333 / 843
第二章 聖杯にまつわるお話
第326話
しおりを挟む
おやつを食べている間に砂嵐は去り、じゃあオアシス作り再開しようとしたら、植物を操り、管理するトレントとドリアードがお昼寝中でした。
仕方がないので増やすだけ増やして後で手入れをしてもら……。
「待って、おじいちゃんはどこ」
家の中に入れた覚えがない。
『……』
「貴重な人材を亡くしたぜぃ」
涼玉、諦めるの早すぎ!
「ゴーレム、焼き芋食うかな」
「おなかいっぱい、食後の運動しましょう」
「泳げるかな」
賑やかに建物の外へと出ていくヨムちゃん、イネス、ネヴォラの三人。
イネス、そこの可愛いイネスちゃん、君の新しい信者の生死のお話ですよ!
「かあちゃん、いたいた、植物じいちゃんいた!」
出て行ってすぐ、ヨムちゃんがダッシュで戻ってきました。
『九死に一生を得る。ですねー』
「得ちゃったかー」
皆で外に出てみたら、ゴーレムの足の下から人間がはい出てきた。
えーなになに、我らがえっちゃんの解説によると、一応おじいちゃんも家に入ろうとしたのだけど、貴様は下っ端だから一番最後だと言わんばかりにトレントとドリアードが先に入り、そのまま戸を閉めてしまったようです。
それを見ていたゴーレム君が地面に穴を掘っておじいちゃんを避難させ、自分が上に座ることで守ってくれたみたい。以上、えっちゃんの通訳によるゴーレム君情報でした。
……その元凶、奥にある部屋でぐーすか寝てるんですけど。
「えっと、このお家あげるから、緑いっぱい増やしてくださいね」
「っは! イネス様の命とあれば!!」
魅了怖い。
こんな理不尽で死にそうな目にあっても、イネスのお願いが最優先になるの!?
『ママを召喚した理由聞いて』
「は、そうでした! 僕らのママを召喚した理由はなんですか?」
「我が一族は砂漠の民の中でも最も古い血を持つもの、遥か昔より王座をこの手に取り戻すのが一族の悲願、それなのに、あの若き王が他国から嫁を娶り、地位を盤石なものにしてしまったのです。揺るがぬ力と権威、それを崩すために倒せる者を召喚いたしました」
若き王はハイダル君、嫁はカイちゃんの事だろうか。
実際はハイダル君が生んでいるから立場逆な気がする。
「まぁうん、かあちゃなら倒せるか」
『おねだりすればくれると思う』
「不戦勝確定」
「ママ最強です」
「間違ってないんよ」
マールスと霧ちゃんもうんうんと頷いています。
その経緯で召喚されたのか、僕。
そして誰も否定しないんですね。
「諸刃の剣というか自爆装置というか」
『味方全滅してるのよ』
「カイにバレたら魂砕かれる事案だけどな、ママに対する過保護さは家族の中でも随一だぞ」
「……記憶ばーんします?」
「能力さえ使えればいいし、余計な記憶は危険なんよ」
イネスとネヴォラの意見が過激。
でも確かに、カイちゃんの命を狙った挙句、僕を召喚して巻き込んだと知れたら、どんなに有用な力だろうと楽に死ねないことは確定するね。
これはどうしたものか。と悩んでいたらおじいちゃんの体を霧が包んでいた。
ふわっと光って体から何か抜けたなーと思ったら倒れてしまったので、トレントをたたき起こして家の中に運んでもらいました。
「人格と記憶を破壊した。次に起きた時はただのイネスの敬虔な信者だ」
「これで安心してこき使えますね!!」
『あい!』
人権を無視した非道な行いですね、でも霧ちゃん人間じゃないしなぁ。
まぁ、いいか。
仕方がないので増やすだけ増やして後で手入れをしてもら……。
「待って、おじいちゃんはどこ」
家の中に入れた覚えがない。
『……』
「貴重な人材を亡くしたぜぃ」
涼玉、諦めるの早すぎ!
「ゴーレム、焼き芋食うかな」
「おなかいっぱい、食後の運動しましょう」
「泳げるかな」
賑やかに建物の外へと出ていくヨムちゃん、イネス、ネヴォラの三人。
イネス、そこの可愛いイネスちゃん、君の新しい信者の生死のお話ですよ!
「かあちゃん、いたいた、植物じいちゃんいた!」
出て行ってすぐ、ヨムちゃんがダッシュで戻ってきました。
『九死に一生を得る。ですねー』
「得ちゃったかー」
皆で外に出てみたら、ゴーレムの足の下から人間がはい出てきた。
えーなになに、我らがえっちゃんの解説によると、一応おじいちゃんも家に入ろうとしたのだけど、貴様は下っ端だから一番最後だと言わんばかりにトレントとドリアードが先に入り、そのまま戸を閉めてしまったようです。
それを見ていたゴーレム君が地面に穴を掘っておじいちゃんを避難させ、自分が上に座ることで守ってくれたみたい。以上、えっちゃんの通訳によるゴーレム君情報でした。
……その元凶、奥にある部屋でぐーすか寝てるんですけど。
「えっと、このお家あげるから、緑いっぱい増やしてくださいね」
「っは! イネス様の命とあれば!!」
魅了怖い。
こんな理不尽で死にそうな目にあっても、イネスのお願いが最優先になるの!?
『ママを召喚した理由聞いて』
「は、そうでした! 僕らのママを召喚した理由はなんですか?」
「我が一族は砂漠の民の中でも最も古い血を持つもの、遥か昔より王座をこの手に取り戻すのが一族の悲願、それなのに、あの若き王が他国から嫁を娶り、地位を盤石なものにしてしまったのです。揺るがぬ力と権威、それを崩すために倒せる者を召喚いたしました」
若き王はハイダル君、嫁はカイちゃんの事だろうか。
実際はハイダル君が生んでいるから立場逆な気がする。
「まぁうん、かあちゃなら倒せるか」
『おねだりすればくれると思う』
「不戦勝確定」
「ママ最強です」
「間違ってないんよ」
マールスと霧ちゃんもうんうんと頷いています。
その経緯で召喚されたのか、僕。
そして誰も否定しないんですね。
「諸刃の剣というか自爆装置というか」
『味方全滅してるのよ』
「カイにバレたら魂砕かれる事案だけどな、ママに対する過保護さは家族の中でも随一だぞ」
「……記憶ばーんします?」
「能力さえ使えればいいし、余計な記憶は危険なんよ」
イネスとネヴォラの意見が過激。
でも確かに、カイちゃんの命を狙った挙句、僕を召喚して巻き込んだと知れたら、どんなに有用な力だろうと楽に死ねないことは確定するね。
これはどうしたものか。と悩んでいたらおじいちゃんの体を霧が包んでいた。
ふわっと光って体から何か抜けたなーと思ったら倒れてしまったので、トレントをたたき起こして家の中に運んでもらいました。
「人格と記憶を破壊した。次に起きた時はただのイネスの敬虔な信者だ」
「これで安心してこき使えますね!!」
『あい!』
人権を無視した非道な行いですね、でも霧ちゃん人間じゃないしなぁ。
まぁ、いいか。
30
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~
クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。
いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。
本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。
誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる