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第二章 聖杯にまつわるお話

第373話

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 さて昨日一日大人しくしていたおかげで今日は元気です。

「メニュー画面に課金機能を追加してもらったので、ポイントを貯めこみたいと思います」
『ダンジョン行く?』
「ならアイツ誘おうぜ」
「勇者召喚されたのに動物好きで魔物殺せなくて追放された勇者君ですね!」

 なにそのプロフィール、情報量多いね。

「追放された直後に筋肉質な冒険者に拾われて冒険者登録して、今は帝国に向けて移動中です」
「女神的には旅の間に愛を育んで欲しいみたいだな」
『女神の呪いなの』

 ちなみにその筋肉質な冒険者さんは、人間に擬態して社会勉強中の魔王軍の幹部、気合一つで魔物が逃げるので余計な戦闘を起こすことなく、サクサク進んでいるらしい。
 魔王軍なんてあったんだ。
 ん、もしかしてあれかな、刀雲が将軍やってるから真似したくてとりあえず軍を名乗ってみた。とか?
 いやまさかぁ。

 どんな魔物さんかと思いを馳せている間にえっちゃんの転移で移動してました。
 木造りの食堂、カウンターに多くの冒険者、ここ、ギルドだね。
 ファンタジー定番のギルドだね!!
 テンション上がる!!

 目の前にはムキムキさん、間違いなくこの人が幹部の魔物さんだろう。

「そういう訳で護衛のお誘いです」
「こりゃイネス様、久しぶりですねぇ、魔王様が宴会のたびにご機嫌で次は何を差し入れようかいつも悩んでいますよぉ」
「海老が好きです! でもカニさんも好きです!」
「カニなら秋の味覚ダンジョンかな、っと、そうじゃなくて今日はどうしました?」
「資金稼ぎしたいんだ。かあちゃが!」
『手頃なダンジョンを案内して欲しいな』

 お酒を飲んでも言葉が乱れない、教育が徹底しているらしく言葉遣いがとても丁寧。
 まぁ身内にラセンさんいるからね、あの人、自分の子が乱暴な言葉遣い覚えないよう魔物達の言語操作したっていう噂があるんだよね。
 情報源がタイガなだけに、真実味があるなぁ。

「金稼ぎですか? 俺が案内できるダンジョンなんて、人の子が楽々生還出来る程度のレベルですよ? 稼ぎたいなら刀国のダンジョンじゃダメなんです?」
「難易度高い所は知性があるからかあちゃとシャムス兄がいると服従しちゃう」
『ごろーんてなっちゃうの』
「アンデッド系もダメです、僕と遭遇した時点で消滅しちゃいます」

 子供達の要望に冒険者がうーんと首を捻る。
 すみません、なかなか無茶な注文ですよね。

「じゃあ軽くダンジョンの梯子でもしますか」
「報酬は帝国まで送るのと、ギルドを通して普通に金銭の支払い、どちらがいいですか?」
『今なら皇帝ピザが付いてくる』
「その様子だと俺に今、同行者がいるのも把握済みですよね。帝国までお願いします、アイツ旅慣れしてないうえに体力ないから今も寝込んでて」

 夜の運動でお疲れですか。と思った僕は、自分が思っているより女神様に毒されているんだろうなぁ。
 口に出さなかったからセーフという事でお願いしたい。

「一緒に連れていきます」
「でも寝込んでて」
「こういう時に置いていくと余計なトラブル発生するのが定番だぞ」
「ままひよこさんのスープくだしゃい」
「きゃわわ」

 久しぶりのシャムスのカタコトに本音が漏れた。
 一杯でも二杯でも、鍋ごとでも好きなだけ持っておいき。
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