上 下
339 / 809
第二章 聖杯にまつわるお話

第332話

しおりを挟む
 夏の避暑地化した砂漠のオアシス。
 女神様と帝国兄弟に乗っ取られたかと思いきや、追加で春日さんと春日さんの養い子や、悪魔連れでシヴァさんが来た時点で情報が洩れている事を察した。

 さらに。

「ぐぬぬ、俺らも遊びたい」
「見るな見るな、羨ましがるのも危険だぞ」
「確かに、俺らまで赤ん坊にされたらたまらない」
「ただ忠実に給仕に徹しようぜ」

 セバスチャンとセバツーがシヴァさんを見ながらコソコソしている。
 豪邸の中が完成したらセティが執事の悪魔二人と魔人を連れてやってきました。助かる。

 でもおかしいな、ここ作ったのって今日だったような……なんでこんなに満員御礼なんだろ?

「トロピカルジュース一つ」
「俺らも飲む! セバスチャン、ジュース!!」
「あっちぃ!」
「はいはいはいただいまー」
「セバツー、一緒に遊びましょー」
「水鉄砲で戦うんよ!」
「仕事中でぇぇす!」

 悪魔が子供相手に振り回されている。

「お昼はどうしようか、もうとっくに過ぎるよね?」
「皇帝からピザ預かってます」
「ピザー!」
「父ちゃんのピザ!」

 恐らくタイガもあっちに行って手伝っているのだろう、我が家でも滅多に出てこない超特大の横綱ピザがプールサイドのテーブルに置かれた。
 何やらサングラスをかけたトレントがピザを覗いているのだけど、食べる気だろうか……。

「オアシス最高、プールサイドでピザと酒とか夢みたいだわ」
「女神様、お仕事は?」
「夏季休暇」
「皇帝も連れてきてあげれば良かったのに」
「うーん、悪霊の気配がいまだ濃い土地だからなぁ。安全を確保したら他の皇子と一緒に連れてくるよ」
「いえ、別にここに連れてこなくてもいいんですよ? ここ試験的に作られた場所なので」

 本命はアー君が作る予定です。
 ここは僕が召喚されたので、流れで何となく作っただけ。

「かあちゃ、なんか王様来た」
「え」
「あれ」

 びしょ濡れの涼玉に言われて見た先には、どこからどう見ても怨霊にしか見えない一人の男性。
 服装は石油王が着てそうなあの白い服、まぁ赤黒く染まって白い部分ほとんどないけど、きっと最初は白だったんじゃないかな?
 目があるはずの場所からは血が流れてるし、お腹から何か赤いものが垂れ流し状態だけど地面につくか付かないかで蒸発してる。

「古の王が来たんだけど、あれどうする?」
「女神様、僕に聞かないでください」

 見るからに呪いの発生源なのに、悪魔は普通におもてなししている。
 セティの徹底した教育がこんな所でカオスを呼んでいるよ!!

 あっ、誘導されて寝椅子に座った上にトロピカルジュース飲み始めた。
 本当に、どうしよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したから継母退治するぜ!

ミクリ21 (新)
BL
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したダンテ(8)。 弟のセディ(6)と生存のために、正体が悪い魔女の継母退治をする。 後にBLに発展します。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

処理中です...