神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第336話

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 王様があんな感じなら砂漠の呪い解けるんじゃないかとアー君に尋ねたところ、ノーと返答された。

「俺は、常々思っていたんだ」

 キリッと表情を引き締めるアー君の横で、同じく表情を引き締める騎士様と涼玉達。
 ああこれはシリアスな回答とは程遠いなと理解した。

「雪遊び、したい!」
「俺も!」
「鈴のせいでこの世界、雪降らないから余計に」
「騎士様にソリ買ってもらいました」
『シャーってするの』

 王様がここにいることで超常現象が追いかけてきて、プールの向こう側に広がっていた砂漠が雪模様。
 ある意味神秘的な光景だとは思う。
 すでにずいぶん積もっていて、セバスチャンとセバツーが王様とキャッキャと雪合戦してるんです。

「恨みが深すぎてイネスの浄化も届かない!」
「雪だるまとかかまくらとか作っても今なら溶けない!」
『うさぎさんも作るの』
「ここは避暑地ですね!」
「セティが防寒具くれたからいつでも遊べる」
「?」
「セバスチャンの作ったダンジョンには雪の降る階層があるからな」

 なぜ砂漠で防寒具が手に入るのか疑問に思ってセティを見上げたら、どうやらダンジョン対策の一環で始めた事業の一部のようです。
 そう言えばアー君が前に張り切ってたことあるな、あと神薙さんも遊びに行って、氷の底にいた悪魔から魂かつあげした事もあるね。

 あの悪魔、元気にしているだろうか。
 今も氷の湖の底で人間の魂を貯めこんでいるのだろうか、それか神薙さんが怖くて仲間を頼って外に出て、セティの所で強制執事の可能性もあるなぁ。

 悪魔や魔人を従えるセティって呼ぶとしたら何と呼ぶんだろうなぁ。
 カイちゃんやアカーシャからは「エロ魔人」って呼ばれているけど、あれはあだ名だし。

「ママー、イエティ!」
「温泉に猿ならぬプールにイエティ!!」

 イネスとネヴォラが駆け寄ってきて、あれあれ!と示す先にいたのは多分イエティに違いない。
 確信が持てないのは肩までプールに浸かっていて全体像が見えないから、でも白ふわっぽい毛皮だし、きっとイエティで間違いない。
 うん、確かに温泉に浸かる日本猿を連想させるね。

『雪遊びしてる間にカオスなの』
「雪山にいた魔物にプールが占領される!!」

 現れた魔物はイエティだけではなかった。
 白熊に白銀の狼、氷属性っぽい狐、プールに入りたそうにこちらを見つめる山のような巨体を持つ魔物、女神様も大好き一狩り行こうぜなあのゲームの雪山に出てくる兎などなど、次から次へと魔物がやって来る。

「アー君、どうしよう」

 ここで僕が理性を手放したら厳しい自然の中で生きている魔物の生態が変わっちゃう!
 でも雪山限定の魔物可愛いぃぃ!!
 特にあのしょんぼりした目でこっちを見ている巨大すぎる虎に似たあの子!! 萌える。
 あっ、白銀の狼が騎士様にたかりに行った! いい、とってもいい!!

「答えを言う前にふわふわになってるな」
『一番平和なの』
「結界あるのになんでだーって思ったけど、そうだよな、かあちゃいるもんな」
「このままオアシス周辺守ってもらうです」
「あれ、生態系破壊してるの? それとも強化してんの? どっち?」

 あっ雪崩が起きて巨大虎を襲った――と思ったらドラゴン出てきたーー!!
 かぁぁぁっこいいいい!!

「ホワイトドラゴンが一瞬でワンコサイズになったんよ」
「巨大な謎の魔物もホワイトタイガーになりましたねー、わぁ不思議、不思議です」

 ぶつかって巨大魔物バトルが始まるかと思いきや、二匹ともふわっとした感じで大型犬サイズに変身、仲良くこちらに来てプールに飛び込んだ。
 眼福!!!!
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