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第二章 聖杯にまつわるお話

第382話

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 アー君が羨ましがるので、次のお出掛けは週末になりました。

「まぁ今日ですが」
「休みで良かった」
『お出掛けー』
「中レベルのダンジョン行くと、魔物が進化して難易度修羅になるのは分かったな」
「お宝のレア度に反して敵が強すぎになっちゃいました」

 昨日のダンジョンはとても良かった。
 もふもふに満ちてとても幸せな気持ちになれました。
 二足歩行の狼はロマン。

「あのダンジョンが封鎖されたらワンコが可哀想です」
『そしたらダンジョンごと僕らで引き取るのよ』
「それもいいな」
「俺が冒険者から苦情言われる案件」

 本日のお弁当は昨日のうちに用意してもらったし、それもマールスと霧ちゃんが手分けしてアイテムボックスに収納、飲み物もOK、忘れ物は特にないかな?

『霧ちゃんお土産持った?』
「うむ」

 そうそうお土産、魔王様の所に大勢で押し掛けるのだから必要だよね。

「じゃあ行くぞー」
『ごぉー』
「あっ、ヨムを誘うの忘れてた」
「私はネヴォラ誘いました。現地集合です」
「待って、待って、俺と刀雲も行くから」
「パパたちは騎士団の遠征名目だろ、別行動で」
「そんな、あーーくーーん!!」

 騎士様の嘆きをBGMに転移、あらゆるジャンルで大活躍、勇者が目指すラスボスの居城、魔王城に到着です。
 ここは知性ある魔物が暮らす場所なので、攻め込むとただの不法侵入になります。
 魔王様は優しいけれど、奥様や息子さんなど身内がおっかないのでお気を付けください。
 生命の保証はありません。

 ドドーン天高くそびえ立つ塔が魔王様の住居、それをぐるっと取り巻くようにある城壁。
 なんでも魔王様を慕った魔物達が勝手に塔の周辺に住み着き、もふもふ好きのどこかの騎士様がスタンピードが起こった時に危険だからと作ってくれたのがこの城壁なんだとか。
 改築を重ね、今じゃ立派な城塞都市、周囲もっさりとした森だから分かりにくいけどね。

 たまに攻め込んでくる勇者対策にボス戦用の王座もあります。
 なおこちら、昔は百年に一度ぐらいしか使用されていなかったけれど、最近は勇者の突撃訪問が多いので普段からキチンと掃除がされているらしい。
 その突撃訪問、裏に女神様の妄想がありそうですね。

 そういう訳で本日はその魔王戦が行われるイベントの間にやってまいりました!
 そこら中に白骨が転がってて怖い!

 あれ雰囲気出すための飾りだよね?
 それとも本物の白骨死体!?
 お願いせめて警備のスケルトンだと言って!

 みぎゃーとなっていたらいつの間にかお茶のテーブルが用意されていました。
 イベント用の特殊空間のため、ここなら謎能力の影響も外に漏れ出ないだろう。出ないといいなーと願いを込めてここを選んだとか何とか。

「魔王様、柱登っていい?」
「落ちないようにな」
「分かった!」

 なぜか柱を登り始めるネヴォラ、イネスは髑髏を前足で転がしている。怖いから止めなさい。

「突然お邪魔してすみません」
『今日のお土産よ』
「タルトとホールケーキとパイ持ってきた!」
「涼、よだれ、よだれ」

 僕が魔王様にお土産を渡すと同時に席に座る子供たち。
 食べる気満々ですね。

「わたしも食べるんよ!」
「この髑髏、齧ってみていいですか?」
「ネヴォラはとりあえず降りてきなさい、イネスは齧っちゃダメ」

 声をかけながらイネスの方を見たら髑髏が転がりながらイネスから逃げていました。
 ネコ科から転がりながら逃げるのは悪手だと思います。

「魔王覚悟!!」

 ネヴォラが席に着いたのでお茶会を始めようとしたら、和やかな空気をぶち破って正面扉が開かれた。
 よりによってなぜ今日来たんだ勇者パーティーよ。
 
 ……あと何でそちら側にいるのですか騎士様。
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