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第二章 聖杯にまつわるお話

第403話

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 濃密スケジュールをこなした昨日、家族全員疲労困憊で仕事がある刀雲と学園があるアー君以外誰も起きてこなかったのが今朝。
 いつもならシャムスや涼玉と遊んだり、おやつを作ったりお昼を作ったり、果樹園に行ったりダンジョン行ったりとかまぁ色々遊んで過ごす時間帯、一人だととても暇です。
 まだ朝早いから城下のカフェとか開いてないし、ダンジョンは昨日十分遊んだから今日はいいや、ここは僕も寝て夢の世界で遊ぶべきだろうか。

 うーむ。

 あっ、そうだ。
 昨日仲間になったガーゴイル達に会いに行こう。そう思い立って適当にメニュー画面で差し入れのお菓子を購入して、ウキウキと遊びに来たんだよね。
 彼らも休んでいるんじゃないかって?
 大丈夫、農家の朝は早い。

 えっちゃんの転移で飛んでやってきたレッサーデーモンの皆さんが守る辺境の地。
 案の定、街の外に広がる田園ではガーゴイルがせっせと働いていました。

 昨日仲間になったガーゴイル千匹が、涼玉がロデオして実らせた作物をひーひー言いながら収穫もとい回収しておりました。
 千じゃ労働力足りないみたいですよアー君。

 みんなに手を振って田園を通り抜け、やってまいりました辺境の地。
 門番さんおはようございます。暇だから遊びに来ました。

 特に止められる事もなく、料金も払わずに門を通してもらえました。
 僕のことを神子様と呼んでいたのでアー君が刀国かギルドから引っこ抜いてきた人かなぁ?

 さぁアー君の街がどう発展したのか見学を――と思ったら、全速力で狼獣人がこちらに駆けてきて、スライディングで僕の前に滑り込んできた。

「どうしました! 誘拐されましたか!?」
「いいえ」
「召喚されたとか!?」
「ううん」

 普通に遊びに来ただけです。
 事情を説明したらはぁ~~んと深くため息を吐かれた。

 何でも刀国外の街中で僕を見かけたら状況に応じて声をかけるよう、アー君が全冒険者に通達しているらしい。
 ギルドに向かいながら狼さんが教えてくれました。

 ……なんでギルドに向かっているんだろうか?
 疑問に思って質問してみたら、どうやらこの街、レッサーデーモンの皆さんを捕獲してから造られたらしく、建物の建造が発展に追いついていないらしい。
 まぁ一度神薙さんが更地にしちゃったからね、この街も思い付きで作ったようなものだし。

 アー君の内政セットで冒険者ギルドと商業ギルド、教会などは一度に建てられたけど、その他は自分達で建てることで人々にお仕事をどうのこうのだっけ。
 そういう訳でここに遊びに来てもまともに見れるのがギルド関連の建物だけ、観光するのは数年早かったようですね。

「人間もそれなりに見かけるけど、みんな冒険者?」
「いえ、他国から亡命してきたり移住してきたりなど、訳ありの人間もそれなりにいますね」

 基本的にはレッサーデーモンと冒険者が力を合わせて街を形にしている感じのようです、この狼さんのように街作りの手伝いを専門に受ける冒険者もそれなりにいるんだって。
 命の危険はないけれど、どこの国に派遣されるのかは神々の気分次第というランダム要素があるらしい。
 ちなみにその「神々」枠には僕も含まれているようだ。そうなの!?
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