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第二章 聖杯にまつわるお話
第376話
しおりを挟むダンジョン二個目が実現しました。
なぜなら、今回置いてきぼりを食らったダンジョンのレベルが大して高くなかったから。
我が家って使用食材のランクが高いから、当然のように使用ポイントもお高くてですね。
涼玉の背中に生えている葉っぱ一枚でワンコ兄弟の大好きな骨付き高級肉が一本ぐらいのお値段、正直な話それが高いのか安いのか微妙に分からない。
異世界転生してから数年経つというのに、物価を把握出来てないのはまともに買い物をしていないからですね。
転生や転移をしてお金の管理をする主人公達凄いなって思います。
これ、カイちゃんにバレたら金銭感覚を養うための授業が始まるやつかもしれない、これからもずっと黙っておく予定です。
基本、屋台で買い食いしても料金を支払う前にイベントが起きて誰かが払ってくれたり、通りすがりのもふもふズが払ったり、シャムスがクリスタルカードで支払ったりするからお金、使ってないね。
城下でカフェレストランで食事したあれは今思えば貴重な体験だった。
ん、お金払ったっけ?
…………払ってない、黒ちゃんのお嫁さんのお兄さんと初遭遇したのがあの日だった。
うちの子の一人と結婚したけど、今は子供何人ぐらい生まれたんだろう。
僕、転生してからまともに買い物したの、全部メニュー画面経由かもしれない。
まぁいい、置いておこう。
いや忘れてしまおう。うん。
そんな訳でダンジョンその二にやってまいりました。
「リクエスト通りトラップがあるダンジョンに来ましたが、本当に大丈夫なんですか?」
『あい』
「トラップで飛んできたものも換金出来るか実験です」
「どうせならダンジョンの土も試してみようぜ!」
シャムスに至っては霧ちゃんの霧をむしり取り、チャージボタンの中に押し込むという力技を発揮。
小さなお手々の一掴み分だったので、欠片ぐらいしか入れられなかったようだけど、それでも数十ポイントにはなったんだよね、それをきっかけにとにかく片っ端から入れてみたいと言い出したのはイネスと涼玉。
コンプリート系好きなんだろうか。
話をキチンと聞いていなかったせいだろうか、ダンジョン入って5分で魔法陣を踏んで最下層に飛びました。
これは運が悪いというよりも、僕に内部徘徊をされたくないというダンジョンの意思だったりする?
「ボス部屋じゃないだけマシなのかなぁ?」
「戦闘中だから入れなくて、同じ階に飛ばされたのかもですねー」
前回は一人だったけど、今回はイネスが一緒です。
僕を野放しにするとダンジョンの構造とか運営的に問題が出ちゃうため、対策になるか怪しいけれど、とりあえずイネスが肩にずっと乗っていました。
おかげで今回は一人じゃないのが嬉しい。
「はやくっ!」
「走れっ、走れっ!!」
「もうダメ、息がっ」
そこに聞こえてくる必死な声。
おっと即行でイベント発生ですね。
「んートレインですかね?」
「大量のモンスターに追われる行為だっけ?」
えっ、こっちに来るの?
「ゲームによっては擦り付け行為も含めてトレインって呼ばれるとエンラが言ってました」
「中身は最古の神様らしいけど、最近ちょっと疑ってる」
「今はママの息子でただの廃ゲーマーです。ただサバイバルゲームは面白かったみたいで、またやってみたいって言ってました!」
「ゲーム性があればなんでもいいのかな?」
話している内に相手の姿が見えて、見事に魔物を擦り付けて素通り――なんて普通の展開にはなりませんよ。
相手が悪かったね!
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