神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第368話

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 女神様に昨日の出来事を報告したら、笑われた。

「確かにあれ人影だけど、だからって本当に影だけで現れるとかありかよ! せめて真っ黒な人間とかさぁ」

 ケラケラ笑いながら昼間からワインを飲む女神、これでも帝国の皇后なんですよ。
 詐欺ですね、詐欺。

 嫁がせたのうちのアー君だけど。

「それで、炎帝さんは何を読んでるんですか?」

 珍しく温泉ではなく女神様のお部屋にいて、黙々と本を読んでいるのだけど、なんとなーく嫌な予感しかしないんですよね。
 だってこの人、中身が腐女神なんだもの。

「最近ちょっとはやり気味のずるいずるい連発する妹の話」
「僕一人っ子で良かった」

 前世は一人っ子、女神様経由の転生なので兄弟どころか両親すらいない。
 まぁ今はヘラ母さんという戦女神も真っ青な母様がいますけどね!!

「うちは男ばっかりだからなぁ、これ系は出ねぇな」
「そもそもです」
「ん?」
「僕らにはヘラ母さんという心強い母性の塊がいるので、人の大切なものを奪うような性根の子がいたら根性を叩き直してもらいます」
「スパルタ!」
「ラノベの妹も真っ青だな、この話、妹があれもこれもと奪いすぎて燃やしたくなったわー」

 このように、理不尽に対してはやり返す力を持つ人が多いので、僕の周りでは奪う妹は発生しないですね。
 出てたらヘラ母さんに引き渡そう、もし男の子だったらシヴァさんでいいや。

「うちの離宮、二層に別れてるだろ」
「はい、回遊庭園があるのが出入り自由な離宮、結界で出入り制限をしているのが僕らのいる離宮ですよね」
「そうそう、あっちの方は人間が出入りしてるだけに、稀に女児もいるんだよ。そこに将来ヒドイン系になりそうな妹がいる」
「今すぐヘラ母さんに預けましょう?」

 その子を放置しておいても誰も幸せになれませんよ?

「お姫様扱いされないことに癇癪起こすから皇子達が引きこもり起しかけている。と言ってもまぁ、こっちの離宮やたらに広いから遊び場には困らないんだけどな」
「一部は料理の趣味に目覚めてたぞ」
「王族の離宮で癇癪起す事がすでにアウトだと思うので、お城に出入り禁止でいいんじゃないですか?」
「その子の兄が優秀で第四皇子の側近に推したい」
「シヴァさんがさらって刀国に連れ去る前に対処した方がいいと思います」

 王族だからと言って安易に貴族の家の問題に口を出せない?
 それ以前に貴女、女神様でしょう??

「刀国思い出してください、貴族の家で問題があれば国王様が直接乗り込んで解決するまで居座った伝説持ちですよ?」
「千年以上国王やってるのに、いまだ村長感覚が抜けないアイツがおかしい」

 それはまぁ確かに。

「はいはいシヴァさんが介入する前に解決しちゃいましょう、家族構成はどんな感じなんですか?」
「この漫画のまんま」

 炎帝さんが漫画を差し出してきた。

「読ませようとしないでください、説明を」
「婿養子で入った男が前妻が死んだ途端に愛人と娘を家に連れ込んで当主面してる。お兄様が持っているのは本来私が持っていて当然のものよね、全部ちょうだいとかほざいてて魂ごと燃やしたい」
「女神様…………テンプレ系のお話読むの止めませんか?」
「それはちょっと」

 この後の展開が面白いらしい、ただ炎帝さんへのネタバレになってしまうので言えないだけで。
 腐女神が二人揃うと面倒だなぁもぅ!

「当主代理と愛人親子をひとまとめにして追い出して解決ですね」
「保護者どうすんだよ」
「親戚から信用できる者を指定すればいいじゃないですか、それがダメなら神託使って神殿を動かすとかどうにでもなるでしょう?」
「神託をそんな使い方する訳には――いえ、なんでもありません、すぐやります」

 ジト目で女神様を見たら敬礼を返された。
 神託で酒のつまみを要求する人が何をいまさら、少年の幸せのために身を粉にして働いてください。

「この一件が解決するまで二人ともお酒禁止で」
「!!」
「はぁ!? 私も!?」
「弟が可哀想な少年を見捨てようとしてたってシャムスに言います」
「今日中に解決するからそれだけは勘弁してぇぇ!!」

 炎帝さん、僕から生まれた弊害でシャムスへの絶対庇護が発生しており、嫌われることを本能的に怖がっているとアー君がこっそり教えてくれたんです。
 シャムス強い!
 シャムスのスライムも強いけど、シャムス自身も最強です。
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