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第二章 聖杯にまつわるお話
第386話
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最近、召喚頻度が増えた樹です。
前に騎士様がちょいちょい勇者召喚に紛れて遊んでいるという話は聞きましたが、僕が召喚される理由が微妙に理解できない。
「召喚魔法を滅ぼしたい」
「まぁ、悪いことばかりじゃないから、ドンマイ」
「前々回はシャムス、前回はイネス、今回は涼玉と召喚とか何の順番だろう」
「遊び心?」
前は年に数度だったのに、今は月に一回どころか数日に一回なんですけど!
ちょっと人間の皆さん、自力で問題解決しよう?
「今回はまぁ許してやろうぜ、マールスはブチ切れてるかもだけど」
「うん、それは分かる」
お茶会から一週間も経っていないのに召喚再び。
クッションコーナーで子供たちが日向ぼっこしながらお昼寝していたのですが、涼玉が卵の状態だったので何となくふわふわの布で拭いていたら一緒に召喚されました。
この場合、僕と涼玉、どちらがどちらの召喚に巻き込まれたんだろうか。
状況的に涼玉が本命っぽいのだけど、僕が近くにいたから召喚出来ちゃった。というノリがあり得るから困る。
今回は今までと違って本当に困っている人たちに召喚されたみたい、召喚された場所は崩れかけの社の前にある祭壇、目を開けたら僕らに向かってぼろきれのような服を着た人たちが地に頭をこすり付けるようにひれ伏していた。
これを見て涼玉がちょっとテンション上がっています。
「あの、説明をお願いします」
とりあえず祭壇から降り、一番先頭にいた一番頭の寂しいおじいちゃんに説明を求めてみた。
先頭にいるんだしこの人がリーダーというか長老とか村長とかそんなポジなんじゃない?
涼玉は僕に抱っこをせがまないでください、無理だから、チートポンチョの特別仕様があっても涼玉は無理。
涼玉と無言の攻防をしていたら、どうぞお使いくださいとい草座布団を差し出された。
くっ、時代劇好きの心に刺さる至高の一品。
古びた感じがとってもイイ!!
出された湯呑茶碗も欠けてるし、時代劇の農民の家に来ている気分でテンションが上がりますね。
「かあちゃこれ飲んでいい?」
「いいよ」
僕も一口飲んでみたけど、見事に薄い。
ほんのりお茶の色があるかなー?という程度に色もまた薄い、これで目の前の人たちの髪型が時代劇風だったらなぁなんて考えながら話を聞きました。
どうやら領主からの重税と魔物の襲撃で村が滅びる寸前らしいです。
このままでは村民は全滅するしかない、けど逃げる先もなく、そこで村人の一人が思い出したのが、たまに通って来てくれる商人が語ってくれた豊穣ドラゴンの話。
曰く、不思議な音楽に合わせて踊れば作物が夢のように実るという、おとぎ話のようなその話に彼らはすがったと言う訳のようです。
あっそれうちの涼玉ですね、間違いないです。
「うーん、照れちゃう」
兄弟の中ではアー君が一番名声が広がっているけど、アー君の場合は畏れが入ってるんだよねぇ。
しかも実際の被害者とも言える冒険者経由で広がっているからほぼ実話。
「そんなに崇められたら俺ったら調子に乗っちゃうぜ?」
「いいんじゃないかな?」
「そうだな、俺ドラゴンだし、やりたいようにやっちゃうか!」
神籍は持っていないので特に対価を必要としないのが涼玉の良いところ、目下の目的は盆踊りを広げることだから平和だと思う。
「あの、何か楽器、桶とかでいいので叩いて音が出せるものがあれば持ち寄ってもらっていいですか?」
僕の言葉におじいちゃんが背中を丸めて嗚咽を漏らしているけど、お願い先に動いてください。
泣いて動けないおじいちゃんに代わり、若い衆が慌てて動いてくれて、各家から色々と持ち寄ってくれた。
木を彫って作ったスプーン、壊れかけの桶、音の出ない笛や革の破れた太鼓など、全部木製だったのでどうにでもなるかな。
という事で涼玉、神事の前に道具を揃えようか。
「俺、炭坑節の替え歌ならアカペラでいける」
替え歌ってなに。
尋ねる前に涼玉はえっちゃんにお願いして再び祭壇に上がった。
「じゃあまずは軽く一曲」
かあちゃ手拍子、と言われて慌てて手拍子を打つ、隣でえっちゃんが補助してくれるのがありがたいです。
「イネスーがー、出た出ーたぁ、イネスーが出たぁ、あっ」
「にゃんにゃん!!」
聞きなれた鳴き声に視線を上げたら社の屋根の天辺に光り輝くイネスがいた。
えっ、もしかして今の呪文判定されたの!?
昼間なのに光り輝くのが分かるって、イネス、イネスちゃん、出力抑えて!
前に騎士様がちょいちょい勇者召喚に紛れて遊んでいるという話は聞きましたが、僕が召喚される理由が微妙に理解できない。
「召喚魔法を滅ぼしたい」
「まぁ、悪いことばかりじゃないから、ドンマイ」
「前々回はシャムス、前回はイネス、今回は涼玉と召喚とか何の順番だろう」
「遊び心?」
前は年に数度だったのに、今は月に一回どころか数日に一回なんですけど!
ちょっと人間の皆さん、自力で問題解決しよう?
「今回はまぁ許してやろうぜ、マールスはブチ切れてるかもだけど」
「うん、それは分かる」
お茶会から一週間も経っていないのに召喚再び。
クッションコーナーで子供たちが日向ぼっこしながらお昼寝していたのですが、涼玉が卵の状態だったので何となくふわふわの布で拭いていたら一緒に召喚されました。
この場合、僕と涼玉、どちらがどちらの召喚に巻き込まれたんだろうか。
状況的に涼玉が本命っぽいのだけど、僕が近くにいたから召喚出来ちゃった。というノリがあり得るから困る。
今回は今までと違って本当に困っている人たちに召喚されたみたい、召喚された場所は崩れかけの社の前にある祭壇、目を開けたら僕らに向かってぼろきれのような服を着た人たちが地に頭をこすり付けるようにひれ伏していた。
これを見て涼玉がちょっとテンション上がっています。
「あの、説明をお願いします」
とりあえず祭壇から降り、一番先頭にいた一番頭の寂しいおじいちゃんに説明を求めてみた。
先頭にいるんだしこの人がリーダーというか長老とか村長とかそんなポジなんじゃない?
涼玉は僕に抱っこをせがまないでください、無理だから、チートポンチョの特別仕様があっても涼玉は無理。
涼玉と無言の攻防をしていたら、どうぞお使いくださいとい草座布団を差し出された。
くっ、時代劇好きの心に刺さる至高の一品。
古びた感じがとってもイイ!!
出された湯呑茶碗も欠けてるし、時代劇の農民の家に来ている気分でテンションが上がりますね。
「かあちゃこれ飲んでいい?」
「いいよ」
僕も一口飲んでみたけど、見事に薄い。
ほんのりお茶の色があるかなー?という程度に色もまた薄い、これで目の前の人たちの髪型が時代劇風だったらなぁなんて考えながら話を聞きました。
どうやら領主からの重税と魔物の襲撃で村が滅びる寸前らしいです。
このままでは村民は全滅するしかない、けど逃げる先もなく、そこで村人の一人が思い出したのが、たまに通って来てくれる商人が語ってくれた豊穣ドラゴンの話。
曰く、不思議な音楽に合わせて踊れば作物が夢のように実るという、おとぎ話のようなその話に彼らはすがったと言う訳のようです。
あっそれうちの涼玉ですね、間違いないです。
「うーん、照れちゃう」
兄弟の中ではアー君が一番名声が広がっているけど、アー君の場合は畏れが入ってるんだよねぇ。
しかも実際の被害者とも言える冒険者経由で広がっているからほぼ実話。
「そんなに崇められたら俺ったら調子に乗っちゃうぜ?」
「いいんじゃないかな?」
「そうだな、俺ドラゴンだし、やりたいようにやっちゃうか!」
神籍は持っていないので特に対価を必要としないのが涼玉の良いところ、目下の目的は盆踊りを広げることだから平和だと思う。
「あの、何か楽器、桶とかでいいので叩いて音が出せるものがあれば持ち寄ってもらっていいですか?」
僕の言葉におじいちゃんが背中を丸めて嗚咽を漏らしているけど、お願い先に動いてください。
泣いて動けないおじいちゃんに代わり、若い衆が慌てて動いてくれて、各家から色々と持ち寄ってくれた。
木を彫って作ったスプーン、壊れかけの桶、音の出ない笛や革の破れた太鼓など、全部木製だったのでどうにでもなるかな。
という事で涼玉、神事の前に道具を揃えようか。
「俺、炭坑節の替え歌ならアカペラでいける」
替え歌ってなに。
尋ねる前に涼玉はえっちゃんにお願いして再び祭壇に上がった。
「じゃあまずは軽く一曲」
かあちゃ手拍子、と言われて慌てて手拍子を打つ、隣でえっちゃんが補助してくれるのがありがたいです。
「イネスーがー、出た出ーたぁ、イネスーが出たぁ、あっ」
「にゃんにゃん!!」
聞きなれた鳴き声に視線を上げたら社の屋根の天辺に光り輝くイネスがいた。
えっ、もしかして今の呪文判定されたの!?
昼間なのに光り輝くのが分かるって、イネス、イネスちゃん、出力抑えて!
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