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第二章 聖杯にまつわるお話

第357話

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 いつの間にかヘラ母さんも来ていたらしい、ケーキで打ち上げをしてそれから夕食の支度をすればいいかと思っていたけれど、そのまま宴会へと突入しました。
 神様って宴会好きだよね。

 気付いたら皇帝夫婦どころか家族総出でいて、ご飯を食べ終わった皇子達は庭でサーカスごっこして遊んでた。
 結構気軽に外出しているけど、近衛兵の皆さんの首は無事だろうか。

「サーカスによる収益、何に使えばいいっすかねー?」
「衣装デザインする専属スタッフ雇うとか、そっち方面に活用したら?」

 酔っぱらった女神様がグダグダと騎士様に絡んでいる。
 騎士様は真面目に答えているけれど、あれ明日になったら覚えているか怪しいですよ。

「涼ちゃん、涼ちゃん」
「おなかぽわぽわ」
「ノンアルコールで酔っぱらってる双子がいるー!」

 隣では各地を留学という名目で荒らしまわっている双子が、涼玉を挟んで尻尾や翼を撫で撫で中。
 言動が酔っぱらい、でも二人にお酒は飲ませていない、もし間違えてお酒を飲んでも状態異常無効で酔わないはずなんだけど……あれは単に弟を可愛がっているだけ、なんだろうか?

「涼ちゃん可愛い」
「ふくふくおなか」
「ひんやり気持ちいいね」
「留学先に連れていきたい」
「ひょわぁぁ」
「樹、刀羅と鬼羅にアイス出してあげて、暑さでバテてるみたい」
「はぁい」

 ただ暑さにやられて錯乱していただけでした。
 慌てて調理場に行き、ドリちゃんにパフェを二つお願いした。

「黄金パフェェェェ!!」
「ドリちゃんごめん、子供達に順番に出してもらっていい?」

 パフェという単語を聞き逃さなかったイネスが庭から雄叫びを挙げたので、我も我もと追加が入る前に全員分追加をお願いしました。
 お披露目会やったせいか、イネスのテンションがいつもより二割増し。

 慌てて追加で果樹園に走ろうとして、遭難したら余計な時間がかかる事に気付いてドリアンにお願いした。
 僕はその間にメニュー画面でパフェに飾るビスケットやポッキーを選んで、スラちゃんに飾り付けを任せたら次に野菜を取り出して天ぷらの追加をお願いした。
 今日は皆さん、本当によく食べる。

 お酒はドリちゃんが無限魔法かけてくれてあるので、瓶が転がることはないのがありがたいよね。
 まぁ神薙さんは樽で飲んでるけど。

「ギレンー、寿司食べたい」
「っは!」

 ギレン来てたのか、そしてパフェを食べて若干復活した双子に顎で使われている。
 お寿司ということは酢飯いるよね、炊飯器のスイッチ切り替えないと……。

 あっ、ちょっと疲れた。
 調理場の奥にある部屋の入口に腰掛け、ドリアンが淹れてくれたお茶を飲んで一休み。
 ふー。

 ケーキで打ち上げのはずが急遽宴会になったから、食事の用意が追い付かなくて大変。
 あとは何を出したらいいかなぁ。
 
「ママ伊勢海老! お料理してください!」
「はぁい」

 イネスが持ってきた伊勢海老は1m級の伊勢海老だった。
 しかも黒くて艶と角と牙があった。

「魔王様くれました」
「近くに寄れたの?」
「神聖属性無効の魔道具を春日が作ってくれました! これで魔王様もまた宴会に参加できてハッピー!」

 なるほど、イネスのテンションがやたらに高いと思ったら、魔王様とのふれあい再開もあったんだね。
 きっとカイちゃんと一緒に宴会に参加したくて春日さんにお願いしたんだろうなぁ、対価はなんだろう、新作ゲームとかだろうか……いや、魔王様はゲーム手に入れられないですね。
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