神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第324話

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 えー、涼玉とヨムちゃんが戦闘不能になったため、申し訳ないのだけどイネスとネヴォラに来てもらいました。

「魅了強めでぺかっとお願いしていいかな」
「あい!!」

 おじいちゃんは魔力枯渇で倒れている上にトレントのツタでグルグル巻きにされ、トレント、ドリアード、マンドラゴラ、ゴーレム君にぐるりと囲まれています。
 近くに涼玉と僕がいる限り、この子達を操るのは不可能だからとても安心。

 とことこと気絶するおじいちゃんの傍に近寄るイネス、ネヴォラはトレントに登って何か実がないか探しております。
 エルフの血がそうさせるのか、ネヴォラって植物系と相性いいんだよね。

「気絶してます」
「っご!」

 イネスの呟きに反応し、ゴーレム君がおじいちゃんの頭に手刀を一発。
 あれ死なない?
 とどめさしてない?
 大丈夫?

「っぐ」
「岩なのに力加減が匠の域」
「あれはただのゴーレムではないですな」
『おててにスライム付けたの』
「なるほど、さすがシャムス」

 一人納得している霧ちゃんに聞いたら、どうやらシャムスがゴーレム君の手にスライムを取り付けたらしい、いつの間に……。
 ゆえに思いっきり殴っても岩が欠ける心配はなく、その気になればダメージゼロもあのように可能みたいです。

「おじいちゃんこんにちは」
「おお、神獣様……どうか我に力をお貸しください、正統なる血に王座を――」
「んんんん、っぺ、かぁぁぁぁ!!」

 おじいちゃんが一人で語りだしたのをスルーし、イネスが真正面からぺかぁを食らわせた。

「終わりました」
「このトレント、実がないんよ」
「大丈夫です、涼ちゃんが踊れば実の一つや二つ自在に実ります!」
「何がいいかな?」

 イネスとネヴォラがトレントを見上げていると、おじいちゃんがフラフラしながら起き上がった。
 目の焦点が合ってないけど大丈夫だろうか。

「……わたしは……」
「私の信者です! 砂漠に植物を呼ぶ使命を与えてここに派遣しました!!」
「そうなんよ!」
『そうそう』
「トレントやドリアードも頷いてるだろ」

 ぼんやりとしているおじいちゃんに使命を刷り込むイネス、畳みかける子供達。

「かあちゃん、実はここに海で取れた真珠があるんだ」
「うん?」
「これにイネスの魅了をありったけ込めてピアスにしてじいちゃんに付ければ、万が一洗脳が解けてカイちゃんに迷惑をかける心配もなくなるよ!」
「じゃあそれで」

 ヨムちゃんが怪しげなセールスを持ち掛けてきたけど、カイちゃんの国の平穏を守るためなので見逃します。
 不穏な種は早めに摘んで、品種改良して国のために使えればなおよし。

「あのおじいちゃんみたいな思想の人ってまだいるかなぁ?」
「俺探しておくよ、せっかくの夏休み邪魔されたくないしな!」

 これにて本日の召喚騒動は終了です。
 ふぅ、一日二度も召喚されるなんて衝撃体験だった。
 
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