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第二章 聖杯にまつわるお話

第378話

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 ワンコに抱えられてボス部屋に突入したら、そこにいたのはなんと!!

「オルトロス!!」
「ワンワンですねー」

 黒き双頭の番犬オルトロス!
 尻尾が蛇で落ち着きがない犬種だけどそこがいい!

「ママ、ママ、ワンコの頭の上!!」
「にゃんだふる」

 イネスに示された先を見て思わず錯乱した。
 な、なんとそこにはオルトロスの頭の上に後ろ足で立つローブを着た猫がいたのです!
 きゃわわぁ。

「猫さん杖を使ってます、魔法使いです!」

 異世界万歳。
 とうとう魔法を使うにゃんこと出会った。
 ファンタジー様様です。

「右の頭に魔法使い、左の頭にゴブリンシャーマンがいます!」
「すごい、魔法使うゴブリン初めて見た!!」
「僕らの周囲にいるゴブリンさん、大体魔法使えますよ、使用用途が生活魔法中心なだけで」

 そうなの?
 気付かなかった。
 でも異世界で日常生活に生活魔法を使うなんて羨ましい、僕なんて日常的に使うのクリーンぐらいなのに。

「肉球で杖持ちにくくないのかなぁ」
「そこはそれ、ファンタジーです」
「そうだね」

 深く追求しちゃいけないポイントなようです。了解。

「ママ、ボス戦中ですから壁際に移動しておやつにしましょう」
「うん分かった」

 イネスの言葉を合図にえっちゃんがサッと敷布を取り出して敷き、その上におやつがずらりと並べられた。
 ワンコの親分が僕を敷布の上に下してくれたので、一緒に座るように誘ったら素直に座ってくれた。
 胡坐をかくワンコ、とてもいいと思います。

「ママを十分独り占め出来ました。のでいい加減シャムス達を呼び寄せてもいいです」
「イネスどうしたのー、おやつの準備出来たよー?」
「今行きまーす!」
「えっちゃんと何をお話ししてたの?」
「おやつの時間だからシャムス達と合流します!」
「それもそうだね」

 ここで待ってればその内来ると思ってたけど、それより呼び寄せた方が早いかー。

『ママー』
「かあちゃぁぁ!!」

 えっちゃんの影から飛び出したのはシャムスと涼玉、保護者はマールスしかいない。

「あれ、霧ちゃんたちは?」
「マールスが分身して警護と採取を霧ちゃんと一緒にやってる!」
『便利ね』

 なるほど、今目の前にいるマールスは分身の一つらしい。
 こういう時に分身できると便利だよね。

『ワンワンいっぱい』
「「キャゥン!!」」

 シャムスがにっこりしたら周囲にいたワンコ軍団が一斉に伏せをし、親分は膝をついて礼を捧げている。
 なんだろうシャムスがカッコイイ。
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