上 下
413 / 843
第二章 聖杯にまつわるお話

第405話

しおりを挟む
 ギルドで獣人から接待を受けていたら、謎の女性に最も危険なダンジョンに飛ばされた樹です。
 本来なら絶望したり、物語が盛り上がるシーンの一つなんだろうけども、単に自宅に飛ばされただけの僕はどんな感想を抱けばいいのか分からない。

「我が家の果樹園って最難関のダンジョンだったんだね」
『だったのよ』
「神薙様の腹の中みたいなものだしな」
「侵入者はチェストします」

 守ろうとしてくれていた獣人さんを家の中に案内、朝食をたらふく食べてもらい、お土産にひよこ豆を渡して、えっちゃんを通して元のギルドに送ってもらいました。
 何か毛並みが艶々になっていたけど、あれは食事と謎能力の影響どっちだろうか。
 あとあの兎獣人さんの尻尾のもふみは癖になる。またブラッシングしたい。

 そうしている内に子供達も起きてきて、ちょっと遅い朝食になりました。
 といってもすぐお昼なので、ハンバーガーにしてみました。僕はピクルス入り、子供達は抜いてあります。

「何より驚いたのがトレントが流暢に喋ってたことかな」
『んふふ』
「品種改良したからな!」
「クリスタル林檎を砕いて肥料として撒いたらああなりました!」

 品種改良というか魔改造といった方が正しい気もする。

 そう言えば刀雲が騎士団連れてきた時も、実力が上位の人を厳選して果樹園に案内してたなぁ。
 僕を飛ばした女性、指さして笑いたいけど、後はアー君に任せておこう。
 事情もアー君が聞き出すだろうし。

「神々がこれだけぎっちり暮らす場所、そりゃぁ人間が不用意に入ったらプチっとされるって!」
「ぷち!!」
『ぷち!!』
「涼玉、それ四個目だけどお腹大丈夫?」
「平気!」

 あと横に控えるマールスが片手に焼きとうもろこし持っているのはなぜだろうか、あっ両手が塞がっているから代わりに持ってもらっているのか。
 バクバクと豪快に食事を進める涼玉、昨日ロデオで豊穣の力を振りまいたから回復も兼ねているんだろうなぁ。

「びっくりした!」
「アー君おかえり」
「授業中にギルドから報告が来て、見計らったようにえっちゃんからも報告が来て、腹筋が痛い!」

 お昼休み中に話を聞くために来たのでお昼を所望すると両手を差し出された。

「ハンバーガーとライスバーガー、中身はハンバーグだけかチーズ入りか」
「両方! あとチーズはましまし!」
「はいはい」

 勉学に励む学生にはポテトフライも付けてあげよう、飲み物は炭酸かなぁ。

「で、なんでそんな事になったの?」
「皆起きてこなくて暇だから、レッサーデーモンがいる辺境に遊びに行ったら冒険者に回収されてギルドに案内されたんだ。そこで獣人さんをもふもふしてたら変な女の人が現れてダンジョンに送られたの」

 まぁ送られた先は自宅の果樹園だったんだけどね。

「ツッコミどころが多すぎてどうしようかな」
『もふもふ』
「にいちゃ強く生きて」
「アー君、食べないならフライドポテトください」
「やらない」

 イネスに奪われそうになり、慌ててお昼を食べ始めたアー君、でも雰囲気がとてもお疲れです。

「あー、各ギルドの獣人にママの回収講座しておいてよかった」

 そんなもの開いてるの!?
 僕ってアー君の中でどんな扱い!?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています

ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた 魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。 そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。 だがその騎士にも秘密があった―――。 その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

BL
SECRET OF THE WORLD シリーズ《僕の名前はクリフェイド・シュバルク。僕は今、憂鬱すぎて溜め息ついている。なぜ、こうなったのか…。 ※シリーズごとに章で分けています。 ※タイトル変えました。 トラブル体質の主人公が巻き込み巻き込まれ…の問題ばかりを起こし、周囲を振り回す物語です。シリアスとコメディと半々くらいです。 ファンタジー含みます。

処理中です...