神様のポイント稼ぎに利用された３

第二章 聖杯にまつわるお話

第419話

　結論だけ言うと国王を押し付けられたアー君のペンフレンドは無事伴侶を得た。
　なんか「違うそうじゃない」と泣きながら訴えられたけど、僕に助けを求めると大体こんな感じになるのは知られているよ。

　冒険者に相談すれば分かる。
　きっと血涙流しながら羨ましがられると思うんです。

「じゃあ改めてダンジョンに行くか！　今日は一年に一度のハロウィン、昼を過ぎた現時点ですでに食材が不足していると連絡があった！　各自カボチャを多めに狙ってくれ！」
「「はっ！」」

　騎士団に号令をかける刀雲カッコイイ、惜しむべきは軍服ではなく動きやすさを重視して普段着なところだろうか。だって仕方ないんだ。軍服よりドリアンの繊維で作った普段着の方が防御力高いから。
　今度ドリアンに探索向けの軍服作ってもらおうかなー。

「父様、商業ギルド出張店舗の設置終わったから、いつでも納品受け入れられるよ」
「アカーシャありがとうな。聞いての通りだ！　出陣！」
「「おおーー！！」」

　ノリノリの騎士団が刀雲の号令でダンジョンに突進して行った。
　なお皇帝は当然のように参加しているし、なんなら前日から騎士様と一緒に潜っている。

「うぅ、他国の重鎮が当たり前のようにいるんだけど、どう折り合い付ければいいんだよこれぇ」

　僕の隣で胃を押さえながら泣き言をいうこちらの青年こそ、アー君にこの地を押し付けられた人です。
　新婚ほやほやの彼を片腕に抱くのは、中華風ラノベに登場する皇帝のように派手な衣装の美中年。

「その正体はイネスとネヴォラにボコボコにされた麒麟です」
「番を見つけて人化しました」
『一目惚れぇ』
「衣装変えればいいのにな、装飾が当たって痛そう」
「売り払ったら幾らになるのか気になるんよ」

　ハロウィンダンジョンを国営にするため、ボスに挨拶に行った場で見初められました。
　今日も謎能力が絶好調です。

　生まれる子は類まれな才能を持った賢帝になるとはシャムス談、そのため僕が生んだ帝国皇子のうち二人とすでに婚約が決まっています。
　妊娠すらしてないのに婚約が決まる。これが政略結婚か！

　でもまぁ確実に五人は生まれるとシャムスが太鼓判を押しているので誰も心配していません、むしろ帝国皇子から人選をするのが大変そうだなって思います。
　あの子たち自由過ぎて勝手に出奔とかするからね、その辺は皇帝に任せよう。

「あれ待って、ダンジョンボスの麒麟がここにいるって事は、今日は誰がボスやってるの？」
「予定では騎士様ですね」
「皇帝と泊りでダンジョンに潜ってるぞ」
『仲良しさん』
「ヘラばーばがやってた。深層まで辿り着くとお菓子もらえるんよ」

　本日限定。
　ハロウィンダンジョンのボスからお菓子もらえる！
　なんと倒す必要はなく、ただ辿り着くだけでOK！
　ただ合言葉を言わないと悪戯されてダンジョンの外に戻されるらしいです、お菓子はヘラ母さんが領地の子供達と作った手作りお菓子各種。

　……その合言葉、刀国民なら知ってる可能性はあるけど、冒険者はちょっと怪しいんじゃないかな？
　えっ、ネヴォラが賄賂と引き換えに教えてるの？　そっかー。