395 / 923
第二章 聖杯にまつわるお話
第387話
しおりを挟む
イネスが屋根に現れてぺかぁっとしたことで、村を覆っていた何となく暗い影が払われました。
あれもしかして瘴気だったのだろうか。
もちろん涼玉が躍った効果もちゃんと出ていて、その場に集められた木の道具類が新品同様になった。
プラス、笛と太鼓の音質がちょっと上がっていました。
「シャムスがぷんぷん怒っておやつを一人で食べるって言ってました」
「置いてきちゃったのは不可抗力」
「早く終えて帰ろう」
呼ぶことも出来るけど、廃村寸前の村だけあってこれ以上神様が増えても持て成せないし、対価払えない問題。
「枯れ木に豆を咲かせましょう!」
にゃふー!と高らかに笑いながらイネスが屋根の上からお豆各種をばら撒いた。
もしかしてうちの子たち、豆を常備してる?
そして周囲の枯れ木に本当に豆が咲いた。
花咲じいさんならぬ豆咲イネス?
花の代わりに豆がブドウのように実っています、しかも一房ごとに種類が違う、これ誰が仕分けするんだろう。
「まめまめまめ、まーめまめぇ~」
上からはイネスが豆をまき、祭壇ではノリノリで踊る涼玉。
踊りだす豆の木、腰を抜かす老人、よく分からないけどキャッキャッと喜ぶ子供たち、困惑する大人、カオスですね。
気付いたら傾いていた社が修繕され、見た目はともかく中はリフォーム工事が終了していました。
うん、見た目は古びたままだから役人の目が向くことはないね、これが植物が忖度した結果かぁ。
「貴様らここで何をしている!」
「飛んで火にいる夏の虫です! そりゃぁぁ!!」
カオスな空間に飛び込んできたのは抜刀したおじさん、たぶんお役人だろう。
そして神速で飛び掛かったのはうちのイネスちゃんですよ。
びたーーんっと顔面に張り付いて特大のぺかぁ。
なんか背後にも数人いたけど丸ごとイネスに魅了されたっぽいです。
封印を推奨したはずが結構便利に使ってるよね。
その後、綺麗な瞳になった役人がイネスの前に整列、頭には「イネス様命」と書かれたファンクラブ会員特典のはちまき…………常備してるんだね。
「お豆の木は村のもの!」
「「はい!!」」
「社を暴いたら神の炎でアチチどころか魂焼いちゃいます!」
「「ご褒美です!!」」
「重税を課す領主は僕がぺかっとしておきますので、心おきなく村を守るように!」
「「イネス様のお心のままに!!」」
村の問題が一瞬で解決しました。
イネスに活躍奪われているけどいいのかな? と涼玉を見たら、村の子供たちに炭坑節の歌と踊りを享受していました。
踊りが浸透すればそれでいいらしい。
「私がぺかっとしたのである程度の期間は魔物が寄ってきません、ただ永続ではないので魔物除けを社の中に設置して、それから帰ります!」
「なんだかイネス、慣れてない?」
「みゃん! 気のせいです!」
反応が怪しいけど追求しようとしたら、目の前に光り輝くイネスの像が突き出された。眩しい。
「クリスタル林檎で作った私の神像です! 絶対的な魔物除け、盗もうとすると私の信者が怒っちゃいます」
御神体がまさかのイネス。
加工方法はとても簡単、シャムスのスライムが取り込んで揉み揉みしただけ。
「まぁ一つの村の平和が守られたってことで」
「めでたしめでたしです!」
なお、僕らが自由にやっている間に役人が豆の食べ方を村人に教えていました。
イネスの信者になると自動的に利用方法を理解するんだろうか、異世界怖い。
あれもしかして瘴気だったのだろうか。
もちろん涼玉が躍った効果もちゃんと出ていて、その場に集められた木の道具類が新品同様になった。
プラス、笛と太鼓の音質がちょっと上がっていました。
「シャムスがぷんぷん怒っておやつを一人で食べるって言ってました」
「置いてきちゃったのは不可抗力」
「早く終えて帰ろう」
呼ぶことも出来るけど、廃村寸前の村だけあってこれ以上神様が増えても持て成せないし、対価払えない問題。
「枯れ木に豆を咲かせましょう!」
にゃふー!と高らかに笑いながらイネスが屋根の上からお豆各種をばら撒いた。
もしかしてうちの子たち、豆を常備してる?
そして周囲の枯れ木に本当に豆が咲いた。
花咲じいさんならぬ豆咲イネス?
花の代わりに豆がブドウのように実っています、しかも一房ごとに種類が違う、これ誰が仕分けするんだろう。
「まめまめまめ、まーめまめぇ~」
上からはイネスが豆をまき、祭壇ではノリノリで踊る涼玉。
踊りだす豆の木、腰を抜かす老人、よく分からないけどキャッキャッと喜ぶ子供たち、困惑する大人、カオスですね。
気付いたら傾いていた社が修繕され、見た目はともかく中はリフォーム工事が終了していました。
うん、見た目は古びたままだから役人の目が向くことはないね、これが植物が忖度した結果かぁ。
「貴様らここで何をしている!」
「飛んで火にいる夏の虫です! そりゃぁぁ!!」
カオスな空間に飛び込んできたのは抜刀したおじさん、たぶんお役人だろう。
そして神速で飛び掛かったのはうちのイネスちゃんですよ。
びたーーんっと顔面に張り付いて特大のぺかぁ。
なんか背後にも数人いたけど丸ごとイネスに魅了されたっぽいです。
封印を推奨したはずが結構便利に使ってるよね。
その後、綺麗な瞳になった役人がイネスの前に整列、頭には「イネス様命」と書かれたファンクラブ会員特典のはちまき…………常備してるんだね。
「お豆の木は村のもの!」
「「はい!!」」
「社を暴いたら神の炎でアチチどころか魂焼いちゃいます!」
「「ご褒美です!!」」
「重税を課す領主は僕がぺかっとしておきますので、心おきなく村を守るように!」
「「イネス様のお心のままに!!」」
村の問題が一瞬で解決しました。
イネスに活躍奪われているけどいいのかな? と涼玉を見たら、村の子供たちに炭坑節の歌と踊りを享受していました。
踊りが浸透すればそれでいいらしい。
「私がぺかっとしたのである程度の期間は魔物が寄ってきません、ただ永続ではないので魔物除けを社の中に設置して、それから帰ります!」
「なんだかイネス、慣れてない?」
「みゃん! 気のせいです!」
反応が怪しいけど追求しようとしたら、目の前に光り輝くイネスの像が突き出された。眩しい。
「クリスタル林檎で作った私の神像です! 絶対的な魔物除け、盗もうとすると私の信者が怒っちゃいます」
御神体がまさかのイネス。
加工方法はとても簡単、シャムスのスライムが取り込んで揉み揉みしただけ。
「まぁ一つの村の平和が守られたってことで」
「めでたしめでたしです!」
なお、僕らが自由にやっている間に役人が豆の食べ方を村人に教えていました。
イネスの信者になると自動的に利用方法を理解するんだろうか、異世界怖い。
30
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
人外CPにはなりません
ストックなくなるまでは07:10に公開
3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
市川先生の大人の補習授業
夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。
ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。
「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。
◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC)
※「*」がついている回は性描写が含まれております。

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった
藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。
毎週水曜に更新予定です。
宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる