上 下
390 / 843
第二章 聖杯にまつわるお話

第382話

しおりを挟む
 アー君が羨ましがるので、次のお出掛けは週末になりました。

「まぁ今日ですが」
「休みで良かった」
『お出掛けー』
「中レベルのダンジョン行くと、魔物が進化して難易度修羅になるのは分かったな」
「お宝のレア度に反して敵が強すぎになっちゃいました」

 昨日のダンジョンはとても良かった。
 もふもふに満ちてとても幸せな気持ちになれました。
 二足歩行の狼はロマン。

「あのダンジョンが封鎖されたらワンコが可哀想です」
『そしたらダンジョンごと僕らで引き取るのよ』
「それもいいな」
「俺が冒険者から苦情言われる案件」

 本日のお弁当は昨日のうちに用意してもらったし、それもマールスと霧ちゃんが手分けしてアイテムボックスに収納、飲み物もOK、忘れ物は特にないかな?

『霧ちゃんお土産持った?』
「うむ」

 そうそうお土産、魔王様の所に大勢で押し掛けるのだから必要だよね。

「じゃあ行くぞー」
『ごぉー』
「あっ、ヨムを誘うの忘れてた」
「私はネヴォラ誘いました。現地集合です」
「待って、待って、俺と刀雲も行くから」
「パパたちは騎士団の遠征名目だろ、別行動で」
「そんな、あーーくーーん!!」

 騎士様の嘆きをBGMに転移、あらゆるジャンルで大活躍、勇者が目指すラスボスの居城、魔王城に到着です。
 ここは知性ある魔物が暮らす場所なので、攻め込むとただの不法侵入になります。
 魔王様は優しいけれど、奥様や息子さんなど身内がおっかないのでお気を付けください。
 生命の保証はありません。

 ドドーン天高くそびえ立つ塔が魔王様の住居、それをぐるっと取り巻くようにある城壁。
 なんでも魔王様を慕った魔物達が勝手に塔の周辺に住み着き、もふもふ好きのどこかの騎士様がスタンピードが起こった時に危険だからと作ってくれたのがこの城壁なんだとか。
 改築を重ね、今じゃ立派な城塞都市、周囲もっさりとした森だから分かりにくいけどね。

 たまに攻め込んでくる勇者対策にボス戦用の王座もあります。
 なおこちら、昔は百年に一度ぐらいしか使用されていなかったけれど、最近は勇者の突撃訪問が多いので普段からキチンと掃除がされているらしい。
 その突撃訪問、裏に女神様の妄想がありそうですね。

 そういう訳で本日はその魔王戦が行われるイベントの間にやってまいりました!
 そこら中に白骨が転がってて怖い!

 あれ雰囲気出すための飾りだよね?
 それとも本物の白骨死体!?
 お願いせめて警備のスケルトンだと言って!

 みぎゃーとなっていたらいつの間にかお茶のテーブルが用意されていました。
 イベント用の特殊空間のため、ここなら謎能力の影響も外に漏れ出ないだろう。出ないといいなーと願いを込めてここを選んだとか何とか。

「魔王様、柱登っていい?」
「落ちないようにな」
「分かった!」

 なぜか柱を登り始めるネヴォラ、イネスは髑髏を前足で転がしている。怖いから止めなさい。

「突然お邪魔してすみません」
『今日のお土産よ』
「タルトとホールケーキとパイ持ってきた!」
「涼、よだれ、よだれ」

 僕が魔王様にお土産を渡すと同時に席に座る子供たち。
 食べる気満々ですね。

「わたしも食べるんよ!」
「この髑髏、齧ってみていいですか?」
「ネヴォラはとりあえず降りてきなさい、イネスは齧っちゃダメ」

 声をかけながらイネスの方を見たら髑髏が転がりながらイネスから逃げていました。
 ネコ科から転がりながら逃げるのは悪手だと思います。

「魔王覚悟!!」

 ネヴォラが席に着いたのでお茶会を始めようとしたら、和やかな空気をぶち破って正面扉が開かれた。
 よりによってなぜ今日来たんだ勇者パーティーよ。
 
 ……あと何でそちら側にいるのですか騎士様。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています

ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた 魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。 そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。 だがその騎士にも秘密があった―――。 その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

戸森鈴子 tomori rinco
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。 そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。 そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。 あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。 自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。 エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。 お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!? 無自覚両片思いのほっこりBL。 前半~当て馬女の出現 後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話 予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。 サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。 アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。 完結保証! このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。 ※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

処理中です...