなのに、なぜ見る余裕があるかの相談になっているんだろうか。

「あっ次の試合始まりました」

 イネスの言葉に下を見下ろしたら、数人の人間の前にサイのような大型のワンコがいた。
 繰り返す、ワンコがいた。

『ぎるてぃ』
「魔物を隷属させて闘技場で戦わせる娯楽はアウトですねー、はいママ、肉球」
「ん?」
「かあちゃ、俺の腹も触っていいぞ」
「えっいいの!?」
「わたしはえーっと、イツキの肩たたこうかな」
『ママの膝の上にごろーん』

 一瞬でこの世の楽園が爆誕した。
 イネスの肉球が、このいつでも透明感があってぷるぷる艶々の肉球がっ、小さくて可愛いぃ!
 涼玉のお腹の弾力性、膝に感じる重み、「肩とんとーん」と歌いながら肩を叩くネヴォラ、愛らしすぎて心臓がしんどいです。

『霧ちゃんどうかな?』
「対戦相手が瞬殺されて、銀狼亜種が客席に飛び込み、地下の扉をぶち破って魔物が溢れた」
「予定通り!」
「ママ最強です」
「ふぅいい仕事した」

 至福タイムが終了、子供たちと一緒に周囲に視線を向けたら、なんというか全体的にモザイクだった。
 地獄のような悲鳴も響いているはずが、霧に吸収されてとても静か、防音性もあるらしいです、意外と霧が万能だったのを改めて披露されています。

「でっかいドラゴン」
「扉どころか競技場の壁をぶち破って現れたなー」
『顔がマールスみたいに凶悪』
「ママあの子はどう思いますか?」
「悪役ヒーローみたいでカッコイイね」

 吐いたブレスは他の魔物を焼くことなく、ご丁寧に人間だけ焼いているようです。モザイクで分からないけど、出てきた魔物がダメージ負ってないから多分そう。

「……あっ、人間の奴隷助けんの忘れてた」
「うっかりしてました」
「そっちはイネスとネヴォラに任せる。俺らはかあちゃと一緒に魔物の説得してるか」
『三食昼寝付きよ』

 奴隷が無事だった場合、まずは言葉で説得、それで下るならよし、攻撃的だったり協力を拒否したらイネスのぺかぁで平和的に解決する予定ですって。
 つまりまぁ、生き残りは全員アー君の領地行きなのは決定事項だとか、ここに来てやっと本日の目的がアー君の領民確保と知りました。

 こんなやり方でいいのだろうか。
 いや、でも違法奴隷の撤廃は騎士様やレイアさんが推奨していることだし、それがなくてももふもふの命を弄ぶのは許されない。うむ、特に問題ないね!
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