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第二章 聖杯にまつわるお話
第325話
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僕の謎能力は名前の通り謎が多い。
発動条件はある程度分かっているみたいだけど、発動する効果も範囲も謎に包まれている。
現在はっきり分かっているのは結界が効かない。
封印も意味がない。
獣族の血が一滴でも流れてると愉快な効果が出る。
人間に対してはあまり過剰な効果は出ないけど、人外相手には面白いほど効果があるんです。
例えば今回のように敵が召喚した魔物と意思疎通したり、仲間に引き入れるのなんて朝飯前。
そこにえっちゃんが介入すると魔法陣乗っ取り、こちらの味方を召喚する荒業も使えます。
まぁ召喚は魔力使うからね、転移した方が簡単っぽいけど、その辺は「相手の力を乗っ取った」という演出なんだろうなぁ。
常々思っていたけれど、謎能力は涼玉ととても相性がいい。
はっきりと「これはこうなる」的なものが定まっていない、ふわっとした感じが良いのか、力の及ぶ範囲を広げたり、底上げしたりしている気がする。
「このトレント、葉っぱの下がちょー涼しいんよ」
「本当です、ふわぁぁ、日光の下と露骨に温度が違います」
『ドリアードはふさふさ葉っぱを増殖してるよ』
こんな風に不思議な効果をつけるのもお手の物。
あれですね、僕がふわふわしている時に発揮しちゃう魔物の無害化、あれに似ている。
「じいちゃんもっと頑張って、魔力枯渇したら魔力回復ポーションあるから」
「死ぬ気でやれ、涼玉様が少しでも楽を出来るようにな!!」
さっきまで見渡す限り岩ばかりだったのに、ゴーレム君が岩を動かして掘った穴にヨムちゃんが水を呼び、そこを中心に緑が広がっているので今はちょっとしたオアシスになっています。
涼玉が無茶しなくても緑化を進められるって素晴らしい、おじいちゃんと同じ能力の人って他にいないかな。
「あ! ゴーレム君に穴を掘ってもらう前にアー君呼べば良かった!」
『あ』
「しまった俺らが作ったらにいちゃの課題に支障が出るな!」
「ここは私たち専用のオアシスとして、アー君のは別に作りましょう!」
「そうそう、ここはわたしたちの遊び場、アー君の街は別で」
どうやらイネスとネヴォラは下の遺跡に興味津々のようです。
なお、このオアシスの管理はトレントとドリアードが任命されました。
おじいちゃん?
このままアー君の街づくりに活用して、その後はカイちゃんに引き渡し、反乱を起こそうとした罪を償うために恐らく死ぬまで緑を呼び続けることになるかな。
もっともイネスから直々にそれが使命だと神託を受けているからね、本人は幸せを感じてしまうかもしれない。
「シャムス、砂嵐が近付いているから帰ろう」
『んー』
「毛皮がぼさぼさになる」
『いーやっ!』
「砂嵐? 結界張れば平気です」
「軌道変えてもらうか?」
涼玉が言いながら空を指さす。
ああ……珱さんに何とかしてもらうつもりだね。
なんて思っていたら、ゴーレム君がオアシスの横に石造りの家を完成させていた。
「ご」
『入っていいよーだって』
「ゴーレムすげぇ」
中に入ったら当たり前だけどまだ何もなかったけど、僕らには万能えっちゃんがいる。
ふわふわの絨毯が敷かれ、ソファやクッション、部屋の中央には焚火台、あっという間にリラックス空間が出来上がりです。
「かあちゃおやつ」
『砂漠っぽいおやつがいいなぁ』
「イネス何が食べたい?」
「甘いもの!」
「かあちゃん、せっかくだから焼き芋やっていい?」
何がせっかくなのか分からないよヨムちゃん。
子供達の要望にハイハイ答えながらふと気になった。
「ゴーレム君やトレント達は?」
「ゴーレムは外、トレントとドリアードはマンドラゴラと同じサイズになってあっちの部屋を占領してた」
最初はゴーレム君も入ろうとしていたのだけど、サイズ変更が出来なかったようで断念、外で見張りをしているそうです。
でもシャムスのスライムが腕にくっついたままだから寂しくはないかもしれない、落ち着いたらゴーレム君も入れるような大きなおうち作りたいなぁ。
発動条件はある程度分かっているみたいだけど、発動する効果も範囲も謎に包まれている。
現在はっきり分かっているのは結界が効かない。
封印も意味がない。
獣族の血が一滴でも流れてると愉快な効果が出る。
人間に対してはあまり過剰な効果は出ないけど、人外相手には面白いほど効果があるんです。
例えば今回のように敵が召喚した魔物と意思疎通したり、仲間に引き入れるのなんて朝飯前。
そこにえっちゃんが介入すると魔法陣乗っ取り、こちらの味方を召喚する荒業も使えます。
まぁ召喚は魔力使うからね、転移した方が簡単っぽいけど、その辺は「相手の力を乗っ取った」という演出なんだろうなぁ。
常々思っていたけれど、謎能力は涼玉ととても相性がいい。
はっきりと「これはこうなる」的なものが定まっていない、ふわっとした感じが良いのか、力の及ぶ範囲を広げたり、底上げしたりしている気がする。
「このトレント、葉っぱの下がちょー涼しいんよ」
「本当です、ふわぁぁ、日光の下と露骨に温度が違います」
『ドリアードはふさふさ葉っぱを増殖してるよ』
こんな風に不思議な効果をつけるのもお手の物。
あれですね、僕がふわふわしている時に発揮しちゃう魔物の無害化、あれに似ている。
「じいちゃんもっと頑張って、魔力枯渇したら魔力回復ポーションあるから」
「死ぬ気でやれ、涼玉様が少しでも楽を出来るようにな!!」
さっきまで見渡す限り岩ばかりだったのに、ゴーレム君が岩を動かして掘った穴にヨムちゃんが水を呼び、そこを中心に緑が広がっているので今はちょっとしたオアシスになっています。
涼玉が無茶しなくても緑化を進められるって素晴らしい、おじいちゃんと同じ能力の人って他にいないかな。
「あ! ゴーレム君に穴を掘ってもらう前にアー君呼べば良かった!」
『あ』
「しまった俺らが作ったらにいちゃの課題に支障が出るな!」
「ここは私たち専用のオアシスとして、アー君のは別に作りましょう!」
「そうそう、ここはわたしたちの遊び場、アー君の街は別で」
どうやらイネスとネヴォラは下の遺跡に興味津々のようです。
なお、このオアシスの管理はトレントとドリアードが任命されました。
おじいちゃん?
このままアー君の街づくりに活用して、その後はカイちゃんに引き渡し、反乱を起こそうとした罪を償うために恐らく死ぬまで緑を呼び続けることになるかな。
もっともイネスから直々にそれが使命だと神託を受けているからね、本人は幸せを感じてしまうかもしれない。
「シャムス、砂嵐が近付いているから帰ろう」
『んー』
「毛皮がぼさぼさになる」
『いーやっ!』
「砂嵐? 結界張れば平気です」
「軌道変えてもらうか?」
涼玉が言いながら空を指さす。
ああ……珱さんに何とかしてもらうつもりだね。
なんて思っていたら、ゴーレム君がオアシスの横に石造りの家を完成させていた。
「ご」
『入っていいよーだって』
「ゴーレムすげぇ」
中に入ったら当たり前だけどまだ何もなかったけど、僕らには万能えっちゃんがいる。
ふわふわの絨毯が敷かれ、ソファやクッション、部屋の中央には焚火台、あっという間にリラックス空間が出来上がりです。
「かあちゃおやつ」
『砂漠っぽいおやつがいいなぁ』
「イネス何が食べたい?」
「甘いもの!」
「かあちゃん、せっかくだから焼き芋やっていい?」
何がせっかくなのか分からないよヨムちゃん。
子供達の要望にハイハイ答えながらふと気になった。
「ゴーレム君やトレント達は?」
「ゴーレムは外、トレントとドリアードはマンドラゴラと同じサイズになってあっちの部屋を占領してた」
最初はゴーレム君も入ろうとしていたのだけど、サイズ変更が出来なかったようで断念、外で見張りをしているそうです。
でもシャムスのスライムが腕にくっついたままだから寂しくはないかもしれない、落ち着いたらゴーレム君も入れるような大きなおうち作りたいなぁ。
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